シネマトゥデイ

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松田翔太&前田敦子
『イニシエーション・ラブ』
不可能とされた映像化にうなる
『イニシエーション・ラブ』松田翔太&前田敦子 単独インタビュー

取材・文:斉藤由紀子 写真:土屋久美子

遠距離恋愛の物語がラスト2行で驚がくのミステリーに変貌する乾くるみのベストセラー小説を、堤幸彦監督がまさかの映画化。1980年代後半、静岡の大学を卒業して就職後東京に転勤する主人公の鈴木と、静岡で暮らす恋人のマユ、上京した鈴木の同僚・美弥子の織り成す三角関係を、80年代カルチャーの魅力と映像トリックを交えて描く意欲作だ。鈴木を演じた松田翔太と、マユにふんした前田敦子が作品について語った。

■出演者も「なるほど!」とうなった映像トリック

Q:原作は映像化不可能とされたミステリーですが、お二人は原作を読まれましたか?

松田翔太(以下、松田):僕の場合、原作は映画の台本を読ませていただいてから読んだので、映画化することを意識して読んでしまった感じですね。

前田敦子(以下、前田):わたしもそうです。先に読んだ脚本がとてもわかりやすく書かれていたので、それを読んでから細かい部分を照らし合わせて読みました。原作の方がミステリー色の濃い感じがしましたね。

Q:小説ならではのトリックが、見事に映像化されていて驚きました。

松田:あの原作を映像化してくださった堤さんに感謝しています。ただ、撮影中はトリックがあるということを意識しないで演じていたんです。後で完成した映画を観て、「なるほど!」と思いました。

前田:映画のほうがもっとポップでわかりやすくなっていると思いました。内容は原作のままだし、すごくシンプルな方法で映像化しているのに、ちゃんと驚きのあるトリック物になっていましたね。堤監督は本当にすごいです!

Q:堤監督との撮影現場はいかがでしたか?

松田:堤さんは、とても気持ちのいい現場を作ってくださるんです。本当に信頼できる方なので、自分も楽しんで演じることができました。こういった(トリックのある)作品でも、無駄のない撮影ができたと思います。

前田:そうなんですよね。監督の中で撮るものが出来上がっていらっしゃるので、みんなが安心してついていけるんです。演出もすごく明確なんですよ。迷いがないというか、「これを下さい、はいオーケー!」みたいな感じで、とてもスムーズでした。

Q:カメラアングルや色味、小物など演出面でも監督のこだわりをすごく感じました。

松田:堤さんのすてきなところは、そういったことを現場の僕らに押し付けてこないところなんです。撮影中は演じる側の立場になって、ストーリーに沿った演出を明確にしてくださる。何度も繰り返してカットを撮ることはありましたけど、それも堤さんの頭の中ではつながっているのだろうなと思えたので、僕は素直に従っていく感じでした。

■松田主催の食事会で培ったチームワーク

Q:前田さんの演じたマユが、ビックリするほどキュートでしたね。

前田:今回は女子度全開のキャラクターを、濃い目につくり上げていただきました(笑)。監督やスタッフの皆さんが、現場で「マユ、かわいい」って持ち上げてくださるんですよ。本当に皆さんには感謝です。やっぱり、褒めていただくのはうれしいですし、マユを演じるにはそういった環境が必要だったと感じています。

松田:周りからアゲてもらってね(笑)。でも、前田さんはナチュラルにすてきだと思いますよ。

前田:ありがとうございます!

Q:お二人の息もピッタリでしたが、初共演の感想を教えてください。

松田:前田さんは、本当に周囲を明るくしてくれるんです。そんな前田さんを中心に撮影を進めていくことが、この作品の世界観を作り上げていくポイントだったような気がします。

前田:松田さんとご一緒するシーンって、すごく現場が締まるんです。わたしは、どうしたらいいのかわからないところもあったので、松田さんに助けていただいた部分がたくさんあります。演技について具体的に話し合うのではなく、現場やシーンの中でのコミュニケーションで助けてくださって、本当にありがたかったです。

Q:松田さんが中心となって、食事会などもされたそうですね?

前田:そうなんです。松田さんが先頭をきってくださって、撮影以外でも皆さんとよくご一緒させてもらいました。

松田:そうですね。監督やプロデューサーも交えて、撮休の前日に、皆で食事に行かせてもらったりしました。

前田:みんなが本当に仲良くなったんです。その雰囲気が、撮影に生かされていたような気がします。

松田:現場の空気感って、本当に大事だと思うんですよ。その作品への愛情や撮影に対する真摯(しんし)な気持ちを持っていると、自然とそれがどんどん周りに感染していって、すごくいい空気になる。今回は、いいものを作りたいというスタッフやキャストの意識の高さが一緒だったんです。

■遠距離恋愛の難しさを実感

Q:静岡のマユと、東京で知り合った美弥子(木村文乃)との間で揺れる鈴木。お二人は、鈴木の気持ちが理解できますか?

松田:このシチュエーションだったら、あるのかもしれませんよね。「遠くで待っている人」と「近くにいる人」との差もあるだろうし、「慣れてしまったこと」と「新しいこと」とでは魅力が違いますから。やっぱり、遠距離恋愛は難しいと思ってしまいます。

前田:結婚しているなら別でしょうけどね。仕事で離れてしまったりすることもあるでしょうから、それは仕方がないこと。でも、恋人同士が遠距離の関係でいることを、そこまで我慢できるものなのかな? とは思ってしまいます。わたしの年齢では、まだわからないというのが正直なところですけど(笑)。

Q:おっとりしていて男性に尽くすマユ、しっかり者で都会的な美弥子。松田さんならどちらのタイプの女性に惹(ひ)かれそうですか?

松田:正直なところ、僕は自分が東京生まれだから、女性に対して都会的だと思ったことがないんですよね。まあ、都会的というのをファッショナブルという風に解釈するのなら、そんな女性に憧れることはありますけど……。でも、生活感のある女性の方が魅力を感じますし、一緒にいて落ち着く方がいいと思ってしまうので、おっとりしている人がいいかな(笑)。

■80年代の魅力がギッシリ

Q:ファッション、音楽、流行アイテムなど、80年代カルチャーがたくさん登場しますが、印象に残ったものはありますか?

前田:懐かしいなと感じるものがたくさんあったんですけど、80年代にはやったもの、例えば歌謡曲などは知っていますし、今でも色あせない魅力があるなと思いました。ちょうど今はファッションもひと回りしている時期でもあるし、そこまでの古さは感じませんでした。

松田:やっぱり、当時のものが登場すると懐かしい気持ちになるし、80年代に青春を過ごした登場人物たちを想像するのに、手助けしてくれるアイテムはたくさんありましたよね。例えば、肩パッド入りのジャケットとか。

前田:わたしは「輪ゴムすだれ」といって、輪ゴムで編んだすだれを劇中で作ったんですけど、あれは監督が80年代にハマったものらしいです。どんどん作れてしまうので、やっていて楽しいんですよ。わたしもハマってしまいました(笑)。

Q:最後にこの映画をより楽しく観るためのアドバイスをお願いします。

前田:初めての方には、何も考えずにフラットに観ていただきたいです。観るたびにいろんな発見がある作品なので、リピートしていただくのもいいかもしれません。わたしはもう4回も観てしまいました(笑)。

松田:本当に面白い作品になったと思うので、ぜひ観ていただきたいですね。

作品の質はもちろん、現場の空気感も大切にするリーダータイプの松田と、周囲に気を配りながら、朗らかな笑顔で場を和ませてくれる前田。二人の役者としての相性の良さや、心から楽しんで撮影に臨んでいたことが、インタビューで伝わってきた。堤監督のアイデアがふんだんに詰まった本作は、純粋なラブストーリーとしても、トリッキーなミステリーとしても楽しめる実にぜいたくな一本だ。

(C) 2015 乾くるみ/「イニシエーション・ラブ」製作委員会

映画『イニシエーション・ラブ』は5月23日より全国公開

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