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今週のクローズアップ 『300 <スリーハンドレッド>』続編公開!哀愁漂う古代の戦士たち!

 たった300人でペルシャの大軍勢に挑んだスパルタ兵たちの熱きバトルを描く『300 <スリーハンドレッド>』の続編『300 <スリーハンドレッド>~帝国の進撃~』がついに公開。自由のために戦う戦士たちの鍛え上げられた肉体が躍動し、手が、首が飛ぶ熱狂のバトルは健在! 本作の公開に合わせ、今週は歴史映画で活躍する剣士たちの姿を追います!

家族を奪われた男の壮絶な復讐『グラディエーター』(2000)

 リドリー・スコット監督、ラッセル・クロウ主演で、陰謀により奴隷にまで身分を落としたローマ帝国の将軍が、一介の剣闘士として英雄になる姿を描いた歴史スペクタクル。スコット監督が持ち前のビジュアルセンスで残虐描写もいとわず映像化した、残酷な描写もいとわない剣闘士たちの戦いも見どころの一つ。ローマ市民にとって最高の見せ物だった、闘技場における戦いの残虐性を見事に描き出した。

 

DreamWorks/Photofest/MediaVast Japan

 ラッセルふんする主人公マキシマスは、頭脳明晰(めいせき)かつ勇猛で、時の皇帝マルクス・アウレリウスから次期皇帝を打診されるほどの人物。それを知った皇帝のドラ息子コモドゥスのわなにはまり、妻と息子は無惨に殺害され、自らも奴隷として売り飛ばされるという悲劇に見舞われて失意のどん底に。しかし、自由を得る際に皇帝に謁見(えっけん)できる剣闘士の道を発見して一念発起し、命懸けの復讐(ふくしゅう)に乗り出す。映画史における新たなヒーロー像を生み出したラッセルの演技はアカデミー賞主演男優賞も納得だが、残虐性の奥に秘めた悲しみまで表現し、コモドゥスをただの暴君ではない、最高の悪役に仕立てたホアキン・フェニックスの好演にも注目したい。

 アカデミー賞作品賞にも輝き、ハリウッドにおいて古代ローマ史劇、ならびに歴史大作映画の復興をもたらしたという意味でも重要な一本。現代の剣闘士映画を語る上では欠かせない作品だ。

 

DreamWorks/Photofest/MediaVast Japan

俺がスパルタカスだ!自由を求めた英雄『スパルタカス』(1960)

 名匠スタンリー・キューブリックが30代でメガホンを取った歴史スペクタクル。古代ローマにおいて、奴隷の身分から自由のために歴史に名を残す反乱を起こした剣闘士スパルタカスの活躍を描く。雇われ監督という意味合いが強かったためか、脚本の変更もままならず、キューブリック自身は本作をあまり気に入っていなかった。

 

J. R. Eyerman / Time & Life Pictures / Getty Images

 しかし映像や演出面においてはキューブリックの美的センスが発揮されており、きっちり繊細な仕事をこなしているといえる。主演のカーク・ダグラスは、自由を願った英雄としてスパルタカスを演じており、劇中、反乱を鎮められとらわれの身となり、命を助ける代わりにスパルタカスを差し出すように言われた奴隷たちが、次々に「俺がスパルタカスだ!」と名乗りを上げる場面は感涙もの。自由を求める意思が人々に伝わっていき、後の世界を変えていったのだとさえ思わせる。誰もがバットマンになれるとうたった、クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』シリーズにつながる感動を思わせる。

 2010年には、この「スパルタカスの反乱」をシリーズで詳細に描いたドラマ「スパルタカス」がアメリカで放送開始。帝政ローマにおける奴隷たちの過酷な運命や、エロスとバイオレンスに満ちた狂気の時代を、成人指定も臆さず手加減なしに描いており、こちらも必見。

 

J. R. Eyerman / Time & Life Pictures / Getty Images

『スリーハンドレッド』の原点がここに!『スパルタ総攻撃』(1962)

 『300 <スリーハンドレッド>』の原作者フランク・ミラーが、同作の原作コミックを制作するきっかけになったと語っている一本。テルモピュライの戦いを描くという大筋は『スリーハンドレッド』と共通しているが、こちらは史実が基ということもあってか、当時のスパルタの実情や戦いに至るまでの政治的な駆け引きが詳細に描かれている点が興味深い。

 
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 リチャード・イーガン演じたスパルタ王レオニダスは、英雄なだけではなく、ギリシャの行く末を見つめた政治的な一面も垣間見られる人物に。スパルタ兵のいでたちも『スリーハンドレッド』ではとにかく筋肉を強調したパンツとマント姿ではなく、ちゃんとよろいを着用。完全な化け物集団と化していたペルシャ軍も人間的に描かれている。1960年代の作品ということもあり、当時の映像技術の限界からも、戦闘シーンの迫力は『スリーハンドレッド』と比べて見劣りするが、CGもない時代、大勢のエキストラを動員した合戦シーンの迫力は必見。ちなみに『帝国の進撃』で活躍するテミストクレスとペルシャ帝国の海軍指揮官アルテミシアも登場する。

 
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伝説の木馬より、苦労性の兄貴に涙…『トロイ』(2004)

 数多くの大作映画を手掛けたウォルフガング・ペーターゼン監督が、古代ギリシャの長編叙事詩「イリアス」で描かれる「トロイ戦争」を基に映画化したスペクタクル巨編。トロイの王子パリスがスパルタの王妃ヘレンと恋に落ち、駆け落ちをしたことをきっかけに始まる戦争を描く。

 
Warner Bros./Photofest/MediaVast Japan

 ブラッド・ピットがギリシャ軍最強の戦士アキレスを見事な肉体とアクションで熱演。トロイの武将たちと繰り広げる殺陣は目を見張る美しさで、本作の魅力の大半を担っているといっても過言ではないだろう。またそれ以上に注目したいのが、エリック・バナ演じるトロイ軍の総大将ヘクトル。無謀な恋のため国を崩壊に危機に立たせた弟パリスのために命をはる姿は、あまりのふびんさに共感しまくり。劇中で繰り広げられるアキレスとヘクトルの命を懸けた一騎打ちは、そんな背景にもあってお兄ちゃんを応援せずにいられない、落涙必至の名バトルになっている。伝説の「トロイの木馬」もしっかり登場します。

 
Warner Bros./Photofest/MediaVast Japan
『ベン・ハー』(1959)

 説明の必要はないほどに有名な、映画史に残る超大作。ユダヤの豪族の息子ベン・ハー(チャールトン・ヘストン)が、友人の裏切りによって反逆罪に問われたことからたどる数奇な運命を描き、アカデミー史上最高の11部門での受賞に輝いた。何といっても、クライマックスの戦車競技シーンが語り草。実物大のセットを建設し、全てが本物で作られた場面は圧巻の一言。たてがみをたなびかせる馬の美しさ、手綱を握るヘストンの躍動する肉体。戦車のクラッシュシーンは、本物だけが発揮できる迫力に満ちている。

 家族を奪われ奴隷にまで身を落としたベン・ハーの復讐(ふくしゅう)劇ともとれるが、本作の特徴は、そのベン・ハーの運命とキリストの生涯が交差する部分。数奇な運命の中で憎しみにとらわれるベン・ハーを、キリストが癒やすさまが違和感のないように描かれており、ラストの奇跡が観客の胸に染みる。上映時間も222分という、まさに破格の超大作だ。

 
Silver Screen Collection / Getty Images
チャールトン・ヘストンは本作でアカデミー賞主演男優賞を受賞した
スパルタ王に匹敵する女指揮官の魅力! 『300 <スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~』(2014)

 テルモピュライの戦いで壮絶な死を遂げたスパルタ兵の遺志を継ぎペルシャ軍に立ち向かう、アテナイのテミストクレス将軍(サリヴァン・ステイプルトン)の活躍を描く、『300 <スリーハンドレッド>』の続編。前作ファンにとって一番の懸念は、圧倒的な存在感とカリスマ性を備えたスパルタ王レオニダスを演じたジェラルド・バトラーの不在だろう。

 
(c) 2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES FUNDING, LLC
スパルタの意志を継ぐ男! 戦いはさらに激化!

 しかしその穴を埋めてなお余りある存在が、ペルシャ帝国の海軍指揮官アルテミシアを演じたエヴァ・グリーン。過酷な運命をたどった残虐で勇猛な女性戦士としての貫禄を遺憾なく発揮し、切り落とした敵の首にキスまでしてみせる圧巻の狂いぶり。屈強な男たちの肉体にも負けない堂々たるヌードも披露しており、もう一人の主人公といっても過言ではない大活躍。ザック・スナイダーからメガホンを託されたノーム・ムーロ監督は、前作以上に残酷でエロスにあふれた世界観を表現。海上における壮絶な決戦も手に汗握る緊迫感で、歴史映画における新たな戦士像を見せたといえるだろう。

 映画『300 <スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~』は6月20日より全国公開

 
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もう一人の主役といえる存在感! アルテミシアを演じるエヴァ・グリーン

文・構成:シネマトゥデイ編集部 入倉功一


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