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ヒュー・ジャックマン
『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』
養子を迎えた親として心にしみる
『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』ヒュー・ジャックマン 単独インタビュー

文・構成:編集部・市川遥 写真:(c) Armando Gallo/amanaimages

『つぐない』『プライドと偏見』のジョー・ライト監督が「ピーターパン」を新たな視点で実写化し、ピーターパンらおなじみのキャラクターの誕生の物語を生み出した。色鮮やかなネバーランドを牛耳る悪役の海賊黒ひげにふんしたのは、素顔は“いい人”として知られるヒュー・ジャックマン。2人の養子を育てる父親でもあるヒューが、孤児の物語である本作への思い、愛する子供たちとのエピソード、ピーター役の新星リーヴァイ・ミラーについて語った。

■子供たちと話をするいい機会になった

Q:本作は「ピーターパン」の前章というべき物語ですね。

こんな美しい物語は、養子を迎えた親としてとても心にしみるよ。子供の想像力を祝う物語だと思う。人生がより想像豊かになれば、僕たちはより幸せになれるということを示唆している。もちろん、僕たちは成長しなければならないし、家賃を払ったり、すべきことをしなければならない。でも、子供が持つ不思議な感覚とともに楽天的な人生を望めば、さらに幸せになれるんだ。

Q:お子さんたちとも本作について話をしたと聞きました。

「ピーターパン」のオリジナルの物語には、かなり残酷な内容がある。本作でも、孤児院を運営する邪悪な修道女は孤児たちにかなりひどいことを言うから、デボラ(妻のデボラ=リー・ファーネス)に台本を一緒に読んでもらい、子供たちが映画を観た時に不愉快に感じないようにしておく必要があったよ。でも映画はとても心温まるものになっていて、子供たちとしっかり話をするいい機会になった。僕たちは、いつも子供たちと養子として迎えたことの話をしている。それは彼らの人生全般に関わることだからね。

Q:彼らを撮影中にセットに呼びましたか?

もちろん! 僕の子供たちはセットでよく退屈しているよ。甘やかしているように聞こえるよね、「何を言っているんだ」って。『ウルヴァリン』のセットに来る機会もあったんだけど、たいてい静かにしていないといけないし、何でもしていい場所でもない。彼らは何か行動を起こすことが好きなんだけど、セットは彼らにとってセットにすぎないから……。本作のセットは巨大な倉庫の中に作られた。ジョー(・ライト監督)は人形劇の演出の経験もあるからグリーンバックではなく本物のセットでやりたがった。だから、ネバーランドでは気を付けないと本当に迷ってしまう。本当に迷うんだよ。

■ヒーローの暗闇の部分を演じる面白さ

Q:『チャッピー』のヴィンセント役に続く悪役ですね。

僕は演技が大好きなんだ。いいやつ、悪いやつ、いずれにしてもヒーローの暗闇の部分により面白さを感じる。悪役を演じる時は、どのように彼が自分自身を正当化するかを理解することに、より興味を感じているよ。今回はトップに君臨して手持ち無沙汰の役。彼にとってはトップにのし上がることが重要で、何とかそれを成し遂げた。そうすると退屈すら感じはじめたんだ。そこに小さな小さなピーターと呼ばれる子供、おそらく彼の人生の中で最大であろう敵に出会う。この映画に関われることは本望だったよ。

Q:ピーター役のリーヴァイ・ミラーとの共演はいかがでしたか?

彼は並外れた俳優だよ。彼自身はどれだけすごいかに気が付いていなくて、単に学校に行かなくて済むってことに興奮していたみたいだけど。突然現れた天性の俳優だ。何でもやってのける。演技をするということではなく、そこに彼自身が存在するんだ。俳優として大いに尊敬するよ。

リーヴァイは当時11歳だったかな。撮影中に12歳になった。僕には15歳と9歳の子供が居るからその年頃がわかるのだが、彼は素晴らしく礼儀正しく、思いやりがある。自信と落ち着きを持って行動するところは、本当にあの年齢にしてはしっかりしているよ。彼の両親はよく彼を育てたと感心するね。

■息子からの胸にグサリと刺さる一言

Q:黒ひげ役のために実際に髪をそったそうですね。

役のためにこれまで3回そったことがあるけど最高だ。気に入っていたよ。僕は水泳が好きで、そった頭で泳げばそれ以上のことはないからね。シャワーに関していえば、最高の気分だ。起きてすぐ準備オーケー。簡単! しかも、どこに行っても僕だと気付かれないんだよ。ドラッグディーラーに見えたみたいで、僕に近づいてきてドラッグをせがむ人たちも居そうだった。

オーランドのディズニー・ワールドに3、4日滞在していた時、何千人、何万人という人たちが居るわけだから「これは悪夢になる」と思って、ひげをつけていたんだ。ホテルのプールに滑り台があって、そこにマリファナ常習者のようにも見える女性が1日中居た。彼女は僕を見つめていたから、僕が誰なのか見通しているんだと思ったね。

2日目の終わり、僕はまたプールで滑り台を楽しんでいた。子供たちと600回くらい滑っていたんだ。そこに例の女性が来て、僕を見つめて「あなた誰かに似ている」と言うんだ。「まずい」と感じたが、彼女は「あなた、海賊みたい」だって。おかしかったね。なにせ僕は海賊なんだから! それから毎回滑り台のトンネルを抜け出るたびに「ゴー! パイレーツ!」という声を掛けられて、僕もそれに叫んで応えていたよ。

Q:外出するたびに気付かれるのは嫌ですか?

子供と居る時は特にまいるね。ウルヴァリンである僕に子供たちが近づいてくる時、僕が10歳か12歳の時インディ・ジョーンズに感じていたように、彼らの目にはワクワクした感情が見て取れるんだ。でも自分の子供たちを守ることが大事だから、彼らには「もし外で僕が呼び止められても、立ち止まってほしくなかったらそう言ってほしい」「二人と一緒の時間こそ、僕にとって最も優先すべきものだから」と言っている。子供たちも年頃になったから、1年半くらい、呼び止められるたびに「お会いできてうれしいが、家族と一緒に居るのでまた次回にしてほしい」と言っていた。でも1年半たって息子が「お父さん。どうして優しくしてあげないの? あの人と写真を撮ってあげなよ。たいしたことないじゃん」と言ってきたよ。おまえのためにやっていたんだけどね。確かにたいしたことなかったみたいだ(笑)。

■“いい人”の理由を自ら分析!

Q:タイガー・リリー役のルーニー・マーラがあなたのことを「今まで会った中で最もいい人の一人」だと言っていました。

何だって!?

Q:あなたと共演した人、会った人、みんながそう言っているように思います。それはどうしてなのでしょうか?

僕は大家族の中で育ったから、人と一緒になれる映画のセットが大好きなんだ。互いによりよく知り合い、よりリラックスして仕事をすることが僕のやり方で、「映画スターに話し掛けるな」という雰囲気や「無視されている」という気分が好きじゃない。とても居心地悪く感じるんだ。みんながリラックスして自分らしく居る状況では、僕もよりリラックスできる。おそらくそうだからじゃないかな?

Q:お手本にしている人などいますか?

父がそうだ。父はとても働き者で、自分の仕事を愛していた。とても道徳的で、他人のことを悪く言っているのを聞いたことがない。それから僕の兄弟。そうだな、人生のお手本がたくさん居て僕は本当に幸運だ。多くのよき相談相手にも恵まれているよ。

思ったままを口にするタイプというティーンの息子からも「お父さんの映画がいつも好きというわけではないけど、これはとってもいいよ」と本作に太鼓判をもらったと誇らしげに明かすヒュー。家族思いで周囲への気配りを忘れないヒューが、実際に髪の毛をそってスキンヘッドにし、本物のひげをたくわえるなど徹底的な役づくりでピーターの前に立ちはだかる冷酷な黒ひげを体現しているさまは、本作の見どころの一つとなっている。

(C) 2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

映画『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』は10月31日より全国公開

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