シネマトゥデイ

シネマトゥデイ
提供:ビターズ・エンド

魔法少女から始まる転落劇 愛の方向ズレてませんか?

 きっかけは、白血病で余命わずかな12歳の女の子が日本の魔法少女を大好きになってしまったこと。少女を愛する父親は、彼女の願いである「魔法少女のコスチューム」(90万円)を手に入れるために、犯罪に手を染めてしまう……ちょ、ちょっと待って。その愛、なんだかズレてませんか? 愛のズレによって悲劇が連鎖する転落劇『マジカル・ガール』。キレイごとだらけのハッピーエンドでは描けない、愛の裏に隠された人間の欲が浮き彫りになっています。

◆魔法少女コスプレ1着90万円!愛ゆえのこだわりを爆発!?少女・アリシア

アリシア

 白血病を患っている12歳の少女アリシアが大好きなのは、お父さんと、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」。友人にもマコト、サクラという日本名のあだ名をつけるほど、魔法少女に夢中になっているアリシアですが、「本当の夢」だけは失業中の父親に遠慮して秘密のノートにだけつづっていました。優しくけなげな彼女の姿は、父親の心に“最後の夢”をかなえたいという絶対的な信念を植え付けます。

アリシア
アリシアが大好きな「魔法少女ユキコ」

 何かを好きになってしまったら、そのキャラクターのポスターやグッズ、服、全てがほしくなるのはオタクの性? アリシアも例にもれず、コスプレ衣装を着ることを夢見るようになるのですが、その衣装は「メイコ・サオリが歌手のメグミ用にデザインした魔法少女ユキコのドレス」ってちょっと具体的すぎ!? 彼女が望んだものは安物の衣装ではなく、90万円もする有名デザイナーが手掛けた1点モノの高級ドレスだったのです。彼女の愛ゆえのこだわりが、最後の願いを完璧にかなえてあげたいと切望する父親を狂気に駆り立ててしまいます。

◆娘ラブ!金がないなら娘以外の誰かを利用すればいい!父・ルイス

ルイス

 アリシアの父ルイスは現在失業中。けれども娘のアリシアの病気の進行は、待ってはくれません。娘を笑顔で天国に送ってあげたいと願う父親は、彼女の夢のためだけに行動するようになります。しかし、娘の秘密の願い事ノートに書かれていた望みは、「誰にでも変身できるようになりたい」「魔法少女ユキコのコスチュームを着たい」「13歳になりたい」の三つ。どれも実現できそうにありませんが、唯一可能性が残っていそうなコスチュームも、高額すぎて失業中のルイスには手がでません。

ルイス
娘の部屋で一人ボーっとする父

 ここで諦めたり、安物で済ませたりするのが普通の親かもしれませんが、愛する娘の夢を全力でかなえたいルイスの覚悟は、あらぬ方向に進んでいきます。それは、心に闇を抱えた女性バルバラを利用して金を得るというバッドアイデアでした。……いやいや、なぜそう考えちゃうかな? とツッコミを入れたくなりますが、果たしてアリシアの幸せとは、他人を犠牲にしてでもかなえたいものだったのでしょうか? 彼女が父に伝えたかった思いさえも聞き逃してしまうルイス。娘を思う気持ちはわかるのですが、なんだか愛の方向がだいぶズレませんか?

◆お願い捨てないで!なんでもするから!(ガチすぎ)女バルバラ

バルバラ

 精神科医の夫と暮らすバルバラは、美しいがどこか陰のある女性。夫と離れることを恐れる彼女は、彼からどんなことをされても拒むことはありません。はたから見ていびつな夫婦関係でも、愛するよりも愛されたい彼女にとって夫との関係には幸せがありました。彼女にとって一番怖いことは、愛を失い孤独になることなのですから。

ルイス
夫からされることなら、なんでも受け入れるわ

 しかし、もしもそんな状況になってしまったら……。彼女はルイスとのある一夜の間違いを夫に知られないように、自らの体や心に傷つける行為を選択します。しかも、なぜか裏社会の関係者と連絡を取り、一日限りの秘密の仕事をするバルバラ。「捨てられるくらいなら何でもするわ」という言葉を体現するように、彼女は自らボロボロになっていくのです。夫婦愛を守る方向って、本当にそういう方向でしたっけ?

◆怖いくらい好きな人がいます。僕ってヤンデレ?違うよね?初老の男ダミアン

 刑務所から出所し、一人穏やかな生活を送る初老の元数学教師ダミアン。彼は、教え子であったバルバラに再会することに異常に怯えています。けれども、少女時代から知るバルバラを愛することにすべてをささげているようなのです。バルバラから託された本を手に取り、彼女の残り香を味わうようにかぐ彼の表情は最高に変態チック。祈るように目をつぶり、大きな鼻息を立てながら胸いっぱいに香りを吸い込みます。『マジカル・ガール』の登場人物たちは、みんなどこかズレた愛の持ち主ですが、もしかしたら一見無害そうに見えるダミアンが、一番狂った愛に身を焦がしているのかも……。またこのダミアン、バルバラへの愛以外にも抱えている自己愛もすごい。誤った考えで凝り固まった彼の頭をハリセンでたたきたくなるような、見事な突っ走りっぷりを見せてくれます。

◆日本への愛が止まらない映画界の新星監督

魔法…少女……?

 第62回サンセバスチャン国際映画祭作品賞と監督賞を受賞した本作の監督カルロス・ベルムトは、これが長編劇映画デビューとなった期待の新星。ペドロ・アルモドバルも「何年かぶりに心を打たれる衝撃的な映画に出会った」と絶賛し、次回作のプロデューサーとして名乗りをあげるほど才能をほれ込まれたベルムト監督が熱を上げているのはなんと日本でした。

 年に4か月は東京に住み、お気に入りの漫画家は水木しげるさん、お気に入りの映画監督は勅使河原宏監督、お気に入りの歌手は浅川マキさんという日本通のベルムト監督。監督の日本への愛は本作にも表れており、「黒蜥蜴」や魔法少女ユキコのテーマ曲「春はSA-RA SA-RA」(演歌歌手・長山洋子のアイドル時代のデビュー曲)など随所で日本へのリスぺクトが見られます。ちなみに同曲を選んだ理由は、アイドルのキラメキと今敏監督の『PERFECT BLUE パーフェクト ブルー』のようなアイドルの笑顔の裏にある悲しみを表現したいと思ったからとのこと。スペイン期待の星が『マジカル・ガール』に込めた日本愛を、ぜひ体いっぱいに感じちゃってください。

映画『マジカル・ガール』は3月12日より、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー!

オフィシャルサイト

Una produccion de Aqui y Alli Films, Espana. Todos los derechos reservados(c)

【関連情報】

楽天市場

  • «前のニュース
  • 次のニュース»

ブログなどをご利用の方は以下のURLをトラックバックURLとして指定してください。

[PR]
おすすめ特集
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
楽天市場
スポンサード リンク
  1. 記事
  2. 2016年
  3. 3月
  4. 3日
  5. 魔法少女から始まる転落劇 愛の方向ズレてませんか?