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 青春の汗がキラリ!ドラマが詰まった野球映画特集

昨年12月20日に公開された『バンクーバーの朝日』に続き、1月17日には『アゲイン 28年目の甲子園』、1月24日には『KANO ~1931海の向こうの甲子園~』と野球映画が続々と公開される。今回は名作ひしめく野球映画からおすすめの作品を紹介。野球のルールを知らなくても楽しめる野球映画の魅力をひもとく。(文・構成:編集部 吉田唯)

球場には、奇跡が宿る『フィールド・オブ・ドリームス』

 「フィールド・オブ・ドリームス」
「フィールド・オブ・ドリームス」 価格:1,429円+税 発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

 W・P・キンセラの原作を基に、不思議な声に導かれるままに自分の畑を野球場へと変えた主人公が、夢に挫折した人々との出会いの連鎖で起こる奇跡に向き合うさまを描いたドラマ。球場で謎の声が聞こえるという一風変わった設定は、宮藤官九郎脚本の『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』などでもパロディーにされるほど有名。そのファンタジー的な要素を通して描かれているのは、登場人物たちが抱える心の傷をいかに癒やすかという内面の問題だ。主人公が畑をつぶして作った球場に集まるのはすでに亡くなった人々で、誰もが野球を愛しているがゆえに野球に傷つけられた過去を持っている。野球に限らず、全ての物事は大切に思えば思うほどそれによって傷つけられることも多くなる。本作は、それでも大切なものに実直に向き合い続けた人には、いつか報われる日が来るという希望をもたらしてくれる名作だ。

甲子園に出場した台湾代表の実話『KANO ~1931海の向こうの甲子園~』

『kano』
『KANO ~1931海の向こうの甲子園~』(C)果子電影

 日本統治下の1931年に台湾代表として甲子園出場を果たし、決勝まで勝ち進んだ“KANO”こと台南州立嘉義農林学校野球部の実話を基にした感動作。

『kano』
チームメイトとの熱い友情!『KANO ~1931海の向こうの甲子園~』(C)果子電影

 永瀬正敏演じる実在の人物・近藤兵太郎の「ザ・日本男児」といった頑固な鬼監督ぶりもさることながら、野球経験を重視して集められた球児役のキャストそれぞれの個性も魅力的だ。鬼監督と球児たちが心を通わせていく様子や、日本人・台湾育ちの漢人・台湾原住民から成るチームが、野球という共通言語を通して民族を超えた友情を育んでいく姿に、ついつい目頭が熱くなる場面も。野球というスポーツを題材に、日本と台湾の歴史、ひたむきに努力することの尊さを教えてくれる。

補欠部員にも物語がある!『ひゃくはち』

『ひゃくはち』
「ひゃくはち プレミアム・エディション」は発売中 価格:4,700円+税 発売元:RIKIプロジェクト 販売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント (C)2008「ひゃくはち」製作委員会

 万年補欠の野球部員たちにスポットを当てた本作は、光のそばにできる影の部分にあたる人々にも熱い感情と人生があることを思い出させてくれる一本。レギュラーになれないからといって野球をやめることもできず、一向にやって来ない「いつか」を期待して日々を送る補欠部員には、誰もが共感を覚えるはず。うだつの上がらない補欠部員でも、野球に注ぐ情熱はレギュラー選手と変わらないということを描いているため、才能というスポーツにおける絶対的な壁の大きさとやるせなさが強調されている。同時に、補欠部員同士、またはレギュラーと補欠部員の友情にも青春のひとときを垣間見ることができ、野球という一つのスポーツがもたらす喜びと悲しみ、栄光と挫折に胸が締め付けられるだろう。

数字で野球を斬る!『マネーボール』

『マネーボール』
ブラピがゼネラルマネージャーを好演 - Columbia Pictures/Photofest/ゲッティ イメージズ

 メジャーリーグの貧乏球団を独自の「マネーボール理論」で常勝球団に育て上げた実在のゼネラルマネージャーの半生をブラッド・ピットが演じたヒューマンドラマ。

『マネーボール』
Columbia Pictures/Photofest/ゲッティ イメージズ

 「お金」「数字」という新たな側面から野球を切り取り、野球というスポーツと同時に人生の奥深さも描き出している。「マネーボール理論」という前人未到の領域を切り開いた男の物語であるが、劇中で映し出されるのはあくまで、目標を成し遂げるための努力や結果が出るまでのもどかしさといった普遍的なもの。悩み苦しむ主人公を温かく包み込む本作は、目の前に立ちはだかる障害に悩む全ての人々に響くこと間違いなしの一本だ。

落ちこぼれの子供たちの成長ドラマ『がんばれ!ベアーズ』

『ベアーズ』
「がんばれ! ベアーズ」は発売中 価格:1,429円+税 発売元:パラマウント ジャパン(C)TM,(R) & Copyright (C)2005 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 野球映画と聞いたときに真っ先に思い浮かべる定番作品といえばこの作品。酔いどれ中年男が、個性派ぞろいの少年野球チームのコーチに就任。コーチの指導の下、時にはケンカしながらも互いに助け合って強くなっていく少年たちの姿を映し出す。口だけ達者で野球はてんでダメな落ちこぼれというとにかく個性的なメンバーたちのかわいらしさもさることながら、ヒューマンドラマとしても優れた本作。彼らが少しずつ技術を身に付け、チームプレーを覚えていく姿には、野球だけでなく人間的な成長を見て取ることができる。勝ち負けを追求するスポーツでありながら、最後には勝ち負けよりも大切なものがあることを訴え掛ける教科書的作品といえる。

カナダに旋風を巻き起こした日系人『バンクーバーの朝日』

『バンクーバーの朝日』
『バンクーバーの朝日』(C)2014「バンクーバーの朝日」製作委員会

 1900年代初頭のカナダ・バンクーバーを舞台に、「バンクーバー朝日」という野球チームに所属する日系人が、過酷な環境にあえぎながらも戦術やひたむきさで次第に現地の人々に認められていった実話を基に描くドラマ。亀梨和也、勝地涼、上地雄輔、池松壮亮など、チームのキャプテンを演じた妻夫木聡以外のキャストには野球経験者がズラリ。チームワークを強化するために合宿を行ったというメンバーたちが垣間見せる仲の良さには、理想的なチームの姿を見ることができる。また、バントや盗塁など、派手ではないが地道な面白さがある「頭脳野球」に胸が躍る場面もあり、野球映画ならではの興奮を感じることができる。時代に翻弄(ほんろう)される青年たちが、唯一野球のときにだけ目を輝かせる様子はいとおしさと切なさを呼び起こし、「今この時代をどう生きるか」という重要な問いを観客に投げ掛けている。

女性だって野球が好き!『プリティ・リーグ』

『プリティ・リーグ』
Columbia Pictures/Photofest/ゲッティ イメージズ

 戦時下、男たちが戦争に駆り出されたアメリカを舞台に、プロ野球閉鎖の危機が訪れる中で結成された世界初の全米女子プロ野球リーグを題材にした本作。

『プリティ・リーグ』
豪快な投球! - Columbia Pictures/Photofest/ゲッティ イメージズ

トム・ハンクスやマドンナといった豪華キャストにも注目だが、何といっても魅力を放つのは汗や埃にまみれながらもひたむきにボールを追う女性たちの力強い姿。どうしても男性主人公の作品が多くなりがちな野球映画に女性側からアプローチし、女性ならではの繊細な戸惑いや感情を描いている。一方で、新しい時代へ果敢に身を投じる勇敢さを映し出しており、鑑賞後は勇気とエネルギーをもらうことができる。本当に楽しそうに野球をする女性たちの純粋な姿が胸を打つ秀作。

おじさんになっても甲子園を目指せる!『アゲイン 28年目の甲子園』

『アゲイン』
『アゲイン 28年目の甲子園』(C)重松清/集英社 (C)2015「アゲイン」製作委員会

 直木賞作家・重松清の小説「アゲイン」を映画化した本作。元高校球児が世代を超えて出身校別にチームを結成し、再び甲子園を目指す「マスターズ甲子園」を舞台に、中井貴一演じる主人公・晴彦がかつての夢に向かって奮闘するさまを映し出す。

『アゲイン』
『アゲイン 28年目の甲子園』(C)重松清/集英社 (C)2015「アゲイン」製作委員会

 『風が強く吹いている』でチームスポーツでありながらも孤独な面を持つ駅伝という題材を見事に描いた大森寿美男監督が今作で挑んだのは、かつての高校球児が捨てきれない「甲子園」という夢への憧れとその夢の続き。おじさんたちが「マスターズ甲子園」を通して再び青春を手にする姿は、日常に埋もれてしまっている夢や希望を思い出させてくれる。そして、本作のもう一つの見どころは家族と夢の関係。現実と向き合わなければならない状況で夢をつかもうとするとき、ボールを通してそれぞれの家族がどんな会話を交わすのかにも注目だ。

野球は、生きる希望になる『陽だまりのグラウンド』

『陽だまりのグラウンド』
「陽だまりのグラウンド」は発売中 価格:4,700円+税 (C)2001 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 『マトリックス』などのキアヌ・リーヴスが新境地を開いたヒューマンドラマ。ギャンブルに溺れて借金まみれの主人公が、低所得者住宅地区に住む子供たちとの交流を通して自分自身を取り戻していくさまを描く。不条理な現実の中でどうにか生き抜いている子供たち。信じられる人はごくわずかという彼らが、野球をプレーしているときだけは顔を輝かせる様子には、主人公同様に胸が熱くなることだろう。単なるスポーツという枠組みを超えて、生きる希望にまでなる野球の魅力がキラリと光る感動作である。

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