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ジェリー・ブラッカイマー&ゴア・ヴァービンスキー監督
『ローン・レンジャー』
欠点があればあるほど、ヒーローは魅力的になる
『ローン・レンジャー』ジェリー・ブラッカイマー&ゴア・ヴァービンスキー監督 単独インタビュー

取材・文:相馬学 写真:吉岡希鼓斗

ラジオドラマとして誕生し、1950年代にはテレビシリーズとして爆発的な人気を呼び起こしたヒーロー活劇に基づく『ローン・レンジャー』。開拓時代のアメリカ西部を舞台に、ローン・レンジャーとその相棒トントの冒険を描いた一大アドベンチャー映画だ。主演のジョニー・デップと共に、本作の3本柱となっているゴア・ヴァービンスキー監督と製作のジェリー・ブラッカイマーが、舞台裏を語った。

■映画『ローン・レンジャー』が誕生するまで

Q:「ローン・レンジャー」はお好きだったのですか?

ジェリー・ブラッカイマー(以下、ブラッカイマー):もちろん。テレビシリーズの元ネタである1930年代のラジオドラマは、わたしが生まれ育ったデトロイトの局で生まれたものだった。当時は生まれていなかったから聞いたことはないが、後のテレビシリーズには夢中になったね。子どもの頃の良き思い出だよ。

Q:これをリメイクしようと思ったのはなぜですか?

ブラッカイマー:素晴らしいエンターテインメントに必要な要素はユーモアとロマンス、そしてスケールの大きなアクションだ。『ローン・レンジャー』にはそれらが全てそろっていた。それにわたしはヒーローが大好きだから、申し分のない題材だったのさ。

Q:撮影する上で、最も大きな挑戦は何だったのでしよう?

ゴア・ヴァービンスキー(以下、ヴァービンスキー):CGを極力控えて、実際に目に見えるものを使って撮ろうとしたことだね。スクリーンに映る全てのものが本物に見えるようにしたかったし、観客にリアルに感じてほしかった。例えば、鉄橋の爆破シーンは4分の1サイズのミニチュアを作って撮影した。ミニチュア撮影は今や失われつつある特撮技術だから、大変ではあったけれど、やれて良かったよ。

■一枚の写真から生まれたキャラクター

Q:ジョニー・デップは『パイレーツ』のジャック・スパロウと同様に、頼れるものの、ユーモラスなところのあるキャラクターを演じていますね。彼が演じたトントというキャラクターについて教えてください。

ブラッカイマー:ゴアと話し合ってした重要な決断は、語り手をトントにするということだね。トントから見たヒーロー、ローン・レンジャーを描こうとした。そうすることによって映画の中のジョニーの役割は必然的に大きくなるが、彼ならばトントを魅力的にしてくれるだろうと思ったんだ。

ヴァービンスキー:トントのビジュアルは、もともとはジョニーが鳥を頭に乗せている自分の写真を見せてくれたことから始まった。脚本もまだ完成していない段階だったけれど、「これだ!」と思ったよ。写真を見ながら、この鳥がどこから来たのかを僕らは意味付けしていったんだ。トントは古典的なキャラクターで、ピエロに近いと思う。ピエロの中でも、特にひかれるのは悲しみが宿るピエロだ。トントはそういうイメージで、少年時代の悲劇を絡めてバックストーリーを作っていった。その意味では、ジョニーが撮った一枚の写真から、トントのドラマが生まれたといえるね。

■いい男は何をやってもサマになる!

Q:ジョニー・デップは今回も奇抜なメイクをしていますね。ハンサムな彼をあえて崩して見せるのは意図的なものですか?

ブラッカイマー:その通り。ジョニーは誰もが認めるとおり、クリエイティブで、普通ではないキャラクターを演じる素晴らしい才能を持っている。それは彼に与えられた天賦の才能だね。それにジャック・スパロウのように金歯を入れた姿もそうだし、トントのように白塗りにした姿もそうだが、どんなに奇抜なメイクをしていても、ジョニーが演じるとやはりハンサムで魅力的になる。いい男は何をやってもサマになるのさ。

ヴァービンスキー:単に見た目がかっこいいだけでは、つまらないじゃないか。ピカレスクドラマでは往々にして悪漢風のキャラクターがヒーローになるけれど、そういうキャラクターの方がずっと面白いよ。欠点があればあるほど、ヒーローは魅力的になるんじゃないかな。

■ヒットメーカー、今後を明かす

Q:監督は『パイレーツ・オブ・カリビアン』の1作目で大ブレイクを果たしました。あれから10年がたちましたが、ご自身の中で大きな変化はどこにありましたか?

ヴァービンスキー:経験を積んだことで、自分に自信が持てるようになったよ。一方で自分にとって、たとえ苦手なものでも探求していこうという気持ちが芽生えてきた。挑戦することを恐れなくなったね。

Q:次回作のプランは? 『ローン・レンジャー』のような大作になるのでしょうか? それとも『ランゴ』のような作家性の強い作品になるのでしょうか?

ヴァービンスキー:まだ決定していないけれど、小規模の作品の企画はいくつか挙がっている。まあ、どれを撮ったとしてもストレンジな作品になると思うよ(笑)。

Q:ブラッカイマーさんは2015年に『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの第5作が控えていますが、こちらはどんな作品になるのでしょう?

ブラッカイマー:具体的な内容については、まだ話せる段階ではない。わたしたちも試行錯誤をしている真っ最中だからね。ただ、とにかくエキサイティングな映画になることは間違いない。来年早々には撮影に入る予定で、わたしたちもとても楽しみにしているんだ。

観客のハートをつかむ破格のエンターテインメントを追求し続けるブラッカイマーと、その質にこだわるヴァービンスキー。そこにジョニー・デップという輝きが加わって化学反応が起こるのは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズで証明済みだ。言うまでもなく『ローン・レンジャー』でも、その効果がきらめいている。本作に触れたなら、彼らがハリウッド最強トリオと呼ばれるのもうなずけるに違いない。

(C) Disney Enterprises, Inc. and Jerry Bruckheimer Inc. All Rights Reserved.

映画『ローン・レンジャー』は8月2日より全国公開

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