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上戸彩
『ズートピア』
魂を込めすぎて、取り戻せないかもと思った
『ズートピア』上戸彩 単独インタビュー

取材・文:前田かおり 写真:高野広美

動物が人間のように暮らす楽園「ズートピア」を舞台に、ウサギの新米警察官ジュディが楽園に隠された秘密に挑むファンタジーアドベンチャー『ズートピア』。『塔の上のラプンツェル』のバイロン・ハワードと『シュガー・ラッシュ』のリッチ・ムーアの最強タッグで生まれたディズニー最新作の日本語吹き替え版でジュディの声を担当したのは、女優の上戸彩。誰もが夢がかなえられるというズートピアで立派な警察官を夢見るジュディの声をどのように演じたのか、アフレコ現場を振り返った。

■大好きなアフレコのはずが…

Q:ディズニー・アニメーションのアフレコオファーにどのような思いを抱きましたか?

ディズニー映画という、とてもファンが多い作品をやらせていただけることは本当にうれしくて、光栄だなと思いました。ディズニー作品は、どの作品でも人々の記憶に残る特別な思い出になりますから。

Q:過去にも『ピーター・パン2/ネバーランドの秘密』、『マレフィセント』といったディズニー作品でアフレコの仕事をされていますよね。

はい。その機会にアフレコという仕事をとても好きになったのですが、今回はとても大変でした。

Q:アフレコにはどのぐらいの期間を要したのでしょうか?

全部で8日間でした。実をいうと、今までの経験から最初は2、3日で終わるかな、と思っていたんです。でも、スケジュールはバッチリ10日間も押さえられている。ちょっと甘く考えすぎていました(笑)。1日6ページしか進まない日もあって、プロの皆さんにたくさん助けていただいたり、教わったりしました。

Q:どんなところで苦戦されましたか?

感情の乗せ方はもちろんなのですが、自分の声が一つの流れで聞くと同じトーンになってしまっていたところでしょうか。一つ一つにはちゃんと感情の強弱がついてはいるのですが、自分でもこれはまずいなー……と思っていたところだったので、プロの方にちょうど指摘していただいて、自分の悪い癖を直す良い機会になったと思いました。

Q:どのように直されたんですか?

「マイクに対して話すんじゃなくて、遠くの人に話し掛けるように。目の前に人がいても遠くに話し掛けるように言ってみてください」と教わりました。「大げさにやってみてください」って言われて、その通りにできるように頑張りました。

Q:やはり、お芝居をするのと、声だけでお芝居をするのでは大きな違いがあるのですね。

そうですね。やっぱり表情をつけて、身振り手振りしながら演じるのと、それがないのとでは違います。とくにわたしの場合、トーンを下げてしまうと、テンションが下がっているように聞こえてしまって。わたしにはまだ引き出しがなかった「声の大きさや強弱を変えずに、違う表現を出すこと」を演出の方に教えていただいて、何回も何回も練習しました。

■ジュディは芯の強いキャラクター

Q:ジュディを演じる上で、ポイントにしたことは?

ジュディはとてもかわいらしくて、一見、お子さま向けのように思われると思うんです。でも彼女は、警察官を目指して田舎から都会に上京してきた、人間で言えば、19歳、20歳ぐらいの設定。そして、正義感も強くて芯のあるキャラクターなのだから、キャピキャピしている声だとちょっと違うかなと。

Q:ジュディと共通点を感じるところはありますか?

ジュディはすごく意志が強くて、嫌いなものは嫌いとはっきりしている。そういうところは似ていると思います。白黒はっきりさせたいタイプではあるので。それと常に前向きなところかな。あまりへこたれないし!

■ナマケモノとの共演シーンに苦戦

Q:ジュディとキツネの詐欺師ニックの軽妙なやり取りも見どころになっていますが、ニックについてはどう思いますか?

最初は敵? みたいな感じなのに、だんだん頼りになる相棒になってくる。それにすごく男らしくて……ネタバレになるので言えませんが、ものすごくカッコいいと思えるシーンが後半になればなるほどあるんです。日本語版の吹き替えを森川智之さんがやっているので、ニックがとてもすてきなキャラクターになっています。ジュディとニックの関係は一見、ラブモードになりそうな気もしますが、そうならないのが、今作のいいところ。どうにでも取れるように終わっているところが、観る人の想像力をかき立てると思います。

Q:約5,000体以上のキャラクターが登場しますが、ジュディとニック以外でお気に入りのキャラクターは?

ナマケモノのフラッシュですね。声のトーンと、びっくりするぐらいゆっくりすぎる感じがすごくかわいくて。とても好きなんですが、フラッシュがのんびりしている分、ジュディは早口でしゃべらなくちゃいけない。だけど、フラッシュがかわいいからつい見入ってしまう。すると、秒単位で遅れちゃう。アフレコに関しては本当に難しくて、てこずりました。

Q:恐るべしナマケモノですね。

はい(笑)。本当に大変だったけど、その分OKが出たときはうれしかったですね。達成感もあったし、一番好きなシーンにもなりました。

■実写を見ているような面白さ

Q:とても楽しくて笑いもいっぱいですが、全体を通しての本作の魅力をどのように思われますか?

アニメーションなのに、それ以上のものを感じます。ズートピアは動物の世界だけれど、すごく人間社会に近いので、アニメーションで動物の世界なのに、なんだが実写の作品を観ているようで。しかも、多様性というか、さまざま動物がいて、理想的な世界と言われながらも、動物の大きさや小ささ、草食か肉食かで実は偏見や差別があったりとテーマも深い。だから子供だけでなく、大人も楽しめると思います。

Q:とても密度の濃い作品ですね。

ですね。ズートピアの超ハイテク社会、その世界観を見たら引き込まれることは間違いないと思います。この作品のアフレコに参加することができて、とても達成感を感じています。ただ、あまりに魂を込めてしまったので、当分その魂を取り戻すことはできないかも……なんて思ってしまいました(笑)。

「いつか家族に自慢できる仕事ができたら……と常に思っています」と話す上戸にとって、まさにその一つになりそうな『ズートピア』。アフレコの難しさに苦戦したと明かしながらも楽しそうに語る姿は、小さな体で、立派な警察官になるためズートピアで孤軍奮闘するヒロインのジュディにも重なって見えてくる。彼女は声だけではなく、ジュディに並々ならぬ情熱も吹き込んでいる。

(C) 2016 Disney. All Rights Reserved.

映画『ズートピア』は4月23日より全国公開

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