シネマトゥデイ

【私的映画宣言】第86回アカデミー賞 賞レース予想

今年のアカデミー賞には、『アメリカン・ハッスル』『ゼロ・グラビティ』が最多10部門でノミネート。これを9部門ノミネートの『それでも夜は明ける』が追うという三つどもえの様相を呈している。その中で初オスカーが期待される『ウルフ・オブ・ウォールストリート』レオナルド・ディカプリオが主演男優賞にノミネートを果たしたが、念願の受賞となるか!? 毎年パーフェクトを狙う私的映画宣言ライターの皆さまに、今年も主要6部門の賞レースを予想してもらいました!

森直人

森直人

作品賞候補9本のうち現時点で7本鑑賞していますが、どれも素晴らしい作品でした。個人的に推したいのは『ゼロ・グラビティ』を別格として(これは技術賞系で花を持たせる『アバター』パターンになるかと)、『ダラス・バイヤーズクラブ』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』なんですけど、“旬”を感じるのは『アメリカン・ハッスル』。もともとアクの強い個性なのにウケるコツ=愛され方をうまく身に付けたデヴィッド・O・ラッセルは、『ザ・ファイター』でホップ、『世界にひとつのプレイブック』でステップ、今回で見事ジャンプするのではないかと(僕自身が好きな彼の作品は全然ウケなかった『ハッカビーズ』ですが)。俳優部門の目玉は、やはり路線変更してから絶好調のマシュー・マコノヒー『ダラス・バイヤーズクラブ』と同時に『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の狂った上司役も事実上加点となっているはず!

私的ダークホース

予想以上の大傑作。『アメリカン・ハッスル』の音楽の使い方はまさにスコセッシ風だけど、本家の御大の方がキレキレですよ!

相馬学

相馬学

今年も私情抜きの本気予想。とはいえ作品賞からして難解で、消去法で予想したら全部消えた……。脚本賞にノミネートされていないのはマイナスだが、ここは全米監督組合(DGA)賞とのリンクを信頼して『ゼロ・グラビティ』を監督賞とセットで。俳優部門は主演女優賞こそ堅そうだが、それ以外は混戦ムード。とりわけ助演女優賞は迷ったが、ウディ・アレン作品の女優が高確率で受賞することから主演と同様にこちらも。男優部門は前哨戦の結果からマコノヒー&レトーの『ダラス・バイヤーズクラブ』タッグを推す。あれっ、そうなると最多ノミネートの『アメリカン・ハッスル』が主要部門に絡まないことになるか……といった具合に、頭を悩ませる今年のアカデミー賞である。

私的ダークホース

私情を挟めば『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』のベテラン2人に受賞してほしい。とくにブルース・ダーンは見ていて泣けた!

山縣みどり

山縣みどり

今年は『アメリカン・ハッスル』推しで、すでに作品賞と監督賞、脚本賞を心の中で進呈。助演女優賞もやっぱジェニファーだよね。身勝手なバカ女をチャーミングに演じられるって素晴らしい! デビュー作『スパンキング・ザ・モンキー(原題) / Spanking the Monkey』から見続けているラッセル監督のコメディー感覚はわたしの肌に合うんだよね。同じく実話をコメディー仕立てにした『ウルフ・オブ・ウォールストリート』にはないエレガンスとウイットを感じたわ。ジョナ・ヒルの熱狂的ファンだけど、こんなデューシュ(嫌なヤツ)役でオスカーもらってほしくないの。男優賞は『それでも夜は明ける』コンビと『ダラス・バイヤーズクラブ』コンビの魂がこもった演技に心揺さぶられたけど、やはりマシュージャレッドに1票。主演女優賞はメリルVSケイトのブチ切れ女対決で、マジで互角。超退屈な『鉄の女』なんかでオスカーもらわなきゃメリルに勝機あったかもだけど、今回は哀れな痛女役のケイトだな。

私的ダークホース

私的には「ジョン・ウェインを後ろから撃った男」だけど、50年以上にわたる功績に慰労的な意味での票が集まるかも。同情するなら賞をくれ、的な?

中山治美

中山治美

多発する詐欺事件に、奴隷虐待、罵詈(ばり)雑言を浴びせ合う家族たち……と予想以前に、気分がめいる描写とToo Muchな演技合戦でおなかいっぱい。世相を表しているとはいえ、わたしたちが憧れた陽気で華やかなアメリカはもうないんだなと現実を見せつけられたようでブルーな気分。そんな中、唯一ちょっとした希望を描いた『her/世界でひとつの彼女』が個人的に好みだが、アカデミーの歴史に刻みたい映画は何か? と考えたら、米国史の暗部を徹底的に暴いた『それでも夜は明ける』かな。製作ブラピというハリウッドパワーも効いているしね。技術的な賞は『ゼロ・グラビティ』へ。そして、期待のレオ様の受賞は今年もナシってことで。世界中の視聴者を惹(ひ)き付ける恒例のネタだから。こうなったら大きな感動はいっそ、オスカー100年記念ぐらいまでとっておきましょうよ。

私的ダークホース

『her/世界でひとつの彼女』との合わせ技で。いい仕事しているんだけどな。今年は強敵ぞろいで分が悪そう。

前田かおり

前田かおり

過去、ここで大当たりしたことはないのですが、昨年は一つ外しただけだったので、当てにいくべきか……と欲が出て逡巡(しゅんじゅん)。作品賞9作はほぼ順当なラインナップと思うが、前哨戦などを鑑みてアカデミー会員のお歴々は、黒人のダークな歴史に光を当てた『それでも夜は明ける』をきっと選ぶ……で作品賞はこれ。監督賞にはお気に入りの『ゼロ・グラビティ』アルフォンソ・キュアロン。もっとも今年一番の見ものは主演男優賞。何が何でも今度こそオスカーを、というレオの悲願をかなえてやるかという票が、ドサッと入る気もする。スコセッシの後光も差しているし、悩む。だが、そんな彼の『ウルフ・オブ・ウォールストリート』にも出演、鼻歌交じりで場をさらったマシュー『ダラス・バイヤーズクラブ』の演技は傑出。というわけで、とっても残念なレオになると予想。授賞式、荒れる舞台裏がすごく見たい(笑)。

私的ダークホース

生き別れた息子を捜す母の物語だが、万国共通の、ちょっと迷惑なおばちゃん像をほほ笑ましく体現。ぜひ本作でオスカー!

小林真里

小林真里

今年のオスカーは作品賞ノミネート作品の9本中なんと6本が「実話を基にした作品」だが、自分がアカデミー賞会員ならフィクション作品の『her/世界でひとつの彼女』に票を入れる。現代のメタファーともいえる独創的な近未来ラブストーリーだが、スパイク・ジョーンズらしい過激なユーモアをまぶした、孤独な男の心の再生とハートウオーミングで人間味あふれる愛を描いた傑作である。近未来のロサンゼルスのビジュアルも美しく、カレン・Oの音楽も鉄壁。スパイク・ジョーンズが監督賞に、ホアキン・フェニックスが主演男優賞にノミネートされなかったのが残念でならない。次点は『ダラス・バイヤーズクラブ』マシュー・マコノヒー演じる主人公のDIY精神と反骨心はパンクのそれではあるまいか。異色のバディームービーとしても強く心を打たれた。

私的ダークホース

最多ノミネート『アメリカン・ハッスル』が主要部門で取れるとしたら、票が割れそうな助演女優賞だろう。

斉藤博昭

斉藤博昭

今年は当てにいきます! というわけで、あまりの混戦を見せていた前哨戦を反映させて、作品賞と監督賞をバラけさせるチョイスもあったが、昨年に続いて……はないだろうと『ゼロ・グラビティ』の一人勝ちに。唯一の不安要素は、作品賞が2年続けてワーナー作品になるか、という“政治的”裏読みだけ。演技部門は主演女優賞と助演男優賞が鉄板。主演男優賞のみ「私的」な思いをレオに託してみた。でもゴールデン・グローブ賞あたりから軽い追い風を感じるし、会員たちが冷静に「演技」を判断したら悲願も現実になるのでは? 本心では、マコノヒーとの同点受賞なんて起きたら最高ですけど! 悩んだのは助演女優賞。ジェニファー本命のようで、同じ監督の作品での2年連続受賞を避け、ルピタ・ニョンゴに票が流れる可能性も。作品賞をスレスレで逃した2作の“裏作品賞”対決をこの部門に託します。

私的ダークホース

妄想オタク純愛+おしゃれな作風というスパイク・ジョーンズの荒技が名人芸の域に。監督賞にも入っていたら作品賞本命にしたかも!

高山亜紀

高山亜紀

またまたやって来ました、レオ受難の季節。ゴールデン・グローブの受賞は「えっ、俺?」みたいな顔をしてみせてはいたけれど、自信満々だったはず。が、オスカーはそうはいかない。全くヒロイックなところがない上、ドラッグと金、おまけにFワードにまみれた役ではいかに演技が素晴らしくても、もらえる可能性、低すぎ。今回もどんな顔して勝者に拍手を送るのか。レオの抜き映像が楽しみだ。むしろこうなってきたら、もらえない方がおいしい。ブラピ、レオ、ジョニデ御三家は今後ももらえない方向で。黒人監督初の作品賞および監督賞となるか注目されている『それでも夜は明ける』。コメディーなのに最多ノミネートの『アメリカン・ハッスル』がどこまで食い込んでいくのか。今回はステキな作品が多すぎて、どれが取っても誰が取っても納得。レオ以外(笑)。

私的ダークホース

親の介護、夫の浮気、娘の非行……。レオには及ばないけれど、Fワード連発でキレまくってた主婦ジュリアに大いに共感。

今祥枝

今祥枝

今年も良作ぞろいと思うも、個人的に執着を覚える作品が少なくて何となく気持ちに盛り上がりを欠いている。とはいえ、年に1度のお祭りだから楽しまなければ! 『ダラス・バイヤーズクラブ』が予想以上の健闘を見せているのがうれしい限り。特にマシュー・マコノヒーは、ここに来てこの充実ぶりが素晴らし過ぎる。が、ブルース・ダーンに受賞してほしい気持ちも。『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』はごひいきアレクサンダー・ペインに毎度のことながら舌を巻きつつ、ダーンのいぶし銀の演技を堪能した。一番悩んだのは主演女優賞。前哨戦からいけばケイト・ブランシェットが有力だが、『アメリカン・ハッスル』から誰か受賞するとすればエイミー・アダムスかもしれない。候補入りだけで大満足のレオナルド・ディカプリオは、コメディー調の演技の方がいい味。

私的ダークホース

実に愛すべき主人公フィロミナを生き生きと演じたデンチ。ここらで主演女優賞受賞もアリ、というか取ってほしい!

ライター9名の予想!

授賞式は、日本時間3月3日(月)

[PR]

この記事を共有する

映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
スポンサード リンク
スポンサード リンク