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ヒュー・ジャックマン&真田広之
『ウルヴァリン:SAMURAI』
ずっと、この作品をやりたかった
『ウルヴァリン:SAMURAI』ヒュー・ジャックマン&真田広之 単独インタビュー

取材・文:細谷佳史 写真:高野広美, Armando Gallo / Retna Ltd./amanaimages

『X−メン』シリーズで最も人気の高いキャラクター・ウルヴァリンを主人公にした新作『ウルヴァリン:SAMURAI』がいよいよ日本上陸! この夏、世界中で大ヒットを記録中の新作は、ウルヴァリンが日本のアンダーグラウンドの世界に巻き込まれるという、ノワールタッチのユニークな作品だ。ウルヴァリンを演じるヒュー・ジャックマンとその敵・シンゲンを演じる真田広之が全米公開直前のニューヨークでその魅力を語った。

■13年来の宿願!

Q:原作コミックの中で、なぜこのエピソードを映画化することにしたのでしょう?

ヒュー・ジャックマン(以下ヒュー):『X−メン』の1作目のとき、ブライアン・シンガーは、出演者全員にコミックブックを読まないように警告した。ブライアンはコミックブックに影響を受け、演技が平面的になるのを恐れたんだ。彼はもっとリアルで人間らしい演技を求めていたからね。だからその現場では、人々はコミックブックを密輸品のように扱っていた。そして誰かが僕の部屋のドアの下からコミックブックを忍び込ませたんだけど、それが日本を舞台にしたクリス・クレアモントの原作だったんだ。それを読んだ後、プロデューサーのローレン・シュラー・ドナーに「これは素晴らしい映画になる」って言ったよ。そしてそれから13年後にやっと、この作品でその原作の映画化を実現できた。僕はずっとこの作品をやりたかったんだ。

Q:ジェームズ・マンゴールド(以下、ジム)監督は、いわゆるアクション畑ではない人ですよね。

ヒュー:この映画ではよくあるやり方はしたくなかった。日本が舞台で、今までと違う感じのものだったしね。一緒に作品を観た妻は、この作品の僕の演技について、これまでやったどの作品よりもいいと言ってくれたよ。それはジムのおかげだ。僕はこれまで何本もの映画をやってきたし、ヒロ(真田広之)は100本ぐらいの映画をやってきている。福島リラとTAOにとっては初めての映画だけど、ジムは全員から最高のものを引き出したんだ。彼と仕事をしたアンジェリーナ・ジョリーやリース・ウィザースプーンといった女優たちが、なぜアカデミー賞を受賞したかわかった気がしたね。同じような役を何度か演じていくと、役者は演技の中でもっといろんなことがしたくなるものなんだけど、ジムは、「いろいろなことをする必要はない。もっと感情的に深みのある芝居をしてくれ」と言ったんだ。

■真田広之の態度に感銘!

Q:この作品では、ウルヴァリンの人間的な部分、これまで見られなかった弱い面が出てきますね。演じていていかがでしたか?

ヒュー:シリーズを通してウルヴァリンはどんどん無敵になっていって、ほとんどばかげた感じになっていた。彼は自分の人生に嫌気が差して、ずっと死にたいと思いながら死ぬことができなかったんだ。でも、本当に死を意識することで、初めて自分が望むものに気付くんだ。それを演じるのは面白かったよ。

Q:日本での撮影についてはいかがでしたか?

ヒュー:素晴らしかった。日本には何度も行っているけど、1か月ぐらいいて、地下鉄や街、お寺やパチンコ屋といろんな場所で撮影し、(広島の)鞆の浦や福山にも行ったし、週末には富士山にも登った。本当に素晴らしい時間を過ごしたよ。

Q:真田さんとのお仕事はいかがでしたか?

ヒュー:ヒロは、日本人の俳優たちのリーダー的存在だった。特に福島リラとTAOは初めての映画だったから、彼が日本語でアドバイスしてくれたのは素晴らしかったよ。日本人のエキストラのヒロに対する反応もすごかったね。みんなヒロを見たら興奮するんだ。そして撮影が終わった後、ヒロはエキストラの人たち全員に一人ずつお礼を言って回る。彼のような有名人が、あんなに謙虚で、ファンを大事にする姿を見て、大いに刺激を受けた。それは僕にとっての新しい基準になったよ。

■オリジナルな日本ができるまで

Q:この作品に出演するにあたり、真田さんはどんな点を意識されたのでしょうか?

真田広之(以下、真田):バランスですね。日本が描かれるということで、日本の観客も含め、それが世界に向けてどう描かれるかということは、作品に参加する上でとても気になっていました。監督のジムと話をして、アメリカから見た日本と、現在のリアルな日本、原作が書かれた1980年代のアメリカ人から見た日本、それに監督が好きな昔の日本映画の要素が混ざり合った、オリジナルな日本を、ローガン(ウルヴァリン)の目を通して観客に伝えようとしているんだというのがわかったんです。ジムに会って、そういった配合が良いものになると信じることができたんですね。「この人なら大丈夫だ」と。それとアクションとドラマのバランスも気になっていたんですが、ジムは基本的にドラマの監督ですから、そのことが良いバランスを生み出すのではないかと思えたんです。

■信頼感が生んだ名シーン

Q:この映画の大きな見どころは、真田さんが演じるシンゲンとウルヴァリンの対決ですが、そのシーンはどのように映像化されていったのですか?

真田:まず事前に、ヒューなしでスタントチームとそのシーンの振り付けを作って、それをヒューに提案することしました。ヒューもその間、自分自身でスタントマンと個別に練習していたんですが、スケジュールの都合もあって、現場で初合わせすることになったんです。でもヒューは素晴らしいダンサーで、ウルヴァリンのファイティングスタイルを12年間やってきているわけだし、サムライ的なものを特に教える必要もなかったので、大きな問題はなかったですね。でも、戦いの間合いには気を配りました。彼の武器は爪で、せいぜい30センチ弱。僕は両手に日本刀を持っているわけですが、ヒューのリーチ(腕)は長いんです。(脚の長さも)彼の1歩が僕の3歩ぐらいあるわけです(笑)。それから彼が僕の刀を腕で受けたり、首で受けたりする。彼は刺しても死なないですしね。そういった振り付けをスピードを落とさずにやらないといけないわけですが、ヒューは上半身裸ですから、とてもけがをしやすい。だから間合いを計って、フルスイングで刀を振って当てたように見せながら、決して相手を傷つけないでやるというのはかなりのプレッシャーでした。

Q:あのシーンは、最近よくある細かくカットを割った演出ではありませんでした。長回しで撮影した分、とても緊張感がありましたね。

真田:監督がカットをあまり割りたくないというのもあったんですが、僕とヒューで長回しに耐え得る動きがやれたというのが大きかったですね。ヒューは毎テイク、同じポジションと同じタイミングで動いてくれるから、僕もやりやすかったです。でも毎回寸止めのアクションですから大変でした。ヒューの頬を切るところでも、フルスイングで寸止めなんです。ヒューのアシスタントが、「今当たったんじゃない?」って慌てて飛んできて、「大丈夫。当たっていない」って安心させたりしていましたね(笑)。普通ああいったシーンは、刀のない柄だけで、後からCGで刀を足すやり方をするんですが、今回は全カット、ヒューも爪を着けて、僕も刀を持ってやりました。でもそれをやるには、ヒューが僕のことを完全に信頼してくれないとやれないわけで、そこまで彼が僕を信頼し、身を預けてくれたのはうれしかったですね。

ヒューと真田の話を聞いていて、プロ中のプロという言葉が頭に浮かんだ。二人の間には、一流の役者だからわかり合える世界があり、そういった世界を共有し合える二人がなんともうらやましく感じられた。オーストラリア人のヒューと日本人の真田が手を組んで世界に発信する『ウルヴァリン:SAMURAI』。VFXのオンパレードといった作品が多い最近のハリウッド大作の中、CGよりも役者の迫真の演技が印象に残る、今年一番新鮮なスーパーヒーロー映画の登場だ!

(C) 2013 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved

映画『ウルヴァリン:SAMURAI』は9月13日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国公開

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