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長澤まさみ&岡田将生
『潔く柔く きよくやわく』
喪失感を乗り越えた先にあるラブストーリー
『潔く柔く きよくやわく』長澤まさみ&岡田将生 単独インタビュー

取材・文:前田かおり 写真:高野広美

累計発行部数295万部を突破した、いくえみ綾(りょう)の大人気コミックを実写化した映画『潔く柔く きよくやわく』。15歳のときに幼なじみを亡くし、恋をすることができなくなった瀬戸カンナと、小学生の頃に同級生の女の子と事故に遭い、自分だけが生き残った赤沢禄を、それぞれ演じた長澤まさみと岡田将生が、撮影秘話や本作で登場する“いくえみ男子”について語った。

■ただのラブストーリーではなく、成長物語でもある

Q:長澤さんも岡田さんも、最近演じてきたキャラクターとはかなり違った役どころでしたが、出来上がった作品をご覧になってどう感じられましたか?

長澤まさみ(以下、長澤):久しぶりのラブストーリーでした。演じていても、心温まるというか、二人の恋愛はすごくかわいらしくて、とてもほんわかする。でも、それだけではなくて、大切な人を失った過去を抱え、その事柄と向き合うことをずっと避けて、いつの間にか大人になってしまったカンナが、禄と出会ったことで、その事柄と向き合い、乗り越えていくという成長物語でもある。ただのラブストーリーではなく、心の中にあるわだかまりをきちんと解決して、前に一歩進めるかということと誠実に向き合っている女性だったので、すごく中身のある役柄を演じられたと思っています。

岡田将生(以下、岡田):僕は自分が出演している作品をなかなか客観的に観られないんですけど、この作品はただの恋愛だけではない。死というテーマも扱っていますし、それを明確に表現できている点が良かったなというのが、正直な感想です。

■高校時代のシーンに憧れ!?

Q:前半のカンナとハルタの高校時代の場面など、青春しているステキなシーンがたくさんありましたね。

長澤:そうですね。撮影のときに、高校時代の4人組を演じる、高良(健吾)くんと中村(蒼)くん、波瑠ちゃんと「こんな仲の良い4人組っていたかな?」「恥ずかしくて、できなかったよね」って話になったんです。だから「ちょっと憧れの要素もあるよね」って話をしていました。

Q:長澤さんが特にお気に入りのシーンはありますか?

長澤:お祭りのシーンで、抜け駆けした真山とカンナが二人でしゃべっているところにハルタが来て、真山に「おまえ、何で携帯の電源を切っているんだよ」って言うところが好きですね。こういうのが、自分の青春にあったらうれしかったかなと。わたしの願望です(笑)。

岡田:僕もそのシーン、好きです。高校生のときにこんな青春があったらいいなって。真山の行動が男の僕から見ても、すごく純だなって。僕もああいうこと、やりたかったなーって思いましたね(笑)。

Q:長澤さんは今回、泣くシーンがとても印象的でしたし、岡田さんは、亡くなった少女の姉・愛実(池脇千鶴)との再会のシーンなど、戸惑う表情が多かった気がします。それぞれ演じられて、難しいと思われたことはありませんでしたか?

長澤:わたしは泣くシーンが4回。涙のこぼし方とか、それぞれに違う印象を残せたかなと思っています。それは、この作品に限ったことではなくて、女優の場合、泣くシーンって多いと思うんです。男優だったら殴るシーンや戦うシーンが多いように。だから、いつも泣くシーンでは何か印象を残せたらって思うんです。涙はただの感情でしかない。だから、きれいに流れたらいいなと思っています。

岡田:僕の場合は、新城(毅彦)監督の作品は二度目だったのですが、監督は「とにかく一度やってみよう」という方なので、やってみて、監督の求めている形に擦り合わせていけたかなと思います。ただ、山のシーンは体力的、精神的にきつかったですね。前日まで、現在のカンナと楽しいシーンだったのが、次の日、愛実との少し重いシーン。せっかく気持ちの整理がついてスッキリしたのに、また過去の苦しかった思いに戻らなきゃいけない。過去と現在を行き来しているみたいで、正直きつかったですね。

■女子の理想「いくえみ男子」とは?

Q:長澤さんは原作の大ファンだそうですね。しかも「いくえみ男子が理想」とおっしゃっていましたが、具体的にはどんなところが理想なんですか?

長澤:女の子の思う通りに動いてくれないところ。ちょっと意地悪で強引で、自分の思うままに動いてくれないから、それがもどかしくて。でも好き、みたいな(笑)。普通の少女漫画はそんな男の子が出てきても、こじつけみたいな設定が多くて、何でこうなる? と思ってしまうんです。だけど、いくえみ先生の登場人物には無理がなくて。自然とそうなっていく。だから、いくえみ男子に男性も女性もファンが多いんじゃないかなと思います。

Q:禄ちゃんは、いくえみ男子の中でも理想の男子ですか?

長澤:うーん……。

岡田:えっ!? ハルタじゃないんですか?

長澤:ハルタはねぇ……。

岡田:ダメなんですか?

長澤:ハルタは自分にとって一番大切なものを、大事にできなかった。それって自分に自信がないからだと思うんです。そういうところ、男性としてはちょっと……。あとハルタは誰からもモテるから、女の子は心配になっちゃうと思います。

岡田:へぇー、そうなんだ。男の目から見ると、ハルタはカッコイイと思うんですけど。

長澤:カンナは禄と出会えて、幸せだったんです。いくえみ先生が、「カンナを幸せにするために登場させたのが禄」と言っていましたから。

Q:そんな禄を演じてどうでした?

岡田:僕は好きですよ! でも、どのキャラクターも魅力的で。その中でも、ハルタはカッコいいなと思っていました。まさに今、長澤さんがおっしゃっていた通りで、誰からも好かれて、クラスの人気者。憧れもあるのかもしれないけれど、いいなーって思っていました(笑)。でも、女性と男性とで好きなキャラクターが違うんですね! 面白いなあ。

長澤:原作の漫画の描写で、ハルタは別の女の子と遊んでいることをにおわす描写があるんですよ。

岡田:え! そうでしたっけ?

長澤:カンナが「しらないにおいがする」って言うシーンがある。

岡田:あーっ! そういえば、あった!

長澤:ほら、カンナだって心配しています(笑)。

岡田:なるほどねー(笑)。

■手に汗握った、キスシーン!?

Q:ラストシーンに流れる斉藤和義さんの曲「かげろう」は、この作品のために描き下ろした曲だそうですね。

岡田:僕、和義さんの音楽はとても好きで。ラストを考えるとアップテンポなのかなと思ったのに、バラードだったというのがすごく意外でしたね。和義さんの声を聞いて、切なくなりました。

Q:キスシーンもありましたが、いかがでしたか?

長澤:緊張しましたよね。

岡田:気持ちを落ち着かせようと、なんかいろいろと話をしていましたよね。それに、僕はとにかく手汗がすごかったんですよ。手をつながなくちゃいけないのに。だから、長澤さんに「すみません、すみません……」って謝っていた記憶があります(笑)。

長澤:今回のキスシーンで背伸びをしたのですが、とても新鮮でした。そのときのカンナと禄がかわいかったです。

いくえみ作品の大ファンを自任するだけあって「いくえみ男子」の魅力を熱く語ってくれた長澤。そんな話に耳を傾けながらも男子目線でツッコミを入れる岡田。そんな二人がみずみずしく演じた青春ラブストーリー。彼らのように、映画を見終わった後、自分の青春を振り返り、恋や友情に思いをはせてみてはどうだろう。

映画『潔く柔く きよくやわく』は10月26日より全国公開

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