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シネマトゥデイが選ぶ 今月の5つ星

事故で宇宙から地球に帰還できなくなったヒロインのサバイバルを描くSFサスペンス『ゼロ・グラビティ』、ソフィア・コッポラ監督が、ティーンの引き起こした被害総額3億円に上る窃盗事件を題材にした『ブリングリング』、百田尚樹のベストセラー小説を岡田准一主演で映画化した『永遠の0』など、必見のお正月映画がズラリ!

12月13日公開 容赦ない死と絶望の果てに映し出される圧倒的な生への賛歌 『ゼロ・グラビティ』 作品情報

アルフォンソ・キュアロン監督最新作は、事故によって宇宙に投げ出された科学者(サンドラ・ブロック)と宇宙飛行士(ジョージ・クルーニー)のサバイバルを描いたスペース・エンターテインメント。登場人物は最低限に絞られ、舞台も宇宙空間に限られている。にもかかわらず緊張が緩まないのは、死のにおいが濃密に立ち込めているからだ。ここで描かれる絶望は死ぬほどリアルであり、死は絶望的なまでに容赦がない。だがやがて、絶望は希望に、死は生に取って代わられる。そして紡ぎ出されるのは、圧倒的な生への賛歌。「再生」というテーマを、これほど壮大なスケールで描き切った作品は映画史上にもまれだろう。かくも絶望的な状況でありながら、ため息の漏れるほど美しく、宇宙がスクリーンに映し出されているのも、生きることは素晴らしいというメッセージの表れだ。とりわけ予告編にも使われている朝焼けは今年度の映画を代表する名シーン。ぜひとも映画館の大スクリーンで観てもらいたい。(編集部・福田麗)

『ゼロ・グラビティ』©2013 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
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12月14日公開 若さという普遍的なテーマをきらびやかに描いたアブない一作 『ブリングリング』 作品情報

実話を基にした青春グラフィティー。エマ・ワトソンがセレブリティーを夢見るセクシーかつ打算的な若者を熱演し、新境地を見せていることがクローズアップされがちだが、真の主人公は自分のルックスにコンプレックスを持つ、さえない男子マーク。彼が周りの女の子たちと共鳴してどんどんイケてる男子になっていくさまを「本能で行動できることこそ、若さの強み」という誰もが共感するようなエッセンスを加えて、大胆に活写している。登場する多数の靴やバッグ、アクセサリー、ドレスなどのきらびやかなアイテムを駆使した画(え)作りは、『マリー・アントワネット』(2006)でも注目されたソフィア・コッポラならでは。時折のぞかせるはかなさは、『ヴァージン・スーサイズ』をほうふつさせる。また、実際の窃盗事件をモチーフにしていることもあってか、盗みに入るシーンなどは手持ちカメラで撮影されており、臨場感たっぷり。甘酸っぱくも危険な一作だ。(編集部・小松芙未)

『ブリングリング』©2013 Somewhere Else, LLC. All Rights Reserved
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12月14日公開 人知れず江戸時代の武家社会を支えた、堅実な下級武士の逸話 『武士の献立』 作品情報

江戸時代の加賀藩を舞台に、料理の腕が立つバツイチの姉さん女房が、剣の道を諦めきれず料理人の仕事に身の入らない武士の夫を一人前にしていくという、夫婦の物語である。刀でなく包丁を振るうのが仕事のために包丁侍とも揶揄(やゆ)されている武士とその家族を描くというのは、時代も違うし続編ではないが、同藩の経理係の武士とその家族を描いた『武士の家計簿』と同じコンセプト。今回も地方藩の花形とはいえない役職ながら、自らの仕事に誇りを持った武士とその家族たちが、さまざまな苦境を耐え忍び堅実に生きていた姿が丁寧に描かれることで、名もなき多くのありふれた人々によって江戸時代の武家社会が形成されていたことがわかる。また、若い夫婦と家族の愛の物語を中心にしながらも、日本三大お家騒動の一つとして有名な加賀騒動を背景に藩内の血なまぐさい抗争などもうまく絡めることで、スリリングな展開も楽しめて全編飽きさせない。(編集部・天本伸一郎)

『武士の献立』©2013「武士の献立」製作委員会
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12月20日公開 『トワイライト』ファンが絶句しそうな気だるいムードに酔う 『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』 作品情報

インディペンデント映画界の雄、ジム・ジャームッシュ監督が作り上げたバンパイア映画は、『トワイライト』ファンなら絶句しそうな、気だるいムードが漂うファンタジーだ。主人公のバンパイア・カップル、アダムとイヴ(!)は、「(アダムがロマンチストなのは)メアリー・シェリーやジョージ・ゴードン・バイロンや、昔つるんできたフランス人たちのせい」といった会話から、少なくとも18世紀から生き続けているようだ。黒髪のロングヘアに黒いジャケットを着た伝説のミュージシャン、アダムと、白髪のロングヘアに白い革のライダースを着たイヴ。まるでオセロのように表裏一体の二人が、招かれざる客の訪問によってデトロイトを追われ、タンジールの夜の街をあてどなくさまよう姿は、かなしくもロマンチックだ。希少な古い弦楽器に執着するアダムや、「汚れた」血を飲んで死にゆく偉大な作家(バンパイア)の姿を見ていると、ジャームッシュは、失われゆく文化へのノスタルジーをうたい上げているかのようにも思える。退廃的な美を醸し出す恋人をハマり役で演じたティルダ・スウィントン『マイティ・ソー』以降、人気急上昇のトム・ヒドルストンは、新たなバンパイアのアイコンとして語り継がれることだろう。(編集部・石井百合子)

『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』
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12月21日公開 壮大な物語を約2時間半にまとめ上げた脚本&演出が秀逸 『永遠の0』 作品情報

原作は百田尚樹による累計発行部数400万部を超えた500頁を超えるベストセラー小説を、約2時間半にどう凝縮させるのかが映画の出来を決める重要なポイントだったが、作品のエピソードをうまく抜き出しており、原作にはないオリジナルの演出もさえ、味わい深い秀逸な物語に仕上がっている。特に物語のキーマンとなる景浦(田中泯)が冒頭から登場する演出もうまく、主人公の健太郎(三浦春馬)が臆病者と呼ばれた祖父の歴史をたどっていくうちに、彼に訪れる心の変化には説得力があった。原作者の百田が完成版を何度も観て、そのたびに「号泣した」という。畳み掛けるようなクライマックスの見せ場から、エンディングに流れるサザンオールスターズの「蛍」が心にしみ入る。(編集部・山本優実)

『永遠の0』©2013「永遠の0」製作委員会
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  5. 第56回『ゼロ・グラビティ』『ブリングリング』『武士の献立』『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』『永遠の0』