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堤真一&尾野真千子
『神様はバリにいる』
いろいろな神様を見つけた40日間
『神様はバリにいる』堤真一&尾野真千子 単独インタビュー

取材・文:前田かおり 撮影:金井尭子

バリ島に暮らす、日本人の大富豪のアニキとの出会いが、事業に失敗し借金を背負って人生を捨てるために島にやって来た元女社長や、元エリート医師、元ストーカーたちの人生を一変させる。うそのような実話から生まれた映画『神様はバリにいる』で共演した堤真一と尾野真千子。バリ島約40日間の滞在で撮り上げたからこそ生まれた空気感や、玉木宏、ナオト・インティライミらと紡いだチームワークについて語った。

■尾野にとって堤は、映画さながらのアニキ的存在

Q:お二人は、映画『クライマーズ・ハイ』(2008)以来の共演になるそうですね。

堤真一(以下、堤):そう。あれ以来、尾野さんとはちょくちょく会っていましたが、共演は久しぶりで。尾野さんと共演できると聞いたときは、「おっ、楽しそう」と思いました。実は、役者同士でプライベートでも、よく会ったりしている人と芝居に入るとテレるんじゃないかなと思っていたんですよ。でも、そんなことはなかった。尾野さんは、ちゃんとお芝居できる人なので、芝居に集中することができました。

尾野真千子(以下、尾野):『クライマーズ・ハイ』でご一緒させていただいたときは、自分がすごくダメだったという思いがあって。だから、次に会うときはもっとしっかりしていなくちゃいけない、もっと成長した姿を見せないといけないと思っていました。久しぶりに会う兄に、成長を見てもらうみたいな感じがありましたね(笑)。

堤:イヤー。尾野さんは立派になられて!

尾野:ハハハ。『クライマーズ・ハイ』以来、堤さんはわたしのいろんな芝居を見てくださって、「あれは、よう頑張った」とか言ってくださるんです。良きお兄さん的存在で、ありがたいです!

■生活の中に神様がいるバリの風景

Q:そんな堤さんが、今回は見た目はうさんくさいけど、人生の師匠のような存在になるアニキ役でした。共通点はありますか?

堤:全然ないですね。

尾野:アニキ的な存在というのは共通しますけどね(笑)。

堤:劇中のアニキみたいに、僕はダジャレも言わないし。ただ「ダジャレは頭の回転を良くするねん」というセリフは、実感としてそうかもと思うけど(笑)。

尾野:わたしも、演じた祥子さんとは共通することはないですね。現実逃避して自殺しようと思ったこともないし。ただ、アニキといることでだんだん変わって、それが自分に近づいてきているような感じはありましたけど(笑)。

Q:この撮影でバリにはどのくらいの期間、滞在したのでしょう?

堤:約40日間。ずっと行きっぱなしでした。おかげで、自然にバリにいることに違和感がなくなった。

Q:生活の中に神様が常にいる、そういったことを描いている作品ですよね。

堤:昔の日本には、家に神棚があって、家を出るときはパンパンと柏手(かしわで)を打ったり、仏壇に手を合わせたり。そういうことが当たり前だったけど、今はあまりない気がする。それが、バリ島にはそこら中にあるというか。日常的に、線香のにおいが町中に漂っていて、人々が感謝の気持ちをとても大事にしていて、今日一日が始まることに感謝するみたいなことがある。

Q:日本だと八百万(やおよろず)の神といいますよね。

堤:ヒンズー教もそうなんです。仏教と交ざって、阿修羅像も、ヒンズーの神様と一緒になってできている。日常的にいろんな神様がいる、そんな空気感がある光景はセットやCGでは作れないんですよ。尾野さんは、山の神様に育てられたからよくわかるんじゃない?

尾野:(笑)。そうですね、わたしも実家(奈良)にいるときは隣がお寺だったし。一番の友達のおじいさんはお寺の住職さんで、いつもお寺に手を合わせに行ったりとか。身近に仏様がいましたね。そんな雰囲気をバリでは思い出しました。

堤:でも、この作品は宗教を描いているんじゃなくて、笑いの中に感謝の気持ちを表している。あまり説教くさくなっていないのは脚本のうまさだと思います。

Q:お二人ともバリは初めてだったそうですが、撮影を通して感じたバリの魅力は?

堤:観光地ではあるけれど、表通りからちょっと入ると広大な水田、棚田の風景が広がっている。そんなふうに人が自然に寄り添って生きている。しかも、その水田の広さがハンパじゃなくて。それを見たときに、人間って文明が発達しようがどうしようが、この大地からの恵みさえ大事にしていればいいんだと。人間って、そんなに余計なものは要らないんだなと思わせてくれる土地でしたね。

尾野:わたしも自然の力をすごく感じまして。例えば、東京で見ている空や、太陽や海とか、当たり前のように感じていたところがありましたが、バリに行って、太陽ってすごく大事なんだな、月ってすごい力をくれるんだなとか。そんなふうに自然の力というのを再認識、再発見しました。自然を身近に感じた気がします。

■現場のムードメーカーはあの人!

Q:インドネシア人のスタッフとのコミュニケーションはうまくいきましたか?

堤:通訳さんもいたし、簡単な英語は通じるんですよ。それとナオト(・インティライミ)が、現地の人たちにすぐ溶け込んで友達みたいになって。撮影のときはにぎやかに盛り上げてくれて。そういう空気も映画の雰囲気に反映されていると思いますよ。

Q:とても楽しい現場だったようですが、ムードメーカーというと?

堤:尾野さんとも話していたんですけど、玉木(宏)くんと僕ら3人は役者だけど、そこにナオトが入ったおかげで、思いも寄らぬ現場の雰囲気になりましたよ。

Q:それはどんな感じだったのでしょう。

堤:待ち時間があると、歌のしり取りとか、カードゲームをやったり。撮影の現場って、僕らは待ち時間でも、スタッフは働いているから、遊び過ぎるのはどうかというのはあるんです。でも、「ナオトだからしょうがないんだよね……」というノリで、やっていました(笑)。でも、それで芝居がぐずぐずになるというのではなくて、メリハリもついたので良かったと思います。それと、彼がいると音楽が必ずある。いつも歌があったよね。尾野さんも好きだし。

尾野:ふふふ。

堤:いつも歌っているんです。移動時間は、もううるさいうるさい……。僕は寝たいと思っているのに、ずっと尾野さんとナオトが歌を歌っている(笑)。

尾野:わたしは歌が好きですからね。で、ナオトさんがああいう人なので、歌うと、すぐに歌い返してくれるんです。みんなでわぁーっと歌っていると、そのうち堤さんも参加し始める。だから常に音楽に触れている感じがありましたね。

堤:楽しかったなー。デカかったなー、ナオトの存在。

■人との出会いや縁を感じた幸せな撮影現場

Q:バリでどんな神様を見つけられましたか?

堤:僕が見つけたのは神様というより、人との出会いや縁ですね。もしも、これがバリではなくて普通にスタジオで尾野さんと会っていたら、「仕事が終わったね」という感じ。ところが、バリという場所のせいもあったのか、尾野さんとまた仕事ができて感謝、という気持ちになったし。ナオトや玉木くんと出会えて感謝だし。感謝の気持ちが自然と湧いてくる。「ありがとう」と素直に言える空気感があるんじゃないんですかね。

尾野:いろんな神様がいましたね。ナオトさまさまでした。本当にナオトさんがいたおかげで、現場の雰囲気がすごく変わったし。共演者という絆がこんなにも大事なものだったんだ、ということにも気付かせてもらったし。ありがたく思っています。

『クライマーズ・ハイ』以来の付き合いでプライベートでも仲良しという堤&尾野。インタビュー中も、堤がしゃべれば尾野がツッコミを入れるという、まるで掛け合い漫才のようなトークが展開。そこには役者同士の深い信頼関係ものぞく。そんな二人が40日間のバリ島ロケを通して、映画さながらに感じた人との出会いや縁の素晴らしさが反映された一作となっている。

映画『神様はバリにいる』は1月17日より新宿バルト9ほか全国公開

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