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松坂桃李
『パディントン』
クマ役にストレスどころか癒やされた
『パディントン』松坂桃李 単独インタビュー

取材・文:前田かおり 写真:尾鷲陽介

40か国語以上に翻訳され、全世界で3,500万部超というロングセラー児童小説を実写映画化した『パディントン』。ペルーのジャングルの奥地で英国大好きなおじさん夫婦に育てられたクマのパディントンが、ロンドンに素敵な家と新しい人生を求めてやって来る。そんな冒険を描いた本作で、英国紳士のスピリッツを持つパディントンの日本語吹き替えを担当した松坂桃李。洋画吹き替え初挑戦にして、“クマ”という役に戸惑いながらもこなした、声優の難しさや作品への思いを語った。

■クマのぬいぐるみじゃなく、生きてるクマ!

Q:パディントンの声をなさるとは驚きました。

僕も思っていませんでした(笑)。そもそもパディントンと聞いても、絵の印象ぐらいしかなくて。これまでアフレコの経験はありましたが、どれも一応、人間(笑)。だから、「今度はクマ」と聞いて、正直「無理じゃないか」って。とにかく、想像がつかなかったんです。

Q:どうやってイメージを膨らませていったんですか?

まず脚本とオリジナル版を観ました。それで、なるほど、こういう世界観とテンションで、こういうキャラクターなんだと認識しました。

Q:スクリーンで動くパディントンはどうでしたか?

びっくりしましたね。クマが……いや、パディントンが本当にかわいかった。高校を卒業したばかりの男の子が田舎から上京してきたみたいな感じで、そんな彼を見守ってあげたい。何かしてあげたいなと思わせるぐらいの愛しさというか、愛嬌があるんですよ。

Q:クマのキャラクターといえば、『テッド』(命を宿したテディベアが主人公のコメディー)がありますよね。

最初、お話をいたただいたときに、「有吉(弘行)さんじゃないか」と思いました(笑)。だけど、作品の中身は全然違うし、『パディントン』は願い事をして命が宿ったクマのぬいぐるみじゃない。生きてるクマなんです!(キッパリ)

■アフレコの難しさより、映像を見て癒やされた

Q:そのクマの声を務めるに当たり、どんな演出がされたのですか。

僕はもともとの声が低いので、それよりもう少し高めでやってほしいと言われました。バディントンの年齢は明確には出てないんですが、さっきも言ったように、高校卒業したぐらいというか、20代前半ぐらいのイメージでやってほしいと言われて。

Q:アフレコをするにあたって、何か参考にされたものはあったのでしょうか?

いや、ないです。それよりはパディントンの気持ちになろうとしました。何も頼るものもなく、ペルーの奥地から見知らぬ大都会のロンドンに行く。不安もあれば、見るものすべてが新鮮で若干の期待もある。そんな気持ちでやるのがベストだなと思いました。だから、パディントンを本当に存在している生き物、キャラクターとしてしっかりととらえて、真摯(しんし)に向き合っていかないといけないなと考えました。

Q:アフレコにはどれぐらいの時間がかかったのでしょうか?

5日間。でも、1回4時間が限界。常に自分の声より1トーンか2トーンぐらい上げてしゃべっているんで、長時間はできなくて。ただ、頭から順取りだったので、パディントンの気持ちに寄り添いやすかったです。

Q:オリジナル版でパディントンの声を担当しているベン・ウィショー(映画『007』シリーズのQ役でも人気の英国俳優)の声は意識されたんですか?

(パディントンの)見た目と違って、声はかなり渋めな感じについていました。でも、それは意識しませんでしたね。日本語で同じことをやってしまうとたぶん違和感が生まれるし。それよりも、ベン・ウィショーの口の動きに合わせて、パディントンの口も動かしているので、それに合わせるのが難しかった。今までやったアフレコの中で一番、難しかったですね。しかも、映画をよーく観ていると、パディントンが引きのところでモゴモゴと言っていたりするので、そこにアドリブを入れてみたり。

Q:そう考えると、ますます難しいですね。

でも、映像を観ながらやっていると、アフレコの難しさでストレスを感じるよりも、彼のかわいさにすごく癒やされる。それに、彼の行動は先が読めるんですよ。たとえば、ロンドンに着いてブラウン家のお風呂を初めて使うシーンで、絶対に何かやらかすぞと思って観ていると、やっぱりやらかす。予想できるんですけど、パディントンがそうなるというのがものすごく新鮮でかわいらしい(笑)。

■ほっこり系だと思いきや、びっくり!

Q:パディントンがとってもお気に入りのようですが、ご自分と似ていると感じるところはありますか?

何だろう。人を怒らせないようにする感じがちょっと似ているかな。そのお風呂のシーンで大変なことになってしまい、気配を察したブラウンさんがやって来て、ドアの向こうで「どうしたパディントン?」って言っているのに、怒らせないように「あー、大丈夫です、何でもないですぅー」と返事して、自分で何とかしちゃおうとする。あれはちょっと自分に通じるところがあるかもしれませんね。焦る感じも似ているなって思います(笑)。

Q:コミカルなシーンが本当に楽しいですね。

そうなんです。パディントンが家の階段の手すりをまたいで上からスーッとすべり降りてきたり。男の子だったら、みんなやりたいと思うようなことや、あー、わかるわかるというものがいっぱい詰まっているから、子供が観たら共感できるのはもちろんだけど、大人が観るとどこか懐かしい。いろんな思いをパディントンが代弁してくれている感じがするんですよね。

Q:この映画の面白さはずばり何でしょう。

ものすごく幸せな気持ちになれる作品なんです。冒頭のシーンは大切な家やおじさんを亡くすという出来事がありますが、ロンドンを訪ねて、さまざまな出会いの中で新しい人生を探していく。大人が観ると、その出会いや会話が心にぐっとくると思うし、子供は子供でパディントンの動きとか好奇心とか紳士的な部分とか、コミカルな部分が本当に笑える。敵もわかりやすい(笑)。本当に『101匹わんちゃん』の悪女クルエラみたいなのが、パディントンを追っかける。そこがまた面白くて。

Q:ただかわいいだけの映画だと思うと、全く違いますよね。

そうなんです。絶対、みんな油断していますよ、この映画に関しては。ポスターを見ると、まあほっこり系なのかなと感じますから。僕だってそう思った。だけど、それだけじゃない魅力が観終わると絶対にわかるし、観たら、ダッフルコートを着たくなる。パディントンがマーマレードを美味しそうに食べるのを見ると、そんなに美味しいのかなって食べたくなるし(笑)。ロンドンの街並みもすごく素敵です。とにかく騙されたと思って観てほしい。

取材当日、「パディントンをちょっと意識してみました」とパディントンのトレードマークの帽子の赤色に合わせたセーターと、ダッフルコートと同じ紺色のスーツで登場した松坂。「人じゃないものに声をあてるのは初めてで苦労した」と言いながらもその優しい声で、世界中で愛される紳士的なクマ、パディントンに命を吹き込んだ。本国・英国では驚異的なヒットを記録して、すでに続編も決定。日本でも松坂版パディントンに大人も子供もきっと癒やされるに違いない。

タイリスト:伊藤省吾 ヘアメイク:Emiy

映画『パディントン』は2016年1月15日より全国公開

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