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笑福亭鶴瓶&木村文乃
『シーズンズ 2万年の地球旅行』
関西弁につられないようにするのは大変
『シーズンズ 2万年の地球旅行』笑福亭鶴瓶&木村文乃 単独インタビュー

取材・文:須永貴子 写真:尾鷲陽介

『WATARIDORI』で大空に、『オーシャンズ』で大海に迫ったジャック・ペランとジャック・クルーゾが監督を務めた『シーズンズ 2万年の地球旅行』は、2万年前からの地球の変遷を捉えたネイチャードキュメンタリー。学者らスペシャリストの意見を仰ぎ、最新の撮影技術を用いてドラマチックな物語が紡ぎ出される。日本語版ナレーションを務めた笑福亭鶴瓶と木村文乃が、アフレコでの苦労や、ネイチャードキュメンタリーの魅力について、和やかに語り合った。

■大ベテランが苦戦した学術用語のイントネーション

笑福亭鶴瓶(以下、鶴瓶):良かったよ、ナレーション。

木村文乃(以下、木村):本当ですか? 嬉しいです!

鶴瓶:好きでやってるんやな~いうことが伝わってきたよ。張り切りすぎず、自然に喋ってるのがすごいよかったね。今回が初めてとは思えへんよ。ほんまに初めて?

木村:映画のナレーションは初めてです。

鶴瓶:自分のナレーションは、「クマ」のイントネーションが気になって気になって。基本関西弁やねんけど、学術用語だけは関西弁じゃあかん言われて、それがほんまに難しかった。標準語の「クマ」に引きずられて、他の自由に喋っていい部分もなんかビビってしまって。

木村:難しいですよね。関西弁でずーっと喋っているのに、動物の名前だけ標準語にするのって。私は逆に、鶴瓶さんが先に入れたナレーションを聞きながらのアフレコだったので、鶴瓶さんの関西弁につられないようにするのが大変でした(笑)。

鶴瓶:俺の関西弁には、みんなつられるらしいねん(笑)。

木村:おかげでとても楽しくできました。鶴瓶さんのナレーションって、すごく柔らかくて、動物に寄り添っている。動物を応援したり励ましたり、そのナチュラルな気持ちに引っ張られて、私も「頑張れ」という思いが必要以上に強くなった気がします(笑)。

■小さな虫にフォーカスする作り手の姿勢

Q:木村さんはネイチャードキュメンタリーがお好きだそうですね。

木村:はい。子供の頃からマンガや絵本よりも動物図鑑が好きで、ボロボロになるまで眺めていました。明確なきっかけがあるわけではなく、親の刷り込みです。

鶴瓶:まさに刷り込みやなー(笑)。

Q:このドキュメンタリーでも「刷り込み」(生まれて初めて見た生き物を親と認識するなどの現象)は大きな役割を果たしていますね。

鶴瓶:そうやねん。監督はそもそも、刷り込みをすれば野生の動物を撮れることがようわかったよなあ。

木村:本当にそうですね!

Q:印象的な動物やシーンを教えてください。

木村:麦の穂に一匹の虫が飛んできて、パーンっと弾かれるシーンがすごく好きです。虫って嫌いな方が多いですよね。でも、その映像は観たら虫をかわいいと思わずにはいられないし、それを敢えてネイチャードキュメンタリーという大きな作品に入れたところがステキだなって思います。

鶴瓶:大きな動物ばかりにせず、虫も入れるところから作り手の姿勢が伝わると思いますね。鳥の巣立ちのシーンもそう。一番小さい一羽だけがよう巣立ちできないのも、スタッフは辛抱強く待ってんねん。手を貸したり、無理やりやらせず、ひたすら待つ。あれもすごいと思うわ。ジャコウウシもあんな寒いなかよう生きとんなあ。体に貼り付いた氷をぶるぶる振り落とそうとしても取れてへん。

木村:完全に凍ってましたよね。

鶴瓶:寒いであれ! そんなジャコウウシを人間が見つけて、撮影してんのやで? 動物もすごいけど、監督たちもほんますごいわ。

■人間として進化できるならどうなりたい?

Q:氷河期から現在に至る時間の中で、動物が環境に適応して進化する過程が描かれています。お二人はできるならばどんな進化を遂げたいですか?

木村:私は、縁側でお茶を飲みながら「おいしい~」と思うようなおばあちゃんに進化したいです。いろいろな環境が整って、心と身体に余裕があるから「おいしい」と思えるような、健康なおばあちゃんに進化したいです。

鶴瓶:そうやなあ。68歳にもなって詐欺で捕まっとるおばはんもおるもんなあ。そう考えると、人間は今のままでいいと思うわ。もしもモモンガみたいに木から木へと跳び移れるようになったら、それこそ捕まるわ(笑)。

木村:たしかに(笑)!

鶴瓶:ヤラしいことに利用しそうで、7階で着替えてる人をのぞきに行ったりして(笑)。だから人間はこのままでええねん。

Q:身近な人で、この作品を観てほしい人と聞かれたらどなたの顔が浮かびますか?

鶴瓶:娘孫ですね。娘が子供を連れて観に行ってくれたらなと思います。

木村:私は特定の誰ということではないんですけど、動物園やペット、図鑑でしか動物を見たことがない人に観てほしいです。自分たちよりずっと長い時間を生きている動物たちをそのままの姿で見られる作品ですし、観た人はみなさん、その可愛らしさに驚かれるんじゃないかなと思います。

Q:作品が観客に投げかける、人間と自然はどうやったら共生できるのか? という問いかけに対し、お二人はどんな考えをお持ちですか?

鶴瓶:人間はよう生き延びたなと思います。あんな食料もない時代から、狩りをして。だけど、自然を伐採して人間がその領域を侵してきた分、ちょっとでも植林したりしていかないとと思いますね。中国の大気汚染とか、本当になんとかしないとダメですよね。人間は愚かやなと。時間はかかりますけど、意識し続けなあかんと思います。

木村:かたや、それに気づいて動いている方たちもいるわけですよね。絶滅危惧種を保護したり、植林したり。それがちょっとずつ実ってきている今、悪い方向へ行きすぎず、ちょっとずつ希望が見えてきていることが、作品からわかりますよね。

鶴瓶:そうやね。こういう作品に仕事で携われることがいいよね。

■笑福亭鶴瓶が語る木村文乃という女優

Q:木村さんは今年、とてもお忙しかったと思います。鶴瓶さんはそんな木村さんをどう見ていらっしゃいますか?

鶴瓶:着実に丁寧に仕事に向き合って、荒くこなさないのがいいですよね。わけわからんまま「はい次」という仕事のやらされ方になってしまう子っておるでしょう。今、自分が取り組んでいることの大切さをわからんまま通りすぎてしまう子。こうして名前がポーンと出てしまってから、いかに丁寧に生きるかが大事。たまたま「A-Studio」(TBS系トーク番組)で取材したこともあるからわかるんやけど、木村は焦らんとやっているし、いい環境で仕事しているなと思います。事務所がいいですよね。みんなが切磋琢磨して成長していっている。社長はアホやけど(笑)。

木村:(笑)。今回、自分が物心ついた頃からテレビで見てきた鶴瓶さんとご一緒できるのは、不思議ですし恐れ多かったです。でも、鶴瓶さんの隣に並べるのなら、自分に引け目を感じずにきちんと立ちたいと思いました。しかもずっと憧れていたナレーションというお仕事なので、できる準備はしてから行きたかった。かといって肩肘を張ったらいいものにならないので、そこの塩梅が難しいなと思っていました。でも、「A-Studio」のときも今も変わらず、大きな器で受け止めてくださるから、自然体でいさせてもらえました。感謝感謝です。

鶴瓶:いやいや。次に共演するなら年の離れた恋人役やろうね。俺はそうなったらあかんと思ってるんやけど、本人(木村)が俺のことを好きで好きでたまらない。今、そういう「刷り込み」を地道にしてるところです。

木村:ぜひぜひ(笑)!

示し合わせたかのように二人とも赤を基調としたコーディネートで登場するなど、相性バッチリ。「交際してんねん」「(木村の家から)一緒に来たからお揃いやねん」と茶目っ気たっぷりの鶴瓶に、木村の表情はゆるみっぱなし。ドキュメンタリー作品はややもすればかしこまってしまうが、二人の人柄がにじみ出る優しい語り口が、老若男女を悠久の地球旅行にナビゲートしてくれる。

映画『シーズンズ 2万年の地球旅行』は全国公開中

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