シネマトゥデイ

レオナルド・ディカプリオ&スコセッシ監督
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
まさか、こんなにたくさんの映画を一緒に作るとは思わなかった
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』レオナルド・ディカプリオ&スコセッシ監督 単独インタビュー

取材・文:編集部 福田麗 写真:高野広美

レオナルド・ディカプリオとマーティン・スコセッシ監督が5度目のタッグを組んだ『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は、「ウォール街の狼(おおかみ)」と呼ばれた実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの回想録を基にしたドラマだ。若くして成功したが故に金・美女・麻薬に溺れてしまった男を演じたディカプリオの演技はキャリア最高との呼び声も高い。そんな本作について、ディカプリオとスコセッシ監督が語った。

■不愉快なのは、正しく映画に向き合っている証し

Q:若くして成功したという点で、あなたとジョーダン・ベルフォートは似ていますね。

レオナルド・ディカプリオ(以下、ディカプリオ):僕はハリウッドで育ったけれど、確かに悪い意味で誘惑の多いところだね。だから一歩間違えば、僕もジョーダンのような生活を送っていたかもしれない(笑)。だけど僕がジョーダンの本を映画化しようと思ったのは、そうした共通点は置いておいて、これが人間の本質に迫る物語だったからだ。本の中でジョーダンは、確実に悪い方向へ向かっている社会の中で、とにかく自分だけは自分にとっての正しいことだけをやり続けようとする。変な言い方だけれど、とても正直に自分を欺くんだ。なおかつ、そのことを素直に認める。その二面性が面白いと思った。

Q:ジョーダンは女好きで欲深で……と、とても強烈なキャラクターですよね。

ディカプリオ:ジョーダンの楽観主義や強欲、生存本能というのは、僕たちみんなにあるものだと思う。DNAレベルで人間の中に組み込まれているんだ。ただ、僕が特に興味深く思ったのは、加速度的に破滅へ向かっている億万長者はいったいどういう存在なのか? という点だ。破滅的で、危険で、とても明るい未来が待っているようには思えないのに、彼はライフスタイルを変えようとしない。はっきり言って、不愉快なキャラクター。この映画で観客が不愉快だと思うのは、この映画に対して正しく向き合っているということだろうね(笑)。

■アメリカを象徴するキャラクター

Q:麻薬でトリップする場面の演技はすごかったです。実際に麻薬を試したのかと思いました(笑)。

ディカプリオ:あれは映画のマジックだよ(笑)。麻薬のせいで地面をはわざるを得ない人の気持ちなんてどう考えたってわかりようがない。ジョーダンも「全身から力が抜けて、何かをやりたいと思っているのだけど、体が言うことを聞いてくれない」と説明してくれたけど、訳がわからなかった(笑)。特に不思議だったのが、はったまま、車のドアをどうやって開けるかということだった。これにはマーティン(・スコセッシ監督)もお手上げで、『取りあえずやってみてくれよ』と言われたんだ。

Q:そうしたシーンも含め、この作品はとてもコメディー色が強いですよね。

ディカプリオ:僕自身はコメディーのことを完璧に理解できているとは思わないけど、笑いというのはとてもリアリティーのある要素だと思うんだ。だからこそ、マーティンも「『グッドフェローズ』のようなコメディーにしたいと思っている」とコメディーチックなアプローチにしたのだと思う。

Q:近年の作品で、あなたはアメリカを象徴したようなキャラクターを多く演じていますね。どういった要素があなたを惹(ひ)き付けるのですか?

ディカプリオ:アメリカという国にある無限の可能性、言ってしまえばアメリカンドリームをつかもうとして、どこかの段階で挫折してしまった人たちに興味があるのは間違いないと思う。僕は『華麗なるギャツビー』『アビエイター』『J・エドガー』といった作品で、それぞれの時代のアメリカを象徴するようなキャラクターを演じたわけだけれど、ギャツビーたちとジョーダンが何よりも異なるのは、ジョーダンには何のバックストーリーもないということなんだ。あるのは、「ただ金を稼ぎたい」という思いだけで、その理由が描かれることはない。現代社会の問題を体現したキャラクターだと思う。

■ディカプリオとの初タッグから13年

Q:ディカプリオとは5度目のタッグ作ですね。

マーティン・スコセッシ(以下、スコセッシ監督):『ギャング・オブ・ニューヨーク』のときは、まさかこんなにたくさんの映画を一緒に作ることになるとは思わなかった。あれからもう13年がたっているとは、不思議な気がするよ。僕はニューヨークで、彼はカリフォルニアで育ったから、気性は相当違うはずなのに、ここまで気が合うものなんだね。

Q:打ち解けるきっかけなどはあったんですか?

スコセッシ監督:レオは、父親からいろいろな影響を受けていたんだ。だから父親の代に流行した音楽やアンドレイ・タルコフスキーの映画なんかを知っていた。そのことで盛り上がった記憶があるよ。それに何より、僕は(ディカプリオがジョニー・デップと共演した)『ギルバート・グレイプ』を最高の作品だと思っていたからね。あの作品でレオは、ドキュメンタリーだと言われても信じられるほどの演技を見せてくれた。それに『ボーイズ・ライフ』でレオを共演したロバート・デ・ニーロもべた褒めしていたんだ。「あの子はいいよ。君もいつか仕事をするといい」と絶賛ばかり。それがうそではなかったことは、今では誰よりも僕が知っているよ。

■ディカプリオは何でもできる!

Q:今回、レオが演じる主人公は金や女が大好きなキャラクターとして描かれますね。彼の演技はすごかったです。

スコセッシ監督:レオは何でもできるんだよ(笑)。僕が最初にそのことに気が付いたのは『アビエイター』のときだったかな。あの作品でレオはハダカになったり、とんでもないことをいろいろとやってくれた。今回も、あんなふうにクスリでふらふらしているレオが見られるなんて、誰も思わなかっただろうね。

Q:一部ではアカデミー賞も狙えると評判になっていますが。

スコセッシ監督:賞のことなんかこれっぽっちも考えていないよ。僕も、それからもちろんレオもね。僕たちは賞を取ろうとしているわけじゃない。映画を作っているんだ。賞のことを考えるのは会社の仕事だ。それに、ああいうレオの演技は、観客を映画に引き込むためにはどうしても必要だったというだけだからね。この作品はエンターテインメントで、エンターテインメントをやろうとする以上は僕たちも自分たちを楽しませないといけない。意味合いはかなり違ってくるけれど、僕は『タクシードライバー』もエンターテインメントだと思っている。その意味で、今回のレオの演技は本当に、本当に素晴らしかったよ。

初タッグとなった『ギャング・オブ・ニューヨーク』から13年、通算5度目のタッグとなったディカプリオとスコセッシ監督。インタビュー中にスコセッシ監督が「ニューヨーク生まれとカリフォルニア生まれでは気性が全く違う」と漏らした通り、まくし立てるようなスコセッシ監督と終始ゆったり対応するディカプリオはまさに正反対の存在だ。それでいながら、相手のことに言及するときには頬を緩ませ、お互いへの確かな信頼をうかがわせるあたりはとてもほほ笑ましい。成熟の域に入った二人が、しかしマンネリに陥ることなく放った本作は、両名にとっての新たな代表作になるに違いない。

映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は1月31日より全国公開

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