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國村隼、板尾創路、山寺宏一、桐谷美玲
『あさひるばん』
『男はつらいよ』シリーズを抜きたい
『あさひるばん』國村隼、板尾創路、山寺宏一、桐谷美玲 単独インタビュー

取材・文:柴田メグミ 写真:吉岡希鼓斗

『釣りバカ日誌』シリーズの生みの親、やまさき十三がマンガ原作者以前の助監督経験を生かし、72歳で初監督に挑戦。元高校球児トリオの「あさひるばん」こと、浅本・日留川・板東が30年ぶりに故郷・宮崎に戻って巻き起こすハートウオーミングな人情喜劇を完成させた。女性に不器用な“あさ”役の國村隼、お調子者“ひる”役の板尾創路、服役中の“ばん”役・山寺宏一、ヒロイン・有三子を演じた桐谷美玲が、笑顔で撮影を振り返った。

■グッズの豊富さが魅力のムードメーカーは?

Q:劇中のキャラクター同様に、現場のムードメーカーは山寺さんだったのでしょうか?

山寺宏一(以下、山寺):いえいえいえ。

國村隼(以下、國村):みんなで和気あいあいと過ごしていましたけど、サービス精神が旺盛なのは山寺さん?

板尾創路(以下、板尾):やっぱり山寺さんですよね。底抜けの明るさと話題の豊富さ、そしてカバンから出てくるグッズの豊富さ!

山寺:グッズの豊富さは認めます。

板尾:そんなに大きなカバンじゃないのに、いろんなモノが入っているんです。歯に何か詰まったなと思ったらイチオシのつまようじが出てきて、肩がちょっと凝ったなと思ったらツボ押し器が出てくる。何かと世話を焼いてくださって、いい嫁さんになるタイプですよ。

山寺:気持ち悪いでしょう? おっさんの中に一人で、美玲ちゃんは大変だったと思いますよ。

國村:女性の少ない現場だったからね。

桐谷美玲(以下、桐谷):斉藤慶子さんと、雛形あきこさんと……。

板尾:ほぼ僕らと一緒にいましたけど、人間ドックの話なんかには、まだ入ってこられないですからね。

桐谷:皆さんのお話をこっそり聞いていました。結構居心地がよかったです。

■「あさひるばん」トリオのアイデアが満載

Q:ベテランの皆さんと共演されて、学ぶ点も多かったのでは?

桐谷:本当にそうですね。こうした方がいいよ、という演技のアドバイスを國村さんからいただきました。

國村:そんなこと言った?

桐谷:有三子が怪しい男たちに連れ去られたと勘違いして、三人が追い掛けてくるシーンのお芝居です。ちょっとしたタイミングや、言い方のニュアンスを助けていただきました。

國村:助けになったかどうか。

山寺:國村さんも板尾さんも現場でいろいろなアイデアを出して、ほとんど採用されていましたよね。

板尾:國村さんが山寺さんにプロレス技をかけるとかね。三人が病室で「キッスは目にして!」を歌うときの振り付けは、山寺さんが考えてくださったんですよ。

桐谷:こそこそ練習していましたよね(笑)。

板尾:こそこそやったり堂々とやったり、とにかく一生懸命に練習しました。あの振り付け代、いただいたんでしょ?

山寺:もちろん……って、いただくわけがない。振り付け師はいないというので、「それなら」とやっただけですから。

國村:練習、楽しかったですよ。

板尾:山寺さんがいち早く空気を察してくれるから、現場がスムーズでしたね。

■文字通りの「朝・昼・晩」ロケ

Q:やまさき監督の72歳の映画監督デビュー作だけに、現場が「応援しよう」という雰囲気に包まれていたのではないでしょうか?

國村:それは絶対にあったね。

板尾:ご高齢の上に、監督はお酒が大好きなんですよ。途中で病院に行かれて点滴を打っていたときには「もし、やまさき監督が倒れた場合、僕が監督を引き継ぐかもしれない」という気持ちが3パーセントくらいありましたね。

國村:暑かったからね、宮崎は。

板尾:ウエディングシーンの撮影中には、エキストラとして参加した地元のアナウンサーが、熱中症で倒れたくらいですから。たぶん桐谷さんは、相当キツかったはずですよ。

桐谷:ドレスを着るために体をすごく締め付けていたので、苦しかったです。身動きもなかなかとれない状態でした。

板尾:よう頑張ってましたね。朝、昼、晩、休みなくロケですよ。あちこちに「『あさひるばん』ロケ隊」と書いてありましたから。

國村:でも撮影が早く終わった日が1日だけあって、せっかくやからと三人でご飯を食べにいきました。

山寺:宮崎牛を、國村さんにごちそうしていただきました。美玲ちゃんは、郷土料理を全然食べていないの?

桐谷:わたしは東京と宮崎を行ったり来たりしていたので。でも、マンゴーは食べました。板尾さんが買ってくださったマンゴージュースもいただきました。

板尾:自販機で売っているジュースね。珍しいなと思って、ロケバス隊の皆さんに差し入れさせてもらいました。まあ、何百円かの話ですわ。

■「よろしくどうぞ」という思い

Q:現場のいい空気がそのまま映し出された、人情味あふれる作品に仕上がりましたね。

山寺:大切なことをいろいろ伝えてくれる映画だと思います。老若男女、全ての方に観ていただきたいですね。

板尾:終了した『釣りバカ日誌』シリーズの流れをくむ作品だと思いますので、40作とか、『男はつらいよ』シリーズを抜くぐらい続けたいですね。万一、シリーズ途中でやまさき監督が亡くなられたら、いつまでも終わらせないように監督する準備をしておきます。

國村:何ということを! めちゃくちゃコメントしづらいじゃないか(笑)。映画って本当に間口が広くて、いろいろなものを許容する世界。シリーズ化が目的ではないけれど、お客さんが「またこの三人に会いたいな」と思ってくれたら続くでしょうし、「よろしくどうぞ」という思いです。

桐谷:とても心温まる作品になっています。大人になっても「あさひるばん」トリオのように、やんちゃな気持ちを忘れないでいきたいとすごく感じたので、観ている方にもちゃんと伝わればうれしいですね。

Q:もし続編が決まって三人と再共演するお話があったら、喜んで出演しますか?

桐谷:ぜひ! 有三子は結婚しちゃいましたけど、また呼んでくれますか?

山寺:もちろん! 続編は、離婚のエピソードから始めましょうか。

桐谷:もしかしたら、子どもを連れて実家に戻るかもしれません。

國村:あるいは、“ばん”がまた警察に捕まるとかね(笑)。

撮影現場にいるのではないかと錯覚するほどに、“あうんの呼吸”を発揮する「あさひるばん」トリオと、ゴージャスなオーラで華を添える桐谷。本編はもちろん、エンディングに流れるメイキング映像からもトリオのほほ笑ましい関係を堪能できる本作は、わたしたちの日常と地続きの人情味あふれるドラマに仕上がっている。

映画『あさひるばん』は11月29日より全国公開

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