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『インターステラー』リレーインタビュー:特別編クリストファー・ノーラン監督

『インターステラー』リレーインタビュー

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一足早く豪華キャスト&スタッフを直撃!クリストファー・ノーラン監督最新作『インターステラー』リレーインタビュー

 シネマトゥデイでは、SF映画『インターステラー』マシュー・マコノヒーアン・ハサウェイジェシカ・チャステインという豪華キャストとクリストファー・ノーラン監督の妻にしてプロデューサーのエマ・トーマスを一足早く直撃し、4回にわたってインタビューをお届けしてきました。そして現地時間10月26日のワールドプレミアでは、ノーラン監督の時間をゲット! 特別編と題し、彼のインタビューをお届けします。(取材・文・構成:編集部・市川遥)

特別編 クリストファー・ノーラン監督
『インセプション』などで知られるノーラン監督が『ダークナイト』シリーズ完結後、初めて手掛けた作品である本作は、宇宙を舞台にした壮大な父と娘の物語。世界的な飢饉(ききん)に陥った近未来。居住可能な新たな惑星を探すという壮大なミッションに参加することになり、娘に「必ず、帰ってくる」と約束して宇宙へ旅立つクーパーの姿を描く。

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クリストファー・ノーラン
クリストファー・ノーラン監督

Q:もともとこの企画を進めていたのはスティーヴン・スピルバーグ監督とジョナサン・ノーラン(ノーラン監督の弟で脚本家)で、その後あなたとジョナサンが手掛けることになったんですよね?

 一緒にやっていない場合でも、僕とジョナ(ジョナサン)はお互いが抱える仕事についてしょっちゅう話すんだ。この企画で僕が心を惹(ひ)かれたことは、二つある。一つは、ジョナが考案したキャラクター。これは父と子の物語。ある状況に巻き込まれたせいで、この家族の関係が試されていくことになるんだ。もう一つは、人類が進化を続けていく上で、地球を離れ、宇宙のほかの場所に住むところを見つけなければいけない日は来るのだろうかと問い掛けてくること。もしそれが起こるのであれば、それは人類の進化の歴史において、非常に重要な瞬間となるだろう。僕が子供のときに観た『未知との遭遇』といったブロックバスター映画にも、人間がエイリアンに出会うというような人類の重要な瞬間を描くものがあった。将来、僕らが本当に体験するかもしれない状況を見せてくれるSF映画を、僕は愛する。もし本当に起こったら、自分はどうするだろうと想像を巡らせることができるからね。

Q:本作はSF映画であると同時に、家族ドラマでもあります。なぜこのような要素を入れたのでしょうか?

 スピルバーグ映画に関係している。あの感動作が見事に機能しているのは、まずは共感できる家族関係、そして彼らの内面や葛藤を描いてから、とてつもない冒険に導くからだ。だから、非現実的な出来事が起きても観客はその展開についていくことができる。スピルバーグはこの手法の達人で、最近の『宇宙戦争』でもそうだね。共感できるキャラクターを最初に描いているから、唐突な出来事が起きても観客はそのまま見続けることができる。これはとてもパワフルな手法で、特にSF映画を作る上で効果的だと思うんだ。

マシュー・マコノヒー
描かれるのは父娘の絆 - 主人公クーパーと娘のマーフ

Q:家族愛を描くこの映画を共に手掛けたのが実際の家族であるエマ・トーマス、ジョナサンだという事実は、本作にどのような影響を与えたでしょうか?

 ジョナが書いた脚本で僕が一番共感を覚えたのは、父と子の関係の部分だった。この父は、子供たちを残して出て行かなければいけない。脚本のリライトをしているとき、僕はマーフを女の子にしようと決めた。それまでは男の子という設定だったんだ。そこに書かれていた親子関係は、ほとんど変えていないよ。女の子にしたのは、その方が個人的にさらに強く共感できたからに過ぎない。僕にも娘がいるし。僕にとって、この映画は父であるというのはどんなことかを語るもの。また、父にとって、子供を残して仕事に行くことがどれほどつらいことであるかも。僕の場合は一緒に仕事に連れて行くという解決法を取っているけどね(笑)。宇宙という大きなスケールの背景の下、そんなふうに人間同士の関係を深く探索してみることに僕は興奮したんだ。宇宙のますます遠いところまで行くようになるにつれて、人は、わが子や配偶者との関係という人生の身近なものに重きを置くようになるものではないだろうか。そんなプロジェクトを僕自身の弟が始めて、妻がプロデューサーを務めるという事実も、僕にとっては重要な意味を持つことだった。その気持ちが映画にも反映されていることを望んでいるよ。

Q:本作の主人公クーパーも、『インセプション』の主人公のコブ(レオナルド・ディカプリオ)も父親です。これはあなた自身が父親になったことと関係しているのですか?

 僕は自分が感動したり、自分に訴え掛けたりするような要素を脚本に盛り込んでいる。親になることは、多くの人にとって人生で最も重要なことで、僕にとってもそうだった。だから、その題材をフィクションの形で探求してみたいと思うのは当然の流れだと思う。

クリストファー・ノーランとマシュー・マコノヒー
撮影現場でのノーラン監督とマシュー・マコノヒー

Q:親になる前、例えば20年前に同じ脚本を書くことができたと思いますか?

 この脚本は書くことができなかったと思うね。必要な知識がなかったら。親子ドラマの要素は、誠実でリアルでなくてはならない。そうでなければ、センチメンタル過ぎて、お涙頂戴のものになってしまう。もし、僕がもっと想像力豊かな作家だったら話は違うんだろうけど、実際の経験がなければ親子関係は描けなかったと思う。さっきマシュー(・マコノヒー)は父親にならなくてもこの役柄を演じることができた、と話していたよね。あのときは何も言わなかったけど、実は子供のいない俳優にクーパー役を任せることはたぶんなかったと思う。どれだけ演技がうまくてもね。マシューに会って最初に確認したかったのも、彼がどんな父親かということだ。そして、彼は父親だからこそ、クーパーがトムとマーフ(クーパーの息子と娘)に対して違ったふうに接する理由が理解できる。脚本を読むとクーパーにとってお気に入りの子供はマーフであるような印象を抱くかもしれないけど、マシューはそうじゃないとわかってくれた。クーパーは2人の子供を同等に、しかし違った形で愛しているんだと。この映画を作る上で、親子関係は可能な限り誠実に描かなくてはいけないと思っていて、マシューはまさに完璧だった。彼が素晴らしい父親であることが、何よりも大事だったんだ。

Q:脚本を執筆していたとき、クーパー役に具体的な俳優のイメージはあったのですか?

 いや、脚本を書くときは役者を想定しない。自分が作るキャラクターを限定してしまうことになるからね。過去にその役者が演じたキャラクターを参考にしてしまったり。だから、なるべく頭の中にリアルなキャラクターを作ろうとしている。そして、いったん脚本が終わったら、その役柄に誰がマッチするか考えだす。正直に言うと、マシューの名前が出たら、クーパー役にほかの誰も想像することができなくなってしまったけれどね。彼はまさに完璧で。

インターステラー
ワールドプレミアで豪華キャストが集結! - 左からマイケル・ケインとノーラン監督

Q:マイケル・ケインに関しても、役柄を想定しないで執筆しているのですか?

 意外と思われるかもしれないけれどね(笑)。マイケルとは幸運にも6回一緒に仕事をさせてもらっている。うれしいことに、彼は僕の映画の幸運の守り神だと言ってくれている。一緒の仕事は楽しいから、常に何か演じてもらう機会を探すのは事実だ。ただ、僕は毎回、過去にないキャラクターを生み出そうとしているから、特定の役者は想定していないんだ。

Q:アン・ハサウェイを再び起用した理由を教えてください。

 『ダークナイト ライジング』での仕事がとても楽しかったんだ。素晴らしい女優であることもわかった。実はあの映画の撮影中に、彼女が科学に関心があることを知ったんだ。SF映画のファンであることもね。だから、彼女ならブランドというキャラクターを理解してくれると思った。実際その通りだったし、出演を了承してくれてラッキーだったよ。

Q:ブランドのセリフに「愛こそが時空を超えた力を知覚できる能力だ」というくだりがありますが、監督も愛の力を信じているのでしょうか?

 信じている、というよりも、明白な事実だと思う。彼女は「愛は時空を超える」と言うが、シンプルに言い換えれば「人は誰しも死んだ人を愛し続けることができる」ということだ。僕の父は数年前に他界したが、彼が生きていたときと全く同じ気持ちを父に対して抱いている。時間によって、自分の気持ちが変化することはない。愛というものの力はとても力強く、よくわからないものだけれど、少なくとも時間には変化させられないんだ。

アン・ハサウェイ
宇宙飛行士ブランドにふんするアン・ハサウェイ

Q:劇中、アポロ計画が陰謀だったと学校で教えられている点が印象的でした。

 実はあれはジョナの脚本にあった要素で、映画が長くなり過ぎたからカットすべきだとジョナに言われていた部分なんだ。でも、僕は残すことにした。歴史が書き換えられてしまっていることについて指摘したかったから。

 『ダークナイト』の準備を香港でしているときに、弟とウォーリー(・フィスター撮影監督)と一緒にオムニマックスシアター(ドーム状のスクリーンに映像を映し出すIMAXのシステムを採用したシアター)で映画を観ることにしたんだ。トム・ハンクスがプロデュースした月面着陸に関するドキュメンタリーだ(『ウォーキング・オン・ザ・ムーン 3D』)。IMAXで撮影された素晴らしい作品だった。でも、あの映画の中で、月面着陸のねつ造説に関しても触れられていることにショックを受けた。あの映画のプロデューサーたちが、その説についてわざわざ触れなきゃいけないと感じたことが、ね。月面着陸を実現するために数え切れないほどの人々が成し遂げた偉業が忘れ去られ、みんなはシニカルになって、全てが陰謀と見られるようになってしまっている。偉大なことなんてこの世には存在せず、全てには裏があるかのように思われている。こうやって歴史が書き換えられているのはとても恐ろしいことで、だからこそ、あの場面を映画に残したんだ。

Q:この映画に登場するロボットについて伺います。あなたは「ロボット」という呼び方を嫌っていますよね?

 Articulated Machine(有機的機械)だ。ロボットという言葉を使うと、みんなその外見に関して誤ったイメージを抱いてしまう。だから、脚本を執筆している段階から、人間のようなルックスをしたロボットじゃないことをきちんと示したかった。通常のロボットとは異なり、愛着を抱くのが難しいキャラクターである、とね。

Q:どうやって撮影したのですか?

 VFXスーパーバイザーのスコット・フィッシャーが、200ポンドの重さのある金属製ロボットを作ってくれた。油圧式で操作できるようになっていて、TARS(ロボットの名前)の声を担当するビル・アーウィンが人形使いのように操ってくれた。ビルの声は体に取り付けられたスピーカーから出てくるようになっていて、出演者たちはリアルタイムで共演できたんだ。

インターステラー
宇宙船とワームホール!

Q:本作における時間のコンセプトをどのように考案されたのでしょうか? 後半、すごく迫力のあるシーンがありますね。キップ・ソーン(本作のコンサルタントも務めた物理学者)とどんな話し合いをされたのですか?

 僕は、昔から時間に興味を持ってきた。時間というものを、違う角度から見て、違う方向から探索することに。僕に今語れるのはそれだけ。観客のサプライズを損ねたくないから、映画の後半で起こることには触れたくないんだよね。

 僕とキップの話し合いについて言うと、多くの場合、僕が「映画の中でこういうことが起こる必要があるのですが、時間のスピードや、重力の度合いのせいで、実際にそれが起こる可能性はあるのでしょうか?」と彼に聞くような感じだった。大抵の場合、彼は「今すぐはわからないが、考えてみるから時間をくれる?」と言い、いろんな計算をしたり、関係者と話したりした後、「こういう場合だったら、あり得る。もし、こういった条件がそろっていたらね」と教えてくれた。それで僕はその要素を取り入れつつ脚本を書き直してみたのさ。キップからは、大きなインスピレーションを受けたよ。ジョナから聞かされてはいたけどね。ジョナは、僕よりずっと前から彼を知っている。初めてキップと話す前、ジョナに「キップは『そんなのできっこない、無理だ』とばかり言ってくるのかな」と聞いたら、「いや、それはないよ。キップは、むしろ可能性を探し出してくれるんだ」と言った。真の物理学は、可能性を教えてくれる。僕らが漠然と想像を巡らせるよりも、ずっと興味深いんだ。キップが何を言うかを聞くのは、毎回、とても刺激的だったよ。

『インターステラー』リレーインタビュー バックナンバー
第1回:エマ・トーマス
第2回:ジェシカ・チャステイン
第3回:アン・ハサウェイ
第4回:マシュー・マコノヒー

映画『インターステラー』は11月22日より全国公開
映画『インターステラー』公式サイト
(C) 2014 Warner Bros. Entertainment, Inc. and Paramount Pictures. All Rights Reserved.

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