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哀川翔&品川ヒロシ監督
『Zアイランド』
哀川翔もうなる品川ヒロシ「全力の監督力」
『Zアイランド』哀川翔&品川ヒロシ監督 単独インタビュー

取材・文:イソガイマサト 写真:高野広美

芸能生活30周年を迎えた哀川翔と、彼が監督に指名した品川ヒロシの強力タッグによる『Zアイランド』。映画は絶海の孤島を舞台に、哀川演じる元ヤクザと島で大量発生したゾンビが壮絶なバトルを繰り広げる超絶アクションエンターテインメントだが、品川は哀川の30周年記念映画にして111本目の主演作になぜ「ヤクザVSゾンビ」の企画をぶつけたのか。哀川はそのぶっ飛んだ内容をどう受け入れ、楽しんだのか。そして、そこから生まれたものとは。

■哀川翔の栄誉をゾンビ映画でたたえる

Q:『サンブンノイチ』の撮影現場で、翔さんがご自身の芸能生活30周年記念映画の監督に品川さんを抜てきされたんですよね。

哀川翔(以下、哀川):いや、お願いしたんですよ。(品川監督)第1作の『ドロップ』から出させてもらっていて、監督としても完成していると思ったし、哀川翔の芸能生活30周年を品川ワールドで飾るのもいいなと思ったんです。

品川ヒロシ監督(以下、品川):翔さんの記念すべき30周年の、しかも(主演)111本目の監督をやらせていただけるのはうれしかったです。ずっとかわいがってもらっていた翔さんへの恩返しにもなるし、自分にとってもチャンスでしたから。

Q:品川さんがその記念作に「ヤクザVSゾンビ」の企画を持ってきたのはなぜですか?

品川:最近になってあらためてその発想の奇抜さに気付いたけど、最初は普通に翔さんにピッタリな企画だと思ったんですよ。

哀川:俺もスゲ~面白いと思ってね。そうなったら、30周年とかも関係ない(笑)。

品川:僕は『ドロップ』を撮った直後からやりたかった企画なんですけど、こういう企画は大人たちが動かない。でも、今回はちょうど大人で子供の人が(哀川を指して)ここにいたんで、翔さんの力を借りて大々的に作ることができたんです(笑)。

■佐渡島ロケではユニークなゾンビが大量発生

Q:品川さんの作った「ゾンビ映画」は恐怖と笑いが何度も反転するところが斬新ですね。

哀川:そうなんだよね。最初は笑っていたのに恐怖のどん底に落とされたり、観る人の立ち位置によって見え方や感じ方も変わってくる。映画って本来そういうものだと俺は思っているんだけど、品川はそういう作り方をしているし、そこの才能はスゴいと思うね。

品川:僕はゾンビからただ逃げるだけではなく、ゾンビと戦うような映画にしたかったんですよ。それで戦える人って誰だろう? って考えたときに、警官とかヤクザしかないよなと思って。それからケガをしたときのことも想定して医者もいた方がいいと思ったんです。

Q:印象に残っているゾンビはいますか?

哀川:いたよ(笑)。最初に遭遇するおばちゃんのゾンビなんて、RED RICE(湘南乃風)がリハーサルで殴り掛かろうとしたら、「キャー!」って逃げて行っちゃった(笑)。75歳のおじいちゃんも、ゾンビのメイクをした顔で「今日は何をすればいいんですかね?」って俺に聞いてくるわけ。エキストラで参加してくれた佐渡島のおじいちゃんだから、俺も「どう考えてもゾンビでしょ」とは言えないし、「ゆっくり歩いてくれればいいですよ」って言ったんだけど、足の速いゾンビに追い抜かれて歯がゆくなったんだろうね。動きがだんだん速くなって、撮影が終わるころにはすごく元気になっていたよね(笑)。

品川:顔色も良くなって(笑)。たくさんの人が集まっていたから、楽しかったんでしょうね。続編がもしあったら、「また出して! ゾンビをやりたい」ってみんな言っていました。

■品川の「監督力」を感じたアクションシーン

Q:ゾンビとの攻防を描いたクライマックスのアクションシーンも、すごい迫力でした。

哀川:いや~、あれは大変だったね。バイクのシーンを撮るだけでもすごく時間がかかるのに、バイクに乗りながら散弾銃を撃たなきゃいけないし、バイクを降りた後もトラックの荷台で(敵対するヤクザ役の)キム兄(木村祐一)と戦わなきゃいけない。描写やアイテムが一つ増えるごとに時間が1時間余分にかかるんだけど、品川はそれをちゃんと撮るから偉いよね。まさに「監督力」を感じたよ。

品川:ただ、女子高生役の子たち(山本舞香、水野絵梨奈)のアクションシーンの撮影は、雨が降って半日なくなったからヤバいと思いましたね。二人は撮影に入る2か月前から週に2、3回アクションのトレーニングをして、体がバキバキに痛くなるまで頑張ってくれていたから、「ごめん、時間がなくて撮れない」とは絶対に言えなかったです。

■ガッツリ組んでわかったお互いの魅力と才能

Q:品川さんが今回、ガッツリ一緒にお仕事をされて、発見した翔さんの新たな魅力を教えてください。

品川:翔さんが来ると現場が一気に明るくなるんですよね。しかも、それが計算したものじゃなくて、太陽みたいな明るさだから、撮影で疲れ切ったスタッフたちもワッと明るくなるし、ピリついたムードもなくなるんですよ。

哀川:芝居の演出は監督がしっかりやってくれているから、俺がいつも現場で気にしているのは、腹が減っているやつがいるんじゃないのかとか、お菓子が足りないんじゃないかとか、そんなこと。要するに用務員のおじさんみたいな係なんですよ(笑)。

品川:そんなことはないですけど(笑)、撮影の合間にカニを捕まえたりするから、単純にワ~って盛り上がる。それに翔さんは人見知りしないから、誰にでもいきなり「今、変なやついたよ!」って同じクラスの仲間だったみたいに話し掛けるし、みんなもそんな翔さんの話に笑っちゃう。そのおかげで、佐渡島の28日間の撮影は結構ヘビーなものでしたけど、ずっと良い空気でした。

Q:哀川さんは、芸人が本職の品川さんが映画監督をやることについてはどういう考えをお持ちですか?

哀川:いいんじゃないですか。本職じゃないから一生懸命できるところもあるし、手を抜かない。プロになればなるほど、職人になればなるほど、手は抜かないけど、ユルいところとキツいところの強弱がはっきりしてくる。俺はそこが落とし穴だと思っていて。でも、品川はそうじゃない。強弱のある映画は死ぬ前ぐらいでいいし、品川は全てに全力だから、こういう隙のない映画ができるんですよ。

品川:最近思うんですけど、芸人なんて、売れていなくても仕事が一個もなくても、「俺、芸人なんだよ」って言っていれば「芸人」みたいな職業なんですよ。俺、それは役者や監督も同じだと思っていて。1本撮っただけで、構想をずっと考えているって言っている監督もいるじゃないですか。俺はその人たちとは逆で、本業とか副業とか関係なく、どっちも好きだから全力でやっているだけなんですよね。

哀川:俺は監督としての使命感の問題だと思うね。ただ、それだけのこと。品川は使命感があるから、今後は1年に1本ぐらい撮った方がいいと思うし、俺が企画を持ち込んで「これを撮れ!」みたいなことも考えていますよ。

品川:うれしいです。僕も2年に3本ぐらいのペースで撮りたいと思っているし、プロモーションの間にまた一緒に酒を飲めれば(笑)。

大変な撮影を楽しそうに振り返る哀川と品川は息もピッタリで、現場を共に闘った者同士だけが築ける熱い友情と信頼の絆を感じることができた。彼らに共通しているのは、面白い映画を作り続けたいという精神にほかならないし、彼らが日本映画をもっともっと面白いものに進化させていってくれるのは間違いない。二人は、インタビューの最後で語っているように、お互いの才能と魅力を生かして実現できる次なる構想を話し合っているのではないだろうか。それが現実のものになる日が来るのが早くも楽しみでならない。

映画『Zアイランド』は公開中

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