シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
.
キアヌ・リーヴス&柴咲コウ
『47RONIN』
武士道のスピリットは、世界に通用するもの
『47RONIN』キアヌ・リーヴス&柴咲コウ 単独インタビュー

取材・文:シネマトゥデイ編集部・森田真帆 撮影:金井尭子

吉良上野介を城中で切り付けた罪で、切腹を命じられた浅野内匠頭の家臣たちが、あるじのあだ討ちを決行する「忠臣蔵」。主君のために武士道を貫いた47人の赤穂浪士たちの物語が、手掛けたCMで多数の広告賞を受賞してきた新鋭カール・リンシュ監督により、迫力満点のCGで大胆にアレンジしたアクションファンタジーとして生まれ変わった。浪士たちと共に立ち上がることとなる混血の侍を演じた主演のキアヌ・リーヴスと、浅野の娘を演じたヒロインの柴咲コウが、約5か月にわたってブダペスト、ロンドンで行われた撮影を振り返った。

■日本の武士道を伝えられたのは、現場での努力の成果

Q:迫力満点のアクション映画になりましたね!

柴咲コウ(以下、柴咲):撮影しているときはCG用のシルバーボール(CG加工の参考用の撮影器具)というものが出現したりしてどんな完成形になるのかまったくわからなかったんです。でも完成したものを見たら、すごく豪華になっていてびっくりしました。それから、撮影は順番に撮っていくものではないので、全てのシーンがきちんとつながって物語として完成した形を観たときは胸がいっぱいになりました。

キアヌ・リーヴス(以下、キアヌ):コウが話した通り、この映画はビジュアル、コスチューム、パフォーマンス、どれを取ってもすごく美しくて、感情を揺さぶられるものに仕上がったと思う。とても大きなスケールと、日本の侍たちの武士道を重んじる生きざまとのバランスがとても素晴らしいと思ったよ。

Q:大胆にアレンジされていながらも、日本の武士道精神へのリスペクトを強く感じました。

柴咲:日本の武士道をきちんと伝えることができたのは、現場での努力の成果だと思います。カール(・リンシュ監督)は日本の文化をいつも考えている監督だったので、「本当にこれで正しい礼儀なのか? 作法なのか?」と心配していたんです。それに対して、真田(広之)さんをはじめとする日本人キャストの皆さんが、きちんと考えていつもアドバイスをしていたので、基本の武士道が崩れることなくスクリーンに反映できたんだと思います。

キアヌ:赤穂浪士が持っていた、武士道精神というものには、自分を育ててくれた人への恩義が根本にある。そういうスピリットは、実は世界中に通用するものだと思っているんだよ。この映画は、「忠臣蔵」をかなりユニークに描いているけれども、基本の武士道精神だけは大切にしたかったんだ。

■キアヌは撮影現場でアウトサイダー?

Q:ヒロインのミカを、全編英語で演じられた柴咲さんですが、大変なことはありましたか?

柴咲:もしもわたしが、ミカに似た部分があったとしても、セリフが全て英語だったために、それを表現することがとても難しかったんです。でもカールには、もっと力強くセリフを言ってほしいとか、もっと堂々としてとか演出をされました。だからわたしは、やっぱり全て監督のカールが引き出してくれたんだと思っています。

Q:混血の侍のカイという役柄を、キアヌさんはどのように作り上げていったのでしょうか?

キアヌ:僕自身にもさまざまな血が混ざっているので、カイと似たような経験は持っていたんだ。それに、今回の現場では僕自身がカイとまったく同じ境遇のアウトサイダーだった。周りはほとんどが日本人のキャストで、みんな日本語でいつも盛り上がって話しているだろ? みんなのところに行くと、全員動きが一斉に止まって「ハーイ」って一言だけ言われちゃうんだ(笑)。でもそれがカイとしての演技につながってきたと思っている。

Q:カイとミカとの恋も、とても切なかったですね。

柴咲:今回の映画は、基本的にはとてもスピーディーなアクションシーンが中心になっているんです。その中でも癒やしの要素としてあるのが、ミカとカイのラブストーリーだと思っています。特にラブストーリーが際立っているわけではないからこそ、言葉を交わすことはないけれど、お互いを思いやる心というものを感じてもらいたいと思いましたね。

キアヌ:ミカは、一見従順でとてもおしとやかな女性なんだけど、危機に陥ったときにはすごい強さを発揮するんだ。彼女のたくましさは、新たな日本女性の魅力だと思ったね。あの時代の日本人女性は、裏ではかなり旦那さんをコントロールしていたんじゃないかな(笑)。

■キアヌは自分に厳しく周りに気を配る優しい人

Q:柴咲さんは撮影中、ご自身のツイッターで共演者の方々と楽しそうにやりとりされていましたね。

柴咲:浅野(忠信)さんと(菊地)凜子とカールと(赤西)仁くんとでよくやりとりしていましたね(笑)。撮影はいつも一緒なわけじゃないので、たまに日本人キャストが全員一緒になれるとすごく盛り上がっていました(笑)。特にわたしは、マネージャーさんもいない状態で海外に一人で行くというのが初めてだったので、経験のある皆さんに支えてもらっていました。

キアヌ:でも現場で見ている限りは、まったく緊張している様子じゃなかったよ。いつもすごくリラックスしていて、現地のスタッフにもすぐに溶け込んでた。でもコウがすごいなって思ったのは、どんな状況にあっても本番になると「よーし、行くぞ!」って腕まくりする感じで臨む姿。とても印象的だったね。

柴咲:キアヌは現場で自分に厳しく、周りの方々にはとっても優しく、気を配る方だなとすごく思いました。初めてお会いしたのは、ロンドンでのミーティングでした。わたしはかなり臆病なので、海外の人でも、日本の人でも、初めて会うときは本当に緊張しちゃうんですけど、すごく穏やかな自然な方で、全然エラそうなところもなかったんです。本当にほっとしたのを覚えています。

■真田広之は相手をうまく見せることができる達人

Q:時代劇特有の殺陣はハリウッドのアクションとまた違うものがあると思いましたが、いかがでしたか?

キアヌ:殺陣に関しては、本当に基本的なことしか習っていないんだ。刀の構え方だったり、足のさばき方だったり。刀の抜き方にもいろいろな種類があるんだってことを僕は知らなかったから、すごく面白かった。それに、大石内蔵助役の真田さんは相手をうまく見せることができる達人。例えば、共演者の誰かが間違えた動きをしても、相手の呼吸に合わせてわざとゆっくり動いたり、さっと相手の間合いに入ったりすることで、殺陣をスピーディーに演出することができるんだ。

柴咲:わたしも先日、初めてメイキングを見たんですが、本当にキアヌの言う通りで、相手の動きに合わせて、真田さんは的確に動くんです。他人の芝居を魅力的に見せることができるってすごいなあと、感動しましたね。今回、キアヌはもちろん真田さんという偉大な方と共演できたのも、とっても光栄でした。キアヌもそうなんですが、真田さんもまったく偉ぶることなく、常に同じ目線でアドバイスをくださる方でしたね。

Q:日本の有名な「忠臣蔵」が世界に伝わる、というのは日本人にとってとてもうれしいことだと思います。

キアヌ:「忠臣蔵」ってすごく深い物語。全てを理解しようとすると、本当に大変だと思う。でも、この役柄を演じるにあたっては、誇りや名誉、相手への敬意や謙虚さ、自然に対する特別な感性という武士たちが持つ要素を重んじるように心掛けていたよ。

柴咲:史実へのリスペクトを忘れずに、日本の文化や歴史を海外の方々に知ってもらえるということは日本人としてとても喜ばしいことでした。今までたくさんの作品が作られてきた「忠臣蔵」をテーマに、今までのリメイクとはまったく違う作品を作り上げることができたことが何よりの喜びでしたね。

日本人に深く愛されている「忠臣蔵」は、ハリウッドの手によって壮大なアクションファンタジーとして生まれ変わった。だが、本作に武士道精神が壊れることなく描かれたのは、柴咲はもとより真田広之をはじめとする日本人キャストたちの現場での闘いがあったからだとインタビューから伝わってきた。そしてその思いに尊敬を持って応えたのが、キアヌとカール・リンシュ監督らスタッフたち。日本とハリウッドの思いが一つになって、新たに作り上げられた忠臣蔵の物語を、ぜひ楽しんでもらいたい。

映画『47RONIN』は12月6日より全国公開

[PR]

この記事を共有する

映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク
  1. 記事
  2. 2013年
  3. 12月
  4. 4日
  5. 『47RONIN』キアヌ・リーヴス&柴咲コウ 単独インタビュー