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今週のクローズアップ 神様もびっくり!「ネ申」映画特集!

 イエスとブッダが共同生活を送るというぶっ飛んだ設定が話題になった中村光のマンガをアニメーション映画化した『聖☆おにいさん』がついに今週末10日より全国で公開されます。そこで今回は、神や宗教をテーマにした映画をピックアップ!
 まさに“救世主”といえる映画から、さまざまな議論を巻き起こした映画まで、神ならぬ「ネ申」映画を特集します!

まさに“救世主”!? 経営難のスタジオを救った映画

 神や宗教といったテーマは邦画ではあまりなじみのない印象がありますが、海外では宗教、とりわけキリスト教を題材にした作品が多く作られており、映画史に残る名作もずらり。とりわけ『ローマの休日』で知られるウィリアム・ワイラー監督による1959年の映画『ベン・ハー』はその筆頭といえるでしょう。

 ユダヤの豪族の息子ベン・ハーの運命を通して、救世主キリストの最後を描いた同作は、50年以上前の作品でありながら、現代の観客も楽しめる一大スペクタクル。240分=4時間という上映時間がネックですが、充実した映画時間を過ごせることは保証します。

 公開当時も大ヒットを記録しており、経営が傾きかけていた制作会社MGMをこの映画1本で立て直すことができたというのは有名な話。まさに“救世主”的な作品となりました。批評家筋の評価も高く、第32回アカデミー賞では作品賞含む最多11部門で受賞。後に『タイタニック』『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』の11部門と並び、これはいまだに史上最多部門受賞となっています。

 

公開当時の『ベン・ハー』のポスター
Time Life Pictures / Time & Life Pictures

『ベン・ハー』より
(C)1959 Turner Entertainment Co,an AOL Time Warner Company.(C)1959 Turner Entertainment Co.and Warner Home Video,an AOL Time War

賛否両論を巻き起こした映画

 その一方で、やはり繊細なテーマであるためか、公開時に賛否両論を巻き起こすのもこの手の映画の特徴といえそうです。モンティ・パイソンによる映画『モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン』はイエス・キリストと同じ時代を生きたブライアンを主人公にしたコメディーですが、聖書をテーマにあまりにもハチャメチャなことをやっているからか、世界中から批判を受けました。もっとも、パイソンズはこの作品に限らず良識派からは眉をひそめられる作品ばかりを発表していたので、いつものことといえばいつものことなのですが……。

 『タクシードライバー』などで知られるマーティン・スコセッシ監督が、イエス・キリストとユダの関係を軸に描いた映画『最後の誘惑』も批判を受けた一本。神聖視されがちだったイエス・キリストの苦悩にスポットライトを当て、一人の人間として描き、その点が論議の的となりました。上映妨害を受けたともいわれていますが、裏を返せば、イエスの人間として側面があまりに見事に描かれているが故の事件ともいえるかもしれません。

 スコセッシ監督はこの作品で『レイジング・ブル』に続き、2度目のアカデミー賞監督賞候補に挙がりましたが、宗教色が強かったことを懸念されたためか、受賞はならず。その後、2006年に『ディパーテッド』で念願の監督賞を獲得するまでアカデミー賞では無冠だったことも今となっては懐かしいですね。

 ちなみにスコセッシ監督は長年、遠藤周作さんの小説「沈黙」を原作にした『サイレンス(原題) / Silence』の企画を温めており、先日には、ついに来年夏に台湾にて撮影が開始されると報じられました。江戸時代初期のキリシタン弾圧をテーマにした作品ということで、またも『最後の誘惑』同様の議論が巻き起こるかもしれません。

 
『モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン』より
Evening Standard / Hulton Archive
上映反対運動も巻き起こった『最後の誘惑』
Express / Hulton Archive
『最後の誘惑』撮影中のスコセッシ監督。わ、若い…!
Hulton Archive / Hulton Archive
お騒がせスターによるお騒がせ映画!

 そして、近年のキリスト教映画で最も論議を巻き起こしたといっても過言ではないのが、お騒がせスターのメル・ギブソンが監督を務めた2004年の『パッション』。ギブソン自身の反ユダヤ主義が前面に出ていると抗議を受けたのみならず、拷問シーンの残酷描写もすさまじく、観客がショック死したことは大きく取り上げられました。

 その一方で全編を通じてアラム語とラテン語で撮影し、吹き替え版の制作を一切認めなかったというこだわりはさすがであり、作品の評価自体は高いのですが、いかんせん監督の人間性が疑われる作品になってしまった感は否めません。本作を含め『ブレイブハート』『アポカリプト』といったギブソンの監督作品は良質なものが多いので、ぜひともたびたびゴシップ誌をにぎわす私生活を整理した上で、また監督業を再開させてほしいものです。

 もっとも、海外では大まじめに宗教を扱った作品ばかりが作られているわけではありません。ウーピー・ゴールドバーグが主演したミュージカル映画『天使にラブ・ソングを…』は殺人現場を目撃した歌手が修道院に姿を隠す話ですし、大ヒットを記録した映画『ダ・ヴィンチ・コード』はキリスト教が重要な役割を果たしていたとはいえミステリー・アクションの要素が強いエンターテインメントでした。

 そうそう、これはイタリア映画ですが、昨年日本公開された『ローマ法王の休日』は、新法王に選ばれた主人公がプレッシャーのあまり逃げてしまうという傑作コメディー。しかし、まさか『ローマ法王の休日』の公開から1年たたず、本物のローマ法王が逃亡ならぬ退位をしてしまったのは驚きでした……(存命中の退位は約600年ぶりだとか)。

激しい拷問シーン…『パッション』より
Kobal/ICON PROD. / MARQUIS FILMS/The Kobal Collection/WireImage.com
監督・役者としての力量は確かなのですが…メル・ギブソン
超人気コミック、待望のアニメ化!ブッダとイエスが東京・立川で同居!

 こうして見ると、やはり神や宗教を扱った映画は海外に多い印象がありますが、そんな中、日本で公開されるのがイエス・キリストとブッダを主人公にしたアニメーション映画『聖☆おにいさん』。累計1,000万部を突破している中村光の人気コミック、待望のアニメーション映画化です。とはいえ、原作がギャグマンガですので、深遠な宗教上のテーマを扱っているわけではありません。

 イエス・キリストとブッダがバカンスのためにやってきた東京・立川で日常生活ならぬ日常聖活を送っている……ということからもわかるように、平凡な日々を描いた作品。それでもイエスとブッダが共存しているという設定は八百よろずの神様がいる日本ならではのものでしょうし、イエスともブッダとも縁遠い日本が舞台でなければ成立しなかった作品でしょう。2006年の連載開始当初から大きな話題になっており、今でもコミックスは新刊が出るたびに書店で山積みされるので、それを見たことがあるという人も多いはず。では国外から批判があるのかと思いきや、コミックスは大英博物館に展示されたというのだから驚きです。

 待望のアニメ化となった映画版では、原作のエピソードをなぞりつつ、オリジナル展開を交えながら彼らの春夏秋冬を描いています。「涅槃(ねはん)」「湖の上を歩くエピソード」といった宗教逸話を元ネタにしたギャグやカルチャーギャップによる原作ファンならばおなじみのもの。一方で、日本の四季が細かく描写されており、スクリーン上に映されているのは、イエスやブッダの目を通した日本の姿。また、原作の絵柄を忠実に再現したアニメーション表現が用いられているのもファンにはうれしいところです。

 ちなみに原作では、イエスとブッダのほかにもさまざまなキャラクターが登場し、その中には神も含まれているのですが、映画版ではイエスとブッダが中心となるエピソードがチョイスされているため、登場する聖人は基本的にはイエスとブッダのみ。彼らと下界の人々の交流もそれはそれで心温まるものなのですが、原作ファンとしてはぜひともブッダの一番弟子であるアナンダや四大天使を出してほしい……! 続編製作をお願いしたいところです。

 とはいえ実は、イエス・キリストもブッダも“神”ではありません。諸説はありますが、キリスト教において「イエス」は「神の子」であり、ブッダはサンスクリット語で「悟った人」という意味。なるほど、だから「神☆おにいさん」ではなく「聖☆おにいさん」なのか……とタイトルに込められた意味を(勝手に)想像してみるのも一興かもしれません。

 あれ、じゃあ「神映画」と特集とうたっておきながら、神様が出てこない映画ばかり紹介していないか……と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで紹介したのは“神”こそ登場しませんが、“ネ申”映画ばかり。どれもオススメの作品ですので、機会があれば観てみてはいかがでしょうか?

映画『聖☆おにいさん』は5月10日より全国公開

アニメ『聖☆おにいさん』より
(C) 中村光・講談社 / SYM 製作委員会
(C) 中村光・講談社 / SYM 製作委員会
(C) 中村光・講談社 / SYM 製作委員会
(C) 中村光・講談社 / SYM 製作委員会
(C) 中村光・講談社 / SYM 製作委員会
(C) 中村光・講談社 / SYM 製作委員会
文・構成:シネマトゥデイ編集部 福田麗

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