シネマトゥデイ

ヒュー・ジャックマン&アン・ハサウェイ
『レ・ミゼラブル』
これほど魂のこもったパフォーマンスは二度と見られない
映画『レ・ミゼラブル』ヒュー・ジャックマン&アン・ハサウェイ 単独インタビュー

取材・文:編集部・森田真帆 写真:金井堯子

文豪ヴィクトル・ユーゴーの小説を基に世界43か国で上演され、今なおロングラン記録を更新し続けるミュージカルの金字塔「レ・ミゼラブル」を、映画『英国王のスピーチ』でアカデミー賞を受賞したトム・フーパー監督が映画化。圧倒的な歌唱力と演技力でジャン・バルジャンを熱演したヒュー・ジャックマンと、壮絶な役づくりでファンテーヌ役に挑んだアン・ハサウェイが作品への思いを語った。

■オスカーの共演で感じた運命!

Q:お二人は第81回アカデミー賞授賞式で共演しましたよね?

ヒュー・ジャックマン(以下、ヒュー):よく覚えていたね。そうさ、忘れられない思い出だよ。アンと僕は万が一のときのため、事前にレコーディングをしたんだけど、二人で歌った瞬間に僕らの歌の相性が抜群だってことがよくわかった。いつかアンと歌で共演をしたいと思っていたから、この映画で夢が実現したといえるね。

アン・ハサウェイ(以下、アン):本当にこの映画は何もかもが運命的なの! わたしがオスカーのホストをしたとき(第83回アカデミー賞)は「オン・マイ・オウン」を歌ったのよね。もちろんヒューとオスカーで共演したときから一緒にミュージカルをやりたいと思っていたわ。でもまさかこの映画で共演できることになるなんて本当に夢みたいだった。わたしの母も舞台女優でわたしが幼いころにファンテーヌを演じたのよ。完璧だと思わない?

Q:映画の中のお二人も完璧でしたよ!

ヒュー:どうもありがとう。僕もアンは本当に素晴らしかったと思うよ。アンがリハーサルに参加した初日のことを今でも覚えている。それまで僕は1週間ほどリハーサルをしていたんだけど、正直言ってほとんどのセリフが歌であることに少しだけ戸惑っていたんだ。舞台と同じようにやって、果たして映画として成立するのかってね。でもアンがリハーサルに参加して歌ったとき、僕はこの映画の成功を確信したんだ。

アン:ヒューにそう言ってもらえると、とてもうれしいわ。世界的に有名な「夢やぶれて」を歌うのはわたしにとって大変な試練だった。だって世の中にこの曲をわたしよりも上手に歌える人は山ほどいるんだもの。例えばスーザン・ボイルとかね。わたしは彼女のような歌声は持っていないから、自分なりの表現方法を探していかなければならなかったの。

ヒュー:実は今朝アンに言ったことがあるんだ。監督が2分半の間、カットもせずクローズアップで撮るということがどれほど役者にとって素晴らしいことかってね(アンが「夢やぶれて」を歌うシーン)。今ここで僕が証言するけれど、あれほど素晴らしい魂のこもったパフォーマンスは二度と見られないと思う。

アン:そんなふうに言ってもらえるなんてとっても光栄よ! でもね、わたしはたった15分くらいしか出番がないけれど、ヒューは出ずっぱりでしょ? 映画の全編で素晴らしい演技を披露しているんだから! ヒューはこの世界で一番素晴らしい人間よ。ショービズの世界には、歌はうまいけど演技はできない人、歌は下手だけど演技がうまい人、そういう人は山ほどいるの。でもヒューは歌もできる、ダンスもできる、さらに演技も最高に上手! この世の中にヒューができないことなんてないのよ。さらに性格も最高なんだから! 信じられないでしょう?

ヒュー:なんか照れくさくなってきた。ありがとう。僕のエージェントになってくれないかい(笑)?

■大迫力のミュージカルシーンの裏側

Q:本作はとても特殊な方法で撮影されたと伺いました。

ヒュー:そうだよ。普通のミュージカル映画というのは先に歌をレコーディングしておくんだけど、今回は全員がライブで歌ったんだ。特別なイヤホンを耳の中に入れて、そこから流れる電子ピアノの音に合わせて歌うんだよ。そのおかげで、僕らは全ての感情を歌にぶつけることができたし、自然に演じることができた。

アン:それから舞台版の「レ・ミゼラブル」には上演時間の決まりがあるから、オーケストラも演奏時間が一曲ごとにきちんと決まっているの。でも、トム(・フーパー監督)はそういったことにとらわれず、自由に演じさせてくれたの。自分なりの間の取り方で歌うことができたからすごく演じやすかったわ。

Q:たくさんのエキストラと共に「民衆の歌」を合唱するシーンも、すごく迫力がありましたね。

ヒュー:あれは舞台ではできないことだね。ものすごい数のエキストラだった。その中で歌うのはこの上なく気持ちのいいことだよ。実は、あのシーンにはプロデューサーの(キャメロン・)マッキントッシュも出演しているんだ。まあ、彼は音痴すぎるからマイクは切ってあったんだけどね(笑)。

アン:それに加えてすごいのは、あのシーンで歌う群衆を演じている俳優全員がちゃんしたミュージカル俳優だってこと。この映画には舞台版「レ・ミゼラブル」からもゲストがたくさん出演しているの。舞台版でジャン・バルジャンを演じたコルム・ウィルキンソンが司教役で登場しているし、工場でわたしを追い出そうとする女性を演じている人もロンドンでは有名な舞台女優さんなのよ。

■『レ・ミゼラブル』が持つ特別な力とは?

Q:お二人の壮絶な役づくりも話題になりましたね。

ヒュー:僕は最初のシーンのために、一瞬減量をしてまたすぐに戻したんだ。アンは11キロも痩せたんだよね。彼女の覚悟は本当にすごかったよ。よく覚えているんだけど、アンが頭をそられるシーンの打ち合わせをしていたとき、彼女は「どんなアクシデントが起きたとしても絶対にカットしないでカメラを回し続けてね」って監督に訴えていたんだ。僕なら無理!「絶対に傷つけないで! アクシデントが起きたらすぐにカットして!」ってなっちゃうのにね(笑)。

アン:わたしよりも先にヒューが丸刈りになったのよね。今も覚えているんだけど、ヘアメイクさんがヒューを丸刈りにしていくのを見ているうちに、気付いたら涙が止まらなくなっちゃったの。周りのスタッフは心配するでしょ? わたしが泣きだした途端、みんなが心配して集まってくれたんだけど「5分だけちょうだい! 今を乗り越えれば大丈夫だから」って言って5分だけ泣かせてもらったの。「あ~神様! わたし今年結婚式なのに!」って(笑)。(アンは現地時間9月29日に結婚)

ヒュー:僕もあのときのアンをよく覚えているよ。本当に痛々しかった。髪を切るのは初めてだったの?

アン:一度も切ったことなかったわ。ずっと伸ばし続けていたの。でも、何かそういう役が回ってきたら切るつもりだったのよ。もう30歳なんだし、そんなにもったいぶっていても仕方がないしね。切ってみたら「あら案外イケてるんじゃない?」って思えたし。ただ、結婚式だけはやっぱりロングがよかった!!

Q:お二人がそれだけ思いを込めた本作には、観ているこちらにも伝わるパワーがあったように思います。

ヒュー:『レ・ミゼラブル』には、舞台版も含め特別な何かがあると僕も思っている。人の心を溶かし、人生を変えてしまうほどの力がある。僕はこの作品でジャン・バルジャンを演じることで、忙しい人生の中で一度足を止め、人生で一番大切なものは何かと考えるチャンスをもらえた。この作品の登場人物全員に、どこか共通するところを必ず見つけることができると思うよ。

アン:わたしには理由はわからないけれど、人間は音楽に対して純粋に感動し、美しい情熱を感じて胸を打たれ涙を流すことがある。この作品の音楽は本当に素晴らしいし、20年以上もの間、人々に愛され歌い継がれてきた。例えば、恋が始まるときとか言葉なんていらないほどの情熱を感じるときがあるでしょ? ただ伝わる感情というものが。だからこの作品も、セリフよりも歌から感じとってもらいたいの。『レ・ミゼラブル』は直接、魂を揺さぶる力を持っているわ!

普段からアンのことを「アニー」と呼ぶヒューは、まるで彼女のお兄さんのようで二人の息はミュージカル同様ぴったり! 周囲を自然に笑顔にする特別な力を持っている二人だからこそ、この作品を作り上げていくことができたのだろう。あふれるほどの感情を歌に注ぐことに役者人生の全てを懸けた俳優たちによる奇跡のアンサンブルで、魂が震える感動を味わってもらいたい!

映画『レ・ミゼラブル』は12月21日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国公開

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