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第1限:ピクサーってこんな会社!

ピクサー訪問記『モンスターズ・ユニバーシティ』編

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連載「ピクサー訪問記~『モンスターズ・ユニバーシティ』編」
第1限「ピクサーってこんな会社!」

 皆さんは、ピクサーという会社をご存じでしょうか? アメリカ・カリフォルニアにあるアニメーション制作会社です。名前を聞いてもピンとこない……という人も、『トイ・ストーリー』『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』という映画を観たことがある、もしくは名前を知っている、という人は多いでしょう。そう、ピクサーはこれらの作品を作っている会社なのです!

 今回は、7月6日に公開を控えた『モンスターズ・ユニバーシティ』の取材で、アメリカ・カリフォルニアにあるピクサー・アニメーション・スタジオに潜入してきました! この連載「ピクサー訪問記 『モンスターズ・ユニバーシティ』編」では、監督や日本人スタッフのインタビューはもちろん、会社の雰囲気や施設など、いろいろ見聞きしたことを紹介します!

 第1回では、ピクサーの会社がどんなところなのかをリポート!

取材・文:編集部 福田麗

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写真で紹介!ピクサーのあれこれ!

 1995年の『トイ・ストーリー』から昨年の『メリダとおそろしの森』まで、13作品の長編アニメーション作品を発表しているピクサーは、内7作品でアカデミー賞長編アニメ賞を受賞しています。同賞は2001年の第74回からスタートした比較的歴史の浅い賞で、まだ12作品しか受賞作が出ていません。実にその半数以上をピクサー作品が占めているといえば、そのすごさがよくわかりますね。

 6月某日、そんなピクサーを訪問しました。このカリフォルニア・エメリービルにあるスタジオには2000年秋に移転。作品でいうと『モンスターズ・インク』以降はここのスタジオで制作されています。

『モンスターズ・ユニバーシティ』

 入口から「おお、ピクサー」という感じです。

『モンスターズ・ユニバーシティ』

 駐車場への入口は『カーズ2』のロゴでデザイン!

 ピクサーはその時々の新作に合わせて会社の敷地内を装飾していて、今年はもちろん『モンスターズ・ユニバーシティ』でした。

『モンスターズ・ユニバーシティ』

 「モンスターズ・ユニバーシティ」の門を模したゲート!

『モンスターズ・ユニバーシティ』

 「モンスターズ・ユニバーシティ」の新歓ブースが現実に!(興奮のあまりカメラのシャッターが止まらない……)

『モンスターズ・ユニバーシティ』
『モンスターズ・ユニバーシティ』

 ピクサーのオープニングクレジットでもおなじみのマスコットキャラクター「ルクソーJr」。名前はピクサーが1986年に発表した短編映画より取られています

『モンスターズ・ユニバーシティ』

 そして、その奥にあるのがオフィスである「ザ・スティーブ・ジョブズ・ビルディング」。2011年に亡くなった同社創設者の一人で、米アップル前CEOとして知られるスティーブ・ジョブズ氏から名前を取ったビルディングです。

『モンスターズ・ユニバーシティ』

 エントランスではレゴでできた『トイ・ストーリー』のウッディ&バズがお出迎え!

『モンスターズ・ユニバーシティ』

 エントランス脇にはこれまで獲得したオスカー像がずらり! ゴールデン・グローブ賞やアニー賞のトロフィーも飾られています。

『モンスターズ・ユニバーシティ』

 広々としたスペースは社員同士が自然に顔を合わせて会話できるようにしているのだとか。

『モンスターズ・ユニバーシティ』

 ビリヤード台が置いてあります。ちなみにここは会社です。

『モンスターズ・ユニバーシティ』

 卓球台もあります。大事なことなので2回言いますが、ここは会社です。

 現在ピクサーでは約1,200名が働いています。一つの作品を作るのにはだいたい3~4年かかり、ピーク時には1本につき約260名のスタッフが関わっているといいます。今や世界のアニメーション界を代表するスタジオになったといっても過言ではないピクサーは、アニメーション会社としてのスケールでもずば抜けているのです。

ピクサー社員に直撃インタビュー!
『モンスターズ・ユニバーシティ』

 今や大企業となったピクサーですが、その前身はとある企業の一部門でしかありませんでした。その企業とは『スター・ウォーズ』で知られるルーカスフィルム。それをアップルコンピュータ(当時)を退社したスティーブ・ジョブズらが1986年に買収し、独立したのが「ピクサー」です。もっとも、独立当時はアニメーション会社というよりはソフトウェア会社としての側面が強かったというのも、今となっては信じがたいことかもしれません。

『モンスターズ・ユニバーシティ』
小西園子さん

 実際、現在もピクサーで働いている日本人の小西園子さんは『トイ・ストーリー』がまだ世に出る前の1994年に入社しましたが、ピクサーがアニメーションを作るということにびっくりしたそうです。

「ピクサーに入ったのはシカゴの大学に行っているときに大学の先生に『ピクサーっていう会社が世界で初めて3Dの映画を作るんだ』と教えてもらって、それでデモリールを送ったのがきっかけでした。その頃のピクサーは『レンダーマン』というソフトウェアがメインだったので、『あれ? ソフトウェアの会社が映画を作るんだ』という感覚でしたね」

『モンスターズ・ユニバーシティ』
映画『モンスターズ・ユニバーシティ』より

 ですが、その世界初のフルCGアニメーション映画、『トイ・ストーリー』が全てを変えました。同作のジョン・ラセター監督は、まだ長編アニメ賞が創設されていなかった第68回アカデミー賞で特別業績賞を受賞。1998年に発表した『バグズ・ライフ』、1999年の『トイ・ストーリー2』のいずれもがヒットを記録し、ピクサーは世界有数のアニメーション会社に成長します。それに伴い、従業員も増え、周囲を取り巻く環境は大きく変化しました。

 当時を知る小西さんは「人数が多くなりましたね」と語りつつも、会社としての方向性にぶれはなかったと断言します。

『モンスターズ・ユニバーシティ』
小西園子さん

「上の方がしっかりしているので、そのDNAが受け継がれているんです。ジョン・ラセターと、スティーブ・ジョブズと。元々の目標は古い人も新しい人も同じように、入ったときからたたき込まれているので、個人的に全体を見ればそんなに変わっていないと思います。確かに人が多くなったのでいろいろな人がいますが、それもある意味リフレッシュになって個人的には好きです」

 では、そのDNAとは何なのでしょうか?

「やっぱり、全部手作りなんですよね。それに対する情熱というか。みんなで一から作り上げるチームワークの大切さというか……。ものづくりへの情熱をわたしたちも絶対、いただいていると思います」

こんな仕事をしています!
『モンスターズ・ユニバーシティ』

 小西さんがピクサーで担当しているのは、「シミュレーション」という分野。これは簡単にいうと、映画の中のキャラクターや物体を重く見せたり、キャラクターが走るときにジャケットや髪をなびかせたり、そういったディテールを処理する仕事になります。正直、観客が気にすることはあまりないでしょうが、こういったところがおろそかになると映画からリアリティーが失われてしまうため、作品にとっては非常に重要な役割を果たしています。

 小西さんに、具体的な仕事内容について聞いてみました。

『モンスターズ・ユニバーシティ』
この旗が揺らめいている感じ…それを表現するのがシミュレーションの仕事です!

Q:「シミュレーション」という仕事が最も映画の中でわかりやすい個所はどこでしょう?

 わかりやすい例は……そうですね。カーテンが開いたり、なびいたりするところでしょうか。あそこもわたしたちがちゃんとやっているんですよ。実は、そこが一番難しいところでもあるんです。布の動きというのは「あ、カーテンが動いている!」というふうに一番わかりやすいので。

『モンスターズ・ユニバーシティ』
サリーの毛並みを表現するのもなかなか大変だったとか……。

Q:できるだけ絵を自然に、溶け込むようにするのが仕事というわけですね。この仕事の醍醐味(だいごみ)というと、どのような部分ですか?

 これは面白いことに、自分たちの仕事が気付かれないとうれしいんです。気付かれない喜びがあります。だけどシーンによっては大げさにすることもあります。例えば、バーンって爆発するときには風を強くつけたり……。さらにエフェクトの作業も加わって、炎が出ていたりするので。最後に全部まとめて、「ああ、気付かれなかったからよかったかな」と。その感覚は『メリダ』のときに押さえたので、気付かれない方が美しいという。

Q:ピクサーはどんな会社でしょうか?

『モンスターズ・ユニバーシティ』
こうやったときに揺れる毛並みもシミュレーションの人が担当するそうです。

 日本の会社で働いたことがないので比較ができないんですけど、会社のモットーはすごくオープンでお互いを信用するということなので、意見もオープンにずばずば言ったりします。このビルそのものもそうなんですけど、こうやって大きい空間が与えられていますよね。みんながランチを取ったり、どこかで落ち合ったり、そういう機会ができる環境なんですよ。そういうときにやっぱりクリエイティブな意見とかを考えて話を交わしたりして、「ああ」と思うときもありますし。あとはやっぱりご覧の通り結構広々としているので会社内に開放感もあるのは確かだと思います。

『モンスターズ・ユニバーシティ』
とても楽しそうにピクサーの仕事について話してくれました!

Q:コミュニケーションが取りやすいんですね。

 そうですね。昼休みになるとみんなでサッカーをやっていたり、ジムで運動したり、みんなでランチしたり……ほかにもピクサーは「ピクサー・ユニバーシティ」という社内教育がしっかりしているので、そのときにやはりいろいろなゲスト講演者とかアートディレクターなど連れてきてくれて、映画に関してもインディペンデントフィルムなどの違う分野のものを観せてくれます。それで意見を交わすということをしています。

 ピクサーがあれだけの良作を立て続けに発表できるのには、自由な社内環境も大いに関係している……ということがわかりました。サッカーグラウンドやプールのある会社なんて、日本ではなかなか考えにくいですよね。

『モンスターズ・ユニバーシティ』
こちらがもう一人の日本人、堤大介さんです!

 では、ピクサーの社員は一体どんなオフィスで働いているのか? 次回は、ピクサーで働くもう一人の日本人、堤大介さんへのインタビューです!

映画『モンスターズ・ユニバーシティ』は7月6日より2D・3D同時公開

(C) 2013 Disney / Pixar. All Rights Reserved.

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