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ぐるっと!世界の映画祭
ぐるっと! 世界の映画祭 第16回 フランス・ナント三大陸映画祭

昨年(2013年)、記念すべき50回目の開催を迎えた中華圏のアカデミー賞こと台北金馬奨。その授賞式をクライマックスに、ノミネート作品など世界の話題作を上映するのが台北金馬映画祭だ。その第35回大会(現地時間2013年11月8日~11月28日)に、国際批評家連盟賞の審査員として参加した映画ジャーナリストの中山治美がレポートします。(取材・文:中山治美、写真:中山治美、台北金馬映画祭)

台北金馬映画祭公式サイト

巨匠たちが連日公開授業

50回記念
祝! 50回記念ということで、過去の受賞者がズラリ並んだステージ。トニー・レオン、レオン・カーファイ、スー・チーなど。ここにレスリー・チャンがいないことが悲しい。

台北金馬映画祭は台湾最大級の映画祭。1962年に第1回大会が行われた台北金馬奨に追随する形で1979年にスタートした。

街
映画祭のメイン会場のある西門には、スー・チーなど歴代金馬奨受賞者のポスターが彩る。

今年は日本からも、新鋭作家のためのディスカバリー部門に中野量太監督『チチを撮りに』(※その後、2013年12月台湾で劇場公開)、クラシック部門で大島渚監督『戦場のメリークリスマス』など13作品が上映された。

ジョニー・トー
最新作『ドラッグ・ウォー 毒戦』(公開中)の上映後にジョニー・トー監督(中央)のマスタークラスが開催された。

何と言っても今年の目玉は、巨匠たちの代表作とトークを楽しむマスタークラスで、ホウ・シャオシェンアン・リーチェン・カイコーピーター・チャンらが登場。会場では、映画を学んでいるであろう若者たちが、熱心にメモを取りながら巨匠たちの演出術に耳を傾けていた。ただし英語通訳がなく、中国語がわからぬ筆者は、熱気だけを体感することに……。

前夜祭
リージェント 台北ホテルで行われた台北金馬奨50回記念パーティーでは、全てのノミネート者・ノミネート作品にホウ・シャオシェン監督(右)から記念の賞状が贈られた。写真は『グランドマスター』のウォン・カーワイ監督(右から2番目)とチャン・ツィイー(左から2番目)。

恐るべし!アジアの新人たち

審査の様子
本邦初! 審査中の様子。フランス、イタリア、香港、台湾、日本の5人の審査員が審議中。

筆者は日本映画ペンクラブの要請を受けて、国際批評家連盟賞の審査員を務めることに。メンバーはイタリア、フランス、台湾、香港、日本の5か国から。5日間で審査対象となる中華圏の新人監督作9本を観客と共に観賞した。その中にはカンヌ国際映画祭新人監督賞受賞作であるアンソニー・チェン監督『イロイロ(原題) / ILO ILO』も含まれておりハイレベル。

賞状
これが国際批評家連盟賞の賞状。審査員5人皆でサインをしました。

結果、選んだのがジュノ・マック監督『リゴル・モルティス/死後硬直』清水崇がプロデューサーを務め、キョンシー映画にオマージュをささげたホラーだ。香港映画の復活と若き才能に期待を込めての授与した。同時に『イロイロ(原題) / ILO ILO』はすでにカンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)をはじめとするさまざまな映画賞を受賞しており、他の作品も注目されるように……との狙いもある。

爆笑の金馬奨舞台裏

現地プレス
第50回台北金馬奨の現地プレス会場には、100人近い記者が!

映画祭期間中に開催された台北金馬奨は、國父記念館で盛大に行われた。歴代の受賞者も勢ぞろいするとあってアメリカ、カナダ、オーストラリアなど世界11か国で生中継され、集まったメディアも国内外から約500人。授賞式は中国語のみのため、筆者ら海外メディアは特別プレスルームでスタッフの同時通訳付きで賞の行方を見守った。

トロフィー
プレスルームの一角で、スタッフが受賞トロフィーを準備。時折「ギ~ン」という作業音が部屋に響き渡った

その部屋の片隅では、全てのノミネート者・ノミネート作品のプレートと金馬奨のトロフィーが……。受賞結果が到着次第、ここでプレートをトロフィーに装着する作業をするという。この緩さがほほ笑ましい。

授賞式
筆者(左から2番目)せんえつながら、国際批評家連盟賞を受賞した香港映画『リゴル・モルティス/死後硬直』のジュノ・マック監督に賞状を渡しました。

注目の最優秀作品賞が本命視されたウォン・カーウァイ監督の『グランド・マスター』ではなく、『イロイロ(原題)/ILO ILO』が受賞する番狂わせもありプレスルームも大騒ぎ。ただショーは約5時間に及び、取材する方も疲労困憊(こんぱい)。

期間中には展覧会も!

映画館
上映会場の一つである光點華山電影館は、日本統治時代の酒工場跡を再開発したアートイベント地区「華山1914文化創意産業園区」にある。隣は侯孝賢監督がプロデュースしたカフェ「光點珈琲時光」もある。

日本統治時代のタバコ工場の跡地を活用した松山文創園区では、金馬奨50回を振り返る展覧会(現地時間2013年11月15日~12月8日)も開催され、『レッドクリフ』シリーズの衣装やキン・フー監督のディレクターズチェア、アン・リー監督『恋人たちの食卓』の脚本など貴重なお宝が展示された。しかも入場無料というから太っ腹。

展覧会
映画祭期間中、日本統治時代のタバコ工場を改築した松山文創園区では、名作のポスターや衣装、脚本などを展示した金馬50風華展が開催されていた。金馬トロフィーを持って、“その気”になれるコーナーも。

また上映会場の一つである華山1914文化創意産業園区は、同じく酒醸造所の跡地を利用した文化施設で台湾の現代アートの発信基地となっている。建物ともども、必見の観光スポットだ。

初体験ハローキティジェット

キティジェット
羽田-台北はエバー航空のハローキティジェットで。食事からアメニティグッズまでまさにキティづくし。旅行気分がさらにアップ。

台北には、羽田から直行便で約3、4時間。今回は映画祭スポンサーのエバー航空のハローキティジェットに初搭乗し、改めて海外でのキティ人気を実感した。

そうめん
「華山1914文化創意産業園区」にあるお茶専門店「一間茶屋」の茶油そうめん。超ヘルシー。

今回は審査員のため航空代・宿泊代共に映画祭の負担で、食事代も頂き自分たちで上映の合間に軽食を取るスタイル。

カキオムレツ
台湾の夜は屋台にお任せ! B級グルメのカキオムレツ。

ただしスケジュールがいっぱいでせっかく美食の国に来たのに、ゆっくり味わう時間がなかったのが心残り。審査員は意外にハードなのだ。

中華圏の底力を思い知る

招待状
映画祭の招待状には全て、実行委員長の侯孝賢監督のサインがあった。有り難みが増します。

中国も台湾も商業化の波が押し寄せ、日本同様にアート系の作家が製作しづらい環境にあると指摘されているが、とはいえ『グランド・マスター』を筆頭にオリジナル脚本で勝負している監督たちのなんと多いことか! 

モンガに散る
西門から地下鉄・板南線で一駅のところにある龍山地寺駅には、名作『モンガに散る』の舞台になった剥皮寮など昔ながらの街並みがそのまま残っている。

新人監督作も、自国の小さな事件から社会が見えてくるような力強い作家性を感じさせる。その彼らが目指しているのは、中華圏のみならず世界に通じる作品だ。その意識が、日本との違いなのかも……と深く考えさせられた。

土産
映画祭バッグを開けると、スポンサーからのパイナップルケーキやお茶、化粧品がいっぱい。
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