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第23回 インドネシア・バリナーレ国際映画祭の魅力に迫る!

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ぐるっと! 世界の映画祭 第23回 インドネシア・バリナーレ国際映画祭

インドネシアのバリ島といえば日本でも人気のビーチリゾート。しかし、ここでも自国の映画産業を盛り上げようと奮闘している人たちがいました。それがバリナーレ国際映画祭。第7回大会(2013年10月5日~10日)に参加した映画会社ローデッド・フィルムズの代表の水野詠子さんがレポートします。(取材・文:中山治美 写真:水野詠子)

インドネシア・バリナーレ国際映画祭公式サイト

国民的女優が名誉アドバイザー

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Christine&Deborah
映画祭名誉アドバイザーの女優クリスティン・ハキム(写真左)は小栗康平監督『眠る男』にも出演しており、日本とも縁が深い。右は映画祭ディレクターのデボラ・ガビネッティで、バリ映画コミッションの創設者。

同映画祭は2007年に、インドネシアの国民的女優クリスティン・ハキムとバリ・フィルムセンターのデボラ・ガビネッティが創設。政府の協力を得ず、非営利での運営をモットーとしており、ひとえに自国映画のPRと人材育成を目標としている。

第7回は20か国から48本の長短編が上映され、ジョセフ・ゴードン=レヴィット初監督作『ドン・ジョン』のプレミア上映が行われた他、若手映像作家対象のワークショップやセミナー、学校訪問プログラムなども行われた。

奨学金授与式
インドネシアの若手映像作家育成のためのワークショップも行われており、優秀者には奨学金も贈られる。

「地元の協力体制が整っており、観光局や高級車のオーナーズクラブのメンバーが総出で、オープニングやクロージングを盛り上げていました。規模が小さい分、参加者の距離が近いフレンドリーな映画祭という印象を受けました」(水野さん)

まさかの小島で映画祭!?

映画祭バッグ
赤を基調にした映画祭バッグとカタログ。

水野さんは園子温監督『地獄でなぜ悪い』が海外の映画祭に参加した際の海外広報や、トロント国際映画祭の広報など、これまで数多くの海外映画祭に携わってきた。インドネシア映画に関心を抱いたのも、日本の映画祭の東京フィルメックスが行っている人材育成プロジェクト「タレント・キャンパス・トーキョー」にスタッフとして携わったことが大きいという。

ダンス1

「参加していたインドネシアの映画作家たちから産業としての勢いを感じていましたが、首都のジャカルタが中心だと思っていたので、“まさか小島のバリで映画祭が!?”と意外に感じ、その辺りの映画事情を知りたいと思ったのが参加のきっかけです。日本でもめったに観る機会のない彼らの作品に触れるチャンスだと思いました」(水野さん)

ダンス2
インドネシアの伝統舞踊がオープニングやパーティーを盛り上げた。

インドネシアの映画事情とは?

2014
今年の第9回大阪アジアン映画祭のコンペティション部門で世界初上映されたハヌン・ブラマンチョ&ラハビ・マンドラ監督『2014』は、バリナーレ映画祭でプレゼンテーションされた。

上映作の中で水野さんが惹(ひ)かれたのは、本年度の大阪アジアン映画祭で世界初上映された『2014』。実はバリナーレで未完成版が上映され、それを観た水野さんが大阪アジアン映画祭のプログラミング・ディレクターである暉峻創三さんに推薦した経緯がある。同作品は大統領選に出馬した父親が殺人罪で投獄され、他候補の陰謀を疑う息子が調査に乗り出すサスペンス。話題のドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』をほうふつさせるエピソードである。

「政治や恋愛、アクションを盛り込んだパワフルな作品でした。加えてインドネシアでは政治的なテーマを題材にするのはタブーで、その時点ではまだ公開めども立っていないらしい。それでも本作を製作し、若者に選挙に参加する重要性を訴えたいという製作陣の真摯(しんし)な姿勢に共感しました」(水野さん)。

バリはヒンズー教

ホテル
ゲストはシェラトン・バリ・クタ・リゾートに宿泊。

バリへは日本から直行便で約7時間。インドネシアはイスラム教徒が約9割を占めるが、バリ島はヒンズー教が主体。とはいえ観光地ゆえ宗教はさほど気にする必要もなく、言葉も英語が通じるので日本人の参加も不自由ないようだ。

FOOD
インドネシアといえば、おなじみのナシゴレン(写真手前)。そして右は、ココナッツを使ったカレー料理のカリ・アヤム。ビールは地元インドネシアのビンタン。

水野さんは今回、映画祭に招待されたパートナーである映画ジャーナリスト&映画監督のジェイソン・グレイ氏に同伴する形で参加し、宿泊代(3泊)は無料。渡航費は自費となった。それでもホテルは、シェラトン・バリ・クタ・リゾートと高待遇。「ちょうど同時期にAPEC首脳会議が開催されたため、セキュリティーの関係でジェイソンのフライトもビジネスクラスにグレードアップされました」(水野さん)

飲み物
フレッシュフルーツのジュース

話題のスポットが上映会場

劇場
上映会場はホテル前にあるショッピングモール「ビーチウォーク・バリ」内にあるシネコン「Cinema XXI」

オープニングセレモニーなどの式典はザ・ストーンズ・ホテル・レギャン・バリで開催され、上映会場はクタのビーチ沿いに新しくできたショッピングモール内にあるシネコン「Cinema XXI」。映画の上映が各作品1回ずつだったため、水野さんは泳ぎに行く時間はなく、ひたすら映画を見続けたという。

BEACH
会場はングラライ国際空港にも近く、ホテルが集中している南部リゾートエリア。

「時間があれば、クタはサーフィンで有名なスポットですし、スパでリラックスすることも可能です。シネコンのあるショッピングモールからシャトルバスに乗ってサヌールのビーチに行くのもオススメです。こちらの方がクタより落ち着いていてくつろげますよ」(水野さん)。水野さんはプライベートで何度もバリを訪れたツウでもあるのだ。

路地裏
路地に入るとローカルな雰囲気が味わえる。

日本とインドネシアを結ぶ

ボランティア
リゾート地という土地柄、国際色豊かなボランティアスタッフたちで、男子も女子もサルンを巻いた民族衣装でおもてなし。映画祭は彼らのような若いスタッフに支えられていたという。

インドネシア映画といえば、2012年の第25回東京国際映画祭のアジアの風部門で、エドウィンらインドネシアの監督の作品が特集上映され、その後ジャカルタで凱旋記念上映会が行われたことがある。しかしバリナーレ映画祭ではこれまで日本映画が上映されたことがないらしく、水野さんは今回の参加をきっかけに橋渡しできればと考えているという。「たとえ日本映画にインドネシアの配給が付いても、なかなかバリで上映される機会はないようです。せめてバリナーレ映画祭で紹介されたらすてきですよね」(水野さん)。

第8回大会の開催は2014年10月12日~18日。出品希望者はバリナーレ映画祭HPからコンタクトを。

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