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『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』特集:ディズニートゥーンスタジオに潜入!~『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』ができるまで~

 いきなり「ディズニートゥーン・スタジオ」と言われても、その実態を知っている人は多くないでしょう。「え? ディズニーって『アナと雪の女王』を作ったんだよね? それくらい知っているよ」と思うかもしれませんが、『アナと雪の女王』を制作したのはウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ。ディズニートゥーン・スタジオとはまた違うスタジオなのです!

 こうした混乱を招いてしまうのは、現在、ディズニー社(ウォルト・ディズニー・カンパニー)に三つものアニメーションスタジオがあるからでしょう。なので、ここではまず、その三つのスタジオを紹介することから始めたいと思います。

教えて、ディズニー!
『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』

ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ

『プレーンズ2』
ディズニー・スタジオの創設者はご存知ウォルト・ディズニー! - Alfred Eisenstaedt / The LIFE Picture Collection

 三つあるスタジオの中で最も歴史があるのは、『アナと雪の女王』で知られるウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ(以下、ディズニースタジオ)。ここは1923年設立。以降90年以上にわたって、ディズニー社の中心です。『白雪姫』『シンデレラ』『美女と野獣』『ライオン・キング』『アラジン』……こうした作品を手掛けてきたといえば、わかる方も多いでしょう。おそらく「ディズニーアニメ」と言われて、大半の人が思い浮かべる作品はディズニースタジオが制作したものではないでしょうか?

詳細はこちら!【今週のクローズアップ】特別枠「ディズニー・アニメーション90年の歴史」


ピクサー・アニメーション・スタジオ

『プレーンズ2』
ピクサーのマスコットこと「ルクソーJr.」

 そして、二つ目のスタジオが『トイ・ストーリー』シリーズのピクサー・アニメーション・スタジオ(以下、ピクサー)。去年は『モンスターズ・ユニバーシティ』が公開され、大ヒットを記録したのも記憶に新しいですね。もともとピクサーはディズニー社とは別会社で、ピクサーが制作した作品をディズニーが配給するという関係だったのですが、2006年にディズニー社がピクサーを買収し、その傘下に入りました。CGアニメーションを得意としており、2000年代後半から2010年にかけては4年連続でアカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞。3DCGアニメ隆盛の時代の基礎を作りました。

詳細はこちら!【ピクサー訪問記『モンスターズ・ユニバーシティ』編】

ディズニートゥーン・スタジオ

『プレーンズ2』
ディズニートゥーン・スタジオの入り口

 上で紹介した二つのスタジオがあまりに有名なのでその陰に隠れがちですが、ディズニー社が所有する三つ目のスタジオがディズニートゥーン・スタジオ(以下、トゥーン・スタジオ)です。ディズニースタジオやピクサーが劇場用作品を中心に製作しているのに対して、トゥーン・スタジオは、主にビデオ映画やテレビスペシャルを製作しています。その歴史もまだ浅く、2003年の設立。ただし、前身となったディズニー・ムービートゥーンズは1988年設立なので、そこから数えると四半世紀ほどの歴史があることになります。

『プレーンズ2』
『ライオン・キング』 - Walt Disney Pictures / Photofest / Zeta Image

 トゥーン・スタジオ(ディズニー・ムービートゥーンズ)の最大の特徴は、ディズニースタジオの関連作品を多く手掛けていることです。これまでに、そうそうたるディズニースタジオの名作ーー『シンデレラ』『ライオン・キング』『リトル・マーメイド』『ピーター・パン』『ムーラン』『ノートルダムの鐘』の続編(ないしは前日譚)を制作していました。

『プレーンズ2』
『リトル・マーメイド/人魚姫』より - Buena Vista Pictures/Photofest/MediaVast Japan

 ですが、その評判はといえば、決して芳しいものばかりではありませんでした。そもそも劇場用作品とビデオ・DVDスルー作品では、製作期間・製作費の規模が違います。トゥーン・スタジオが手掛けた作品は本国アメリカでは劇場未公開となる作品も多かったため、時間も予算も限られており、作品のクオリティーもオリジナル作品からは一段も二段も落ちる……というのが業界からの評価でした。状況的に致し方ないとはいえ、トゥーン・スタジオは本家であるディズニースタジオのおまけというイメージが拭えなかったわけです。

 ですが、そんなトゥーン・スタジオにも転機が訪れます。

 時は2006年。ディズニー社がピクサーを買収し、ピクサーのトップだったジョン・ラセターがディズニー社傘下のアニメスタジオのチーフ・クリエイティヴ・オフィサー(CCO)に就任したのです。

ここが、こだわり。
『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』

フィルムメーカー主導のスタジオへ

『プレーンズ2』
ディズニートゥーン・スタジオCCOに就任したジョン・ラセター

 CCOに就任したジョン・ラセターが行ったのは大胆な方針転換でした。

「単なる続編ではなく、オリジナル作品の世界観を生かした、オリジナリティーのあるスピンオフ作品を作ろう」。

 これに伴い、トゥーン・スタジオは何よりも作品のクオリティーを最優先にする「フィルムメーカー主導のスタジオ」に変貌します。その一つの象徴ともいえるのが「ストーリー・トラスト」制度の導入です。これは、スタジオで働く監督やプロデューサー、ストーリー担当者に作品を見せて感想や意見をもらうという一種の会議のようなもので、そこでの意見を参考に、映画をより良いものにしていく……そうです。

『プレーンズ2』
『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』より - (C) 2014 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

 19年にわたってディズニーに在籍している『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』ボブス・ガナウェイ監督は言います。

 「ジョン(・ラセター)はピクサーとディズニースタジオ、そして僕らのトゥーン・スタジオを見ている。もちろん、それぞれのスタジオは違うわけだけど、すでに効果的だということが証明されている仕事のやり方がある。それはスタッフみんなが密にコラボレーションをするというやり方で、みんなが一緒に仕事をし、お互い率直に意見を言い合うということなんだ。『ストーリー・トラスト』も、もともとはピクサーが採用していた手法なんだけど、彼がCCOになった時、そのやり方をディズニースタジオに持ち込んできたんだ」

『プレーンズ2』
『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』のボブス・ガナウェイ監督

 しかし、いくら成功していたとはいえ、いきなり他のスタジオの方法を採用することに抵抗はなかったのでしょうか?

 「みんなで協力し合って作るという経験は、成熟するのに時間がかかったよ。いろんな違う人々と仕事をするわけだから、気楽にお互いの意見を分かち合うにはしばらく時間がかかるわけだ。魔法のように、すぐにいい相性が生まれるというふうにはいかない。時間をかけて徐々に進化してきたんだよ。ジョンがここに来た2006年から、僕らもスタジオが協力的な雰囲気になるように働き掛けてきた。そして今では、とても効果的なやり方となっていて、より良いストーリーを語る手助けになっているんだ」

 そういうことが、「フィルムメーカー主導のスタジオ」という考え方につながっているのだとガナウェイ監督が力説します。

 「残念だけど、多くの他のスタジオは、会社の経営陣が主導権を握ってしまっている。でも、ここはフィルムメーカーが主導権を持ったスタジオなんだ。そのことのアドバンテージは、フィルムメーカーにとって映画が与えられた仕事ではなく、『自分のもの』になるということだろうね。自分のものだという意識があるから、情熱があり、それがストーリーに入り込んでいる。一つの作品を作るのには、だいたい3~4年かかるものだけど、それだけの時間を一つの作品に費やすというのは情熱がなければやれない。そして、そういう情熱はストーリーに表れるだけじゃなくて、アニメーション映画を作るという大変な仕事をやっている間、チームやクルーを一つにまとめてくれるんだ」

新生ディズニートゥーン・スタジオの誕生

『プレーンズ2』
シリーズ最新作『ティンカー・ベルとネバーランドの海賊船』より - (C)2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

 そんな“新生ディズニートゥーン・スタジオ”の第1弾となった作品が、2008年の『ティンカー・ベル』。言わずと知れた『ピーター・パン』の人気キャラクターを主役に据えた同作はアメリカでこそ劇場未公開でしたが、日本では劇場で公開され、ヒットを記録しました。作品への評価も高く、その後も『ティンカー・ベルと月の石』『ティンカー・ベルと妖精の家』『ティンカー・ベルと輝く羽の秘密』と次々と続編が制作され、成功を収めたシリーズとなりました。

『プレーンズ2』
『プレーンズ』より - (C) 2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

 そして、そのトゥーン・スタジオが、ディズニースタジオではなく、今度はピクサーの作品に題材を求めたのが『プレーンズ』シリーズです。ジョン・ラセターが監督を務めた『カーズ』『カーズ2』の世界観を踏襲しつつも、『プレーンズ』シリーズでは、大空を舞台にした冒険が描かれています。最初は『ティンカー・ベル』シリーズ同様、アメリカではDVDスルーが予定されていたのですが、クオリティーが高かったため、急きょ劇場公開されたというエピソードもあるほどです。

写真で紹介!ディズニートゥーンスタジオ!

 それでは、ここではおさらいも兼ねて、“新生ディズニートゥーン・スタジオ”の作品を振り返ってみましょう。といっても、現在のところは2つのシリーズしかありません。

『ティンカー・ベル』シリーズ

『プレーンズ2』

 2008年の『ティンカー・ベル』に始まり、『ティンカー・ベルと月の石』(2009)、『ティンカー・ベルと妖精の家』(2010)、『ティンカー・ベルと輝く羽の秘密』(2012)と続く人気シリーズ。当初は“春夏秋冬”を題材にした4部作の予定でしたが、今年、シリーズ新作『ティンカー・ベルとネバーランドの海賊船』が発表。来年には『レジェンド・オブ・ザ・ネバービースト(原題) / Legend of the NeverBeast』のリリースされることが明らかになっています。

『プレーンズ』シリーズ

『プレーンズ2』
(C) 2013 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

 『ティンカー・ベル』と並行して、2013年に第1作が制作されたシリーズ。こちらはDVDスルーだった『ティンカー・ベル』とは異なり、本国アメリカでも劇場公開されている映画シリーズになります。ディズニー / ピクサーの映画『カーズ』に着想を得ており、第2作となる『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』の公開が間近に迫っています。

 そこで、次回の連載では『カーズ』からいかにして『プレーンズ』が生まれたのかをたっぷり紹介。この夏、公開されるシリーズ第2作『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』も絡めながら、その魅力に迫りたいと思います!

映画『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』は7月19日より全国公開

©2014 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
©KaoriSuzuki
『ティンカー・ベル』ブルーレイは発売中(4,700円+税)、『ティンカー・ベルと月の石』ブルーレイ+DVDセットは発売中(4,700円+税)、『ティンカー・ベルと妖精の家』ブルーレイ+DVDセットは発売中(3,800円+税)、『ティンカー・ベルと輝く羽の秘密』ブルーレイ+DVDセットは発売中(3,800円+税)、『ティンカー・ベルとネバーランドの海賊船』ブルーレイ+DVDセットは発売中(3,800円+税)、『プレーンズ』MovieNEXは発売中(4,000円+税)

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  5. 『プレーンズ2/ファイアー&レスキュー』特集第1回:ティズニートゥーンスタジオって、なあに?