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第6回 石井朋彦プロデューサーにインタビュー!

『009 RE:CYBORG』の世界

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『009 RE:CYBORG』特集

 ついに公開された映画『009 RE:CYBORG』
 石ノ森章太郎氏の未完コミック「サイボーグ009」を原作に、『攻殻機動隊S.A.C』シリーズの神山健治監督が新たに現代を舞台に作り上げた本作。

 連載第6回目となる今回は石井朋彦プロデューサーに直撃!

 「東のエデン」をはじめとする作品で神山健治監督とタッグを組んでいる石井プロデューサーが本作に込めた思いとは? そして、気になる次回作のことなど、たっぷり語っています!

今だからこそ、新しい視点で「009」を!

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『009 RE:CYBORG』場面写真
(C) 2012『009 RE:CYBORG』製作委員会

Q:石井プロデューサーは企画の初期段階から本作に関わっていらっしゃるんですよね?

石井:ええ。もともとは『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』が終わった後、押井守監督の次回作として立ち上げたのが本作なんです。押井さんの場合はまず原作があって、それを彼の作家性でどのように作るのか、というところがポイントになります。じゃあ押井さんにどんな原作がいいのかって考えたときに、以前に「サイボーグ009」が企画に挙がっていたことがあったそうなのです。

Q:時期的にはいつのことでしょうか?

石井:『イノセンス』をやる前と聞いています。いくつかの候補企画の一つが「009」で……ただ、当時は実現しなかった。結局、押井さんは「攻殻機動隊」の続編である『イノセンス』をやることになったんですが、今回は、石森プロさんに「009」映画化の許諾をいただき、映像化が具体的になりました。

『009 RE:CYBORG』場面写真
(C) 2012『009 RE:CYBORG』製作委員会

Q:なぜ、2012年の今「009」だったんでしょうか。

石井:企画を進めていくうちに、その意味がわかってきた、というのが一番正しい言い方でしょうね。今だからこそ、新しい視点で「009」の設定が生きてくる。まず、ゼロゼロナンバーサイボーグ一人一人の国籍が違うというのが重要でした。原作では国連軍を模していたのでしょう。現代社会では911後、グローバル化の果てに、世界は一つになったかに見えてバラバラになっています。この作品で神山監督が、冒頭からゼロゼロナンバーサイボーグたちが一枚岩ではないと設定したことには、そういう理由がありました。

Q:「009」をやる上で難しいことなどはありましたか?

石井:あまりに有名すぎて、みんな知っているけど、実はどういう話なのか知らない方々が多いのです。ただ、ハリウッドでは『スパイダーマン』『バットマン ビギンズ』など、昔クラシックだったヒーロー物を非常にうまくモダナイズしていますね。なので、今回の作品は日本でできる『バットマン ビギンズ』になるだろうというイメージは監督や脚本チームと共有していました。

監督交代のきっかけ

『009 RE:CYBORG』場面写真
(C) 2012『009 RE:CYBORG』製作委員会

Q:結局は押井監督が降板して、神山監督の作品になりましたよね。そのあたりの経緯はどういったものだったんですか?

石井:押井監督が自分自身の作家性を中心に企画を進めようとされたからです。ゼロゼロナンバーサイボーグの多くがいなくなっているとか、フランソワーズはおかっぱじゃないといけないとか。オリジナルを手掛けるならまだしも、大切な原作を換骨奪胎させてしまうことがあってはいけません。押井監督には監督を降板いただき、脚本をお願いしていた神山監督に、正式に監督をお願いする運びとなりました。

Q:押井監督から神山監督に代わったことで違和感はありましたか?

石井:ずっと脚本開発を一緒にやっていたので、神山監督に代わっても何の違和感もなかったですね。「東のエデン」が終わったから次は神山さんとやろうと思っていましたし、この『009 RE:CYBORG』は、「敵がいなくなった世界」を描いた「東のエデン」の世界観の延長にある。共通するテーマがありました。

『009 RE:CYBORG』場面写真
(C) 2012『009 RE:CYBORG』製作委員会

Q:では、スムーズに監督交代は行われたんですね。

石井:神山監督は「攻殻機動隊」もやっていて、サイボーグという意味で「009」は先祖にあたる原作です。なので、ある意味で先祖返りすることには議論もありました。リアルな「攻殻機動隊」をやった後では、クラシックともいえる「009」の設定がかせになるんじゃないか、と。ただ、神山監督はそれを逆手に取り、様々な現代的要素を盛り込んでいきました。「加速装置は自分が速く動けるのではなく、実は周りがゆっくり見える」などですね。ローテクな「サイボーグ009」を「攻殻機動隊」の神山監督がやるという意味が、次々と生まれていきました。

Q:神山監督は、純粋な劇場作品を監督するのは今回が初めてですよね。不安はありませんでしたか?

石井:まったくありませんでした。むしろ、神山監督が初号試写で「劇場監督は初めて」と発言されたときに、初めて「あ、そうだった」と(笑)。映画とテレビの違いって、簡単に言うと、2時間で一つのことを語りきれるかということだと思うんですよ。その点、神山監督はOVAではありますが「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」を作っていましたし、経験値はアニメーション業界ではトップクラスです。

時代に耐えうる強度がある作品

『009 RE:CYBORG』場面写真
(C) 2012『009 RE:CYBORG』製作委員会

Q:すでに公開から一月余りが過ぎていますが、観客の反応はいかがでしたか?

石井:何度か舞台あいさつをやらせてもらいましたけど、原作が好きだった年配の方が多いという印象ですね。「東のエデン」では10代・20代の女性が多かったのですが、今回はむしろ「俺の『009』をどうやって料理したんだ」といった、原作ファンの皆様の厳しい視線を舞台上で感じました(笑)。

Q:厳しい意見などはありましたか?

石井:キャラクターデザインが変わっているとか、職業が変わっているとかありますけど、本当に原作が好きな人からは高い評価を頂けていると思います。

『009 RE:CYBORG』場面写真
(C) 2012『009 RE:CYBORG』製作委員会

Q:逆に、原作を知らない若い世代についてはいかがですか?

石井:今「サイボーグ009」をやるということは、今を生きている方々に観てもらいたいということです。原作ファンや神山監督のファンはもちろん、原作を一切知らない方々にも観ていただきたかったので、宣伝には気を使いました。

Q:では、制作側としての手応えなどがあったら、教えてください。

石井:作品には、時を経て生き残るものとそうじゃないものがあります。その意味で「009」はそれぞれの国籍が違うことなど、どの時代に誰が作り直してもその時代に耐えうる強度がある作品です。2012年に『009 RE:CYBORG』を作ることができて、お客さんに受け入れていただいた。2030年になっても、2100年になっても「サイボーグ009」は作り続けられる。そうした企画としての強さを持っていると思うんです。僕らも続編をやりたいし、新しい監督さんにも作っていただきたいと思いますね。

気になる続編は…ある?

『009 RE:CYBORG』場面写真
(C) 2012『009 RE:CYBORG』製作委員会

Q:では、続編はあるということですか?

石井:やってみたいですよね。「1」をやったからこそ、「2」でやりやすいところってありますから。それに今回3DCGでキャラクターを作ったので、続編にもそれを使うことができますし。簡単ではないのですが。あと、今回は特殊能力を使う機会がなかったピュンマを活躍させなければ、とよく話しています(笑)。

Q:今言える範囲でいいので、次回作のことを聞かせてもらえますか?

石井:具体的なことはまだ明かせないのですが……オリジナルのセルアニメーション劇場企画を進めたいと思っています。今回大きな手応えを感じた3D技術を投入して。これまでは飛行機はCGで、キャラクターは手描きでという暗黙の技術的なすみ分けがありました。でも『009 RE:CYBORG』ではセルルックで3DCGだけど、これまでのアニメと見た目が変わらないという武器を手に入れたわけです。それができるからには……ということですね。

 企画から宣伝まで関わっている石井朋彦プロデューサーだからこそ明かせる裏話の数々からは、作品に対する真摯(しんし)な思いが伝わってきました。すでに作品を観たという人も今回のインタビューを読む前と後では作品の印象が多少なりとも変わったのではないでしょうか? 一ファンとしてぜひぜひ続編にも期待したいところです!

取材・文・構成:シネマトゥデイ 福田麗

映画『009 RE:CYBORG』は公開中

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