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ピーター・ジャクソン監督&マーティン・フリーマン
『ホビット 思いがけない冒険』
信頼できる仲間に囲まれた、最高の作品
『ホビット 思いがけない冒険』ピーター・ジャクソン監督&マーティン・フリーマン 単独インタビュー

写真:吉岡希鼓斗 編集・構成:シネマトゥデイ編集部

ファンタジーの原点ともいわれる小説「指輪物語」を映像化し、アカデミー賞にも輝いた映画『ロード・オブ・ザ・リング』3部作。最終章からおよそ8年、その前日譚(たん)を描く小説「ホビットの冒険」の映画化第1弾『ホビット 思いがけない冒険』がついに公開された。最新技術をフルに活用し、世界中の観客を魅了したファンタジー世界を再びスクリーンに描き出したピーター・ジャクソン監督が、主人公ビルボ役のマーティン・フリーマンと旅の仲間ドワーフを演じた俳優陣と共に本作を語った。

■迷いはあったけれど、最高の撮影だった!

Q:『ロード・オブ・ザ・リング』の世界と前作キャストたちとの再会はいかがでした?

ピーター・ジャクソン監督(以下、ジャクソン監督):この作品をやることにして、本当に良かったと思っている。同窓会みたいなんだ。スタッフはほとんど前作と同じだしね。最初はちょっと怖かったけど、撮影はとても楽しいし、一緒に映画作りをした信頼できる昔の仲間に囲まれて作業できるのは本当に最高だよ。

Q:以前インタビューで、「『ロード~』は生涯にまたとない作品」と言っていましたが、『ホビット』はいかがですか?

ジャクソン監督:前作の繰り返しはしたくなかったし、自分と張り合う気にもなれなかった。それで(降板した)ギレルモ・デル・トロを起用して「もうあそこへは戻れないよ、今度は違う人の番だ」って思っていた。でも(自分で監督を)することになって、すごく楽しんでいるよ。ある意味『ロード~』よりね。今回は以前より何をどうしたいのかよくわかっているから。

Q:この作品と『ロード~』との違いはどこにあるのでしょう?

ジャクソン監督:『ホビット』は『ロード~』と同じように撮っているけど主題は違う。僕らはビルボとドワーフの冒険を撮っている。『ロード~』のように世界を救うために指輪を破壊するという強烈なテーマではなくて、自国を取り戻すためにドラゴンと戦い、黄金を取り戻すという話だ。

マーティン・フリーマン(以下、マーティン):僕は前作に関わっていないけど、この作品は家族向けだから、彼に「この映画は子どもが観たいと思う映画なんだ。それは忘れないで」と言われたよ。とてもいいアドバイスだった。つまり、これは『ロード~』ほど黙示的ではないんだ。

■ビルボ役はマーティンしか考えられない!

Q:マーティンさんは出演が決まって初めて原作を読んだということですが、原作をよく知らない人を起用することに不安は?

ジャクソン監督:ビルボにはマーティンしか考えていなかったんだ。彼に話をしたとき、「SHERLOCK(シャーロック)」の2作目が決まっていて断られた。それから何百ものキャスティング・テープを見て、頭を抱えたよ。誰も見つからなかったから。それで、マーティンが英国で撮影をする8週間ほど、撮影を中止することにした。彼以外には本当に考えられなかったんだ。原作を読んでいなくても関係ないよ。脚本が映画を作るんだし。

Q:ではマーティンさんは、一度決まった役を断らなくてはいけなかったんですね?

マーティン:そう、動揺したよ。すごく悲しかったし、気をもんだ。こんなチャンスはめったに来ないし、僕は十分やる気があったんだ。準備もできていたし、長い間家族と離れる覚悟もできていた。だから、断らなくてはならなくなったときは本当に落ち込んだし。だから、話が戻ってきて、ものすごく喜んだことは言うまでもないよね。

Q:準備ができていたというのは、どういう意味ですか?

マーティン:長い歳月の間一つの作品に関われるかということだ。これって大変なことなんだよ、特に僕のように落ち着かなくて、すぐ退屈するタイプにはね。ほとんどの役者がそうだと思うけど、早く次のことがしたくなるんだ。

Q:役が大きすぎると感じたことはありませんでしたか?

マーティン:まったく。僕が優れているからっていう訳ではなくて、いや、僕はかなりいいと思うけど(笑)、そうは思わなかった。うぬぼれではなくてね。僕は役者で、これが仕事だ。例えば水道配管工は納屋の配管もできるし、豪邸の配管だってできる。ただ規模が違うだけさ。

■『ホビット』を躊躇(ちゅうちょ)した理由はドワーフたち!?

Q:本作では13人のドワーフを含め多くの主要キャラクターが登場します。とても大変だったと思うのですが。

ジャクソン監督:『ホビット』をやりたくないと思っていた理由の一つなんだ。難しいと思っていた。多数のキャラクターを使って、どうやって物語を進めていったらいいのか、悩むよね。でも、彼らに囲まれているのも楽しいものだよ。それぞれの個性はおのおのが作り出してくれているしね。

スティーヴン・ハンター(ドワーフ、ボンブール役):キャラクターづくりは、かなり自由だったんだ。それぞれを個性的にして、区別できるようにするためにね。例えば「ボンブールは料理が好きだったってのはどう?」という具合に。それぞれのドワーフに役者の個性が見えて、とても面白いよ。

Q:特殊メイクをして演じるのは大変でしたか? 大きな手や毛むくじゃらの足、さまざまなものを着けていますよね。

アダム・ブラウン(ドワーフ、オーリ役):最初は大変だったよ。お皿を持つだけでもすごく意識して、リハーサルを重ねて動作に慣れていった。でも今では普通に感じる。素顔で会ったときに「え、素顔ってそうだったっけ。忘れていたよ。で、元気?」って感じだよ。

Q:ドワーフ同士のケンカなどはありましたか?

ピーター・ハンブルトン(ドワーフ、グローイン役):僕らはみんな気の合うハッピーな集団だ。そりゃそれぞれ、いろいろあると思う。でも一緒にいて問題を感じたことはない。最高だよ。

ジョン・カレン(ドワーフ、オイン役):集団でいると、それぞれの長所や短所が見えてくるんだ。人によっては短所の方が多いヤツもいるけど(笑)。

ジャクソン監督:本当に考えたよ。「ドワーフ一人一人の全てを決めなくてはいけない。それぞれのシーンを決めて、セリフを考えなくては」って。でもキャストたちはキャラになりきっているからね。いろんなアイデアを出してきてくれるんだ。結局、役者がキャラになりきって演じてくれることで解決した。楽しいよ。

■ビルボは観客自身!とにかく冒険を楽しんで!

Q:「地面の穴のなかに、ひとりのホビットが住んでいました」(J.R.R.トールキン 訳:瀬田 貞二 「ホビットの冒険 上」岩波少年文庫・1979年・11頁)は、原作のオープニングを飾る有名なフレーズです。ここから受ける無邪気な雰囲気は映画全体にも反映されているのですか?

ジャクソン監督:無邪気な感じは重要なことだよ。ビルボは、僕の考えだけど、英雄だ。だって彼は僕らだから。彼はトロルやゴブリンと戦うつもりは毛頭なくて、ただ巻き込まれていくって感じだよね。でも面白い点は、この冒険が彼を少しずつ変えていくことなんだ。田舎育ちの無邪気な若い青年が強烈な冒険をするんだからね。

Q:この映画で伝えたいメッセージを教えていただけますか?

ジャクソン監督:映画館で楽しんでもらいたいってことだよ、冒険をね。

Q:マーティンさんは、これから世界中の人に名を知られることになります。

マーティン:ここ10年は英語圏では、人に気付かれているけど、そうだね。でもこれも代償の一つだ、一度発表されてしまったら、取り戻せないしね。僕にとって、レコード屋に行ってもそっとしておいてもらえるのは大切なことだった。でも、この仕事はそれを失ってでもやりたいことだったんだ。

ファンタジー映画の代名詞となったシリーズの世界観を、再び描くという壮大な冒険に挑んだ監督とキャストたち。しかしその表情と語り口は、プレッシャーからくる緊張を感じさせない明るいものだった。その雰囲気は、本作のトーンにしっかりと反映されているはず。子どものころのような純粋な気持ちと共に、彼らの冒険に心を躍らせてほしい。

(C) 2012 Warner Bros. Ent. TM Saul Zaentz Co.

映画『ホビット 思いがけない冒険』は全国公開中

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