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第4回:監督&プロデューサーにインタビュー!彼らの頭の中は?

『インサイド・ヘッド』特集:ピクサーの頭の中

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『インサイド・ヘッド』特集 ピクサーの頭の中

 ディズニー/ピクサーの最新作『インサイド・ヘッド』を約5年かけて作り上げたピート・ドクター監督。その期間、監督と共に走り抜けたプロデューサーのジョナス・リヴェラ。その二人が本作について語り合いました。

■ジョン・ラセターへのプレゼンはナーバス!?

『インサイド・ヘッド』

Q:ジョン・ラセターに新作のゴーサインをもらうため、アイデアを持ち掛けるときはどういう気持ちでしたか?

ピート・ドクター(以下、ドクター):フーム。

ジョナス・リヴェラ(以下、リヴェラ):ナーバスだね。

ドクター:少しナーバスだけど、この映画はまだそんなに企画開発を進めていなかったときにジョンに話したんだ。だからジョナスと僕は、「コンセプトだけで、ジョンをその気にさせよう」って話していたんだ。

リヴェラ:そうだね。

ドクター:つまり、時間を費やしていればいるほど、感情的に入れ込んでいればいるほど、(企画を売り込むときに)ナーバスになるということだね。今作の最初は、「ヘイ、これはいいアイデアだぞ。ジョンに話しに行こうよ!」っていう感じだったね。

リヴェラ: ジョンは、感情を主人公にするというアイデアにとても興奮していたよ。ピートがジョンにプレゼンしているとき、ジョンは身を乗り出していたよ。その姿を見て「これはいいぞ」って思ったね。

■映画作りのきっかけになった娘さんの反応は……

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『インサイド・ヘッド』
ピート・ドクター監督

Q:お嬢さんの成長がきっかけだったそうですが、どういうところに着想を得たのか具体的に教えていただけますか?

ドクター:子供はハッピーなとき、ものすごくハッピーだ。悲しいとき、床に崩れて泣くんだよ。立ち上がることさえできない。大人になったら、そういうことはなくなっていく。僕の娘が11歳になったとき、彼女は無口になり始めた。彼女は走り回ったりしなくなった。それは、僕自身の子供時代のことを思い出させた。僕も中学生のときはとても混乱していて、難しい時代だったからだよ。それで、「娘は僕と同じことを経験しているんだ」と思ったんだ。みんな、明白な変化を経験するものだ。悲しみについてもリサーチした。もし、カナシミにとってテーマがあるとすれば、それは喪失だ。それは、人生で何かが失われるという事実と向き合う手助けをしてくれる。僕は、人が成長するとき、いつも大きな喪失があると感じている。それを避けることはできない。悲しく、悲劇的だ。子供時代にあった無邪気さは、一度失うと絶対に再び手に入れることはできないからね。

『インサイド・ヘッド』

Q:お嬢さんはこの映画をご覧になりましたか?

ドクター:うん、娘は観たよ。彼女は今16歳なんだ。彼女は、とってもティーンエイジャーらしい。彼女はただ、「フム。いい映画ね、お父さん」とだけ言ったよ。

Q:それだけですか?(笑)

ドクター:そうだよ。彼女からもう少し情報を引き出そうとしたけどね。

リヴェラ:彼女は「フフン」ってね。

ドクター:(笑)

■ボツになったエピソード

『インサイド・ヘッド』

Q:この作品の核になるアイデアとはなんだったのでしょう?

ドクター:僕の頭に浮かんだアイデアというのは、基本的に感情たちをキャラクターとして使う、ということだけだった。それ以上のことについては、ほとんど何もなかったんだ。僕の娘を観察すること以外はね。

リヴェラ:プロダクションの見地からいうと、二つのことがあった。一つは、感情をキャラクターにするということだ。イカリ、ヨロコビというのは、誰もが楽しく、おかしいと思うだろうと考えた。それは、「白雪姫」の7人の小人をほうふつさせた。怒りんぼうとかおとぼけのようにね。とても明確だ。

ドクター:僕もそのことに惹(ひ)かれたんだ。アニメーションというのは、こういった素晴らしく誇張された、より個性があるキャラクターを作ることができる。まるで人間みたいだけど、(人間よりも)もっと人間らしい。

『インサイド・ヘッド』
(C)2015 by Disney Enterprises, Inc./Pixar

Q:本作でボツになったもったいなかったというエピソードや設定はありますか?

リヴェラ:たくさんあるよ。(笑)

ドクター:そうだね、たくさんあるよ。多分、8本か9本の長編映画ができるくらいのものの脚本を作って、捨てたんだ。例えば……、たくさんのイマジナリーフレンド(空想上の友達)がいたんだ。それはとても楽しかったよ。

リヴェラ:音楽のシーンもあったね?

ドクター:そうだね。(音楽を使った)シーン全体があった。あまりに別のシーンに似ていたから、削除することにしたけど。僕らは音楽を聞くとき、何らかを受け取っている。気味悪い音楽を聞くと怖くなるし、ハッピーな音楽を聞くとハッピーになる。(そういうことを感じるのは)たぶん、心の中の一部なんだと考えた。それは初期の頃から区別していた。それは心であって、脳ではないとね。僕らは、心の一部が音楽を理解するんだと考えていた。それでヨロコビが声で話すのをやめて(話すと)バイオリンのノイズのような、音楽として聞こえるようになるシーンを作ったんだ。とても楽しかったけど、カットしないといけなかった。

■子供にもわかりやすい映画を作るために

『インサイド・ヘッド』

Q:長期記憶など小さい子供にはわかりづらい単語も出てきますが、わかりやすくするために行ったことを教えてください。

リヴェラ:記憶とか長期記憶とかに関して、僕らは明るさや色を使ってビジュアル的に表現してみた。例えば赤色はイカリの記憶だ。そして、もしそれが明るければ、薄暗いものよりもっと重要だと思う。だから子供たちや観客が、それをビジュアル的にたどることができることを願っているよ。言葉とか説明以上にね。僕らは、自分の子供たちを全員連れてきて、彼らに映画を観せたんだ。そして映画を観る彼らのことを観察した。子供たちに理解できたか質問したんだ。そしたら不思議なことに、彼らはある意味、両親たちよりももっとよく理解していたんだ。そういうふうにテストしていたよ。

『インサイド・ヘッド』

ドクター:子供たちは言語を会得する前に、感情を表すことができる。僕の息子が1歳のとき、僕と妻は議論していた。息子はまだ話せなくて、僕らがお金のことについて心配していることを知らなかった。でも僕らが心配しているということはわかったんだ。同じようにヨロコビがコア記憶を失うとき、コア記憶とは一体何なのか、彼らは理解したかもしれないし、理解しなかったかもしれない。でも、彼らは、それらが重要だとわかっている。なぜなら、ヨロコビにとってそれが重要だと知っているからだよ。だから、子供たちは、映画の主要な本線を間違いなく追い掛けているようなんだ。脚本を書いているとき僕らは、間違いなく自分たちのために書いている。でも、僕らみんなに子供がいる。だから僕は書きながら、ジョナスの子供たちのことを考えたんだ。彼らにとって、あまりに難しくならないようにしたかったんだ。

リヴェラ:そうだね。それとこの映画だけじゃなくて僕らは、アニメーションは子供たちだけのものじゃないとも思っている。アニメーションは全ての人のためのものだ。人々が共感できるようなストーリーになるよう、みんなのためのアニメーションを作れるように一生懸命努力したね。

■「理想の映画作り」とは

『インサイド・ヘッド』
ジョナス・リヴェラ

Q:5年以上かけて本作を作っていますが、あなた方が思う理想の制作期間はどれくらいですか?

ドクター:制作期間?

リヴェラ:5年間(笑)。

ドクター:(笑)。それについては話したことがあるよ。(制作期間の)ほとんどは、ストーリー(にかかる時間)なんだ。もしストーリーが空から降ってきて、完璧であれば、どれくらいかかるかな。

リヴェラ:多分、1年半から2年っていうところかな。アニメーション化するのに約1年だね。だから、もし完璧な脚本があれば……。

ドクター:そういうことは決してないけどね。

リヴェラ:そうだね。映画を作るのに、5年もかからなければナイスかな。3年でできればいいね。でも、ピクサーにおいてこれらの映画を作るプロセスのある部分は、何度も繰り返してやり直し、そうすることを自分に強制することで、すごく学べることだと思うんだ。試してみては失敗して、またやり直すという時間が1年分くらいあるけど、それは最終的にとても重要になる。それをやめるのはこわい。なぜなら、どういったことを見逃しているか、そのときには決してわからないからね。僕らは今『インサイド・ヘッド』を上映するとき、できることは全てやったことがわかっている。こういうことをやりたいと思うところへ行くための全ての道を試してみた。だから、正直に、これは僕らのベストのものだと言えるんだよ。

『インサイド・ヘッド』

ドクター:僕らはいつも映画を作ることについて話している。でも、僕らにとって映画を作ることは、「映画を発見する」ということなんだ。

リヴェラ:その通り。

ドクター:それが適切な言葉だよね。

リヴェラ:君は「それを見つけよう」って言うよね。

ドクター:そう、映画を見つけること。それは、天国から降りてくるわけじゃないし、突然、頭の中に現れるわけでもない。小さな断片みたいにね。あるものをたどっていっても、時々、うまくいかなくて、また戻ってやり直さないといけなかったりする。だから、まさにそれは「発見」ということだね。

『インサイド・ヘッド』

写真撮影中にはキャラクターたちの縫いぐるみを抱き締めたり、キスしてみたりと大はしゃぎしていたドクター監督とリヴェラ。彼らが生み出し、そして愛情を注いできたキャラクターたちによる物語は、国や世代を超えて映画を観た観客たちに届くことでしょう。

インサイド・ヘッド

映画『インサイド・ヘッド』は全国公開中

(C) 2015 Disney / Pixar. All Rights Reserved.

構成:編集部・井本早紀

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