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映画『スポットライト 世紀のスクープ』レイチェル・マクアダムス単独インタビュー(2/2)

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■女優もジャーナリストも“真実を探し求める人”

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(C)MASAHIRO MIKI

Q:役づくりのために、サーシャさんを“ストーカー”したとおっしゃっていましたよね。

そうね、まさしくそれがふさわしい表現だと思うの(笑)。わたしは本物のサーシャをストーカーしたわね。あはは(笑)。彼女とのやりとりは、長い会話から始まったの。まずは電話ね。それからわたしがボストンに行って、彼女は夫のハンジーと一緒に駅まで迎えに来てくれた。それでボストンを5時間も散歩しながらお話しして。その間、気付かれないように、彼女を観察しようとしたわ。それはとても難しかったけどね。彼女のことを聞いているつもりでも、彼女は話を聞くのが上手だから、気が付くと自分のことばかり話していて。あとは当時、彼女はラジオ・ボストンでホストをしていたから、それを聞いたり……。そうね、基本的に彼女がゾッとするようなことばかりしていたと思うわ(笑)。

でも本人にいろいろ聞けるというのは、本当に素晴らしいことだったわ。質問が思い浮かんだら、いつでも彼女にメールをして。彼女は事細かに答えて手助けしてくれたわ。彼女に聞けないことは何もないと思ったほどだった。でも実は、彼女に初めて会うときはとても緊張していて、トムに「彼女に聞かないほうが良いことがあれば、それは避けるわ。彼女はカトリックの家庭に育ったんでしょう」って言ったの、そしたらトムは「いや、彼女は信じられないくらいオープンな人だ。物語を伝えることに責任を持っている」って答えてくれて。その言葉通り、素敵な人だった。

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レイチェル、本物のサーシャ・ファイファーとの2ショット - Michael Kovac / Getty Images for Moet & Chandon

Q:サーシャさんにもらったアドバイスで忘れられないものはありますか。

わたしがすごいなと思ったのは、サーシャはわたしにアドバイスしなかったのよ。もし誰かが私のストーリーを映画化したいって言ったら、わたしは事細かに口を挟むと思うわ。もちろん演技にもね(笑)。サーシャはとても親切。彼女がわたしのことを本当に信頼していたかどうかはわからないけど、彼女はわたしにそう思わせてくれるのよ。それがすごく助けになって、彼女のストーリーをより深く理解することが出来たと思うわ。できるだけリアルに演じたいという思いがあったから。でも本当に、彼女がわたしにアドバイスしたことは一度もなかったわ。いつも協力的で、たくさんの時間を割いてくれて、わたしは彼女のことを邪魔してばかりだったと思う。でも、2000年頃からのこのストーリーは彼女にとって人生そのものだわ。だから、(スポットライトチームの調査報道が)ピューリツァー賞を取ったこととかいろいろ話をしてくれた。彼女は完全にこの映画のスタッフになっていたし、授賞式の期間中は仕事の休みを取って参加してくれた。あらゆる点において、彼女にはとても感銘を受けたわ。

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レイチェルふんするサーシャ - Photo by Kerry Hayes (C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC

Q:そんなサーシャさんと共通点はありますか。

ええーと、初めはないと思ってた。わたしの仕事とは全く違うから、彼女が成し遂げたことに感銘を受けたのを覚えている。でも彼女と話せば話すほど、わたしたちがある種“探偵的”だってことがわかったのよ。わたしが思うに、わたしたちは“真実を探し求める人”だと思う。人々のことを理解したい、世界がどのように動いているのかを知りたいという欲求を抱いていて。どうして物事が起こるのか、その真実を知るためには、良くも醜くなろうとも努力を惜しまないタイプの人間ね。

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■真のヒーローたちと分かち合う受賞に号泣

Q:映画を観たスポットライトチームのリアクションはいかがでしたか。特にサーシャさんはあなたの演技をどうご覧になったんでしょうかね。

正確には知らないのよ。ありがたいことに、みんなが初めて映画を観た場にわたしはいなかったから。もしその場にいたら冷や汗が止まらなかったと思うわ。あはは(笑)。でもたぶんサーシャはシュールだと感じたに違いないわね。彼女は「映画になるなんて思っていなかった」ってずっと言っていたし、映画化の話をした時も彼女は「そうなの~、どうでもいいけど」っていう感じだったみたい。誰がこの映画を観るものか、誰がこの映画に出資するものかって思っていて、映画化するなんて夢物語に過ぎないわってね。それでわたしたちの願いが叶って、大スクリーンにこの映画が上映された時には、わたしたちほぼ全員がとてもシュールに感じていたと思う。

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トロント国際映画祭にて、セルフィーを撮る出演者&スポットライトチーム - Melissa Renwick / Toronto Star via Getty Images

Q:サーシャさん含め、撮影現場に本物のスポットライトチームが訪ねてきたりしたのですか?

彼らは撮影初日に来てくれた。撮影の中盤にも。そうね、頻繁に来てくれたと思うわ。週末にね。撮影のほとんどはトロントで行われて、ボストンにいるときには、もちろん彼らに会ったわ。それにトロント国際映画祭でのプレミアにも来てくれて、それはそれはとても感動的だった。上映後に、わたしたち俳優陣とトムが先に壇上に上がって、それからジャーナリストの彼らも上がってきてくれて、会場ではスタンディングオベーションが起こったの。その光景を見て、これは本当に特別な瞬間だわって感じた。彼らと一緒にステージに立てたことをとても光栄に思った。彼らにとっては、ジャーナリストとしての偉業が改めて評価されたということだし、本物のアンサンブルヒーローたちはそれこそ毎日自分の仕事をこなしてきて、まさかそれがこんな風になるとは思ってもいなかったわけでしょう。でも本当に彼らはそういう評価に値すべきことをした人たちなのよ。それはもう魔法のような瞬間だった。わたしは思わず号泣したわ。

Q:当時のインタビューを拝見させていただきましたが、本物のスポットライトチームのみなさんがこの映画を誇りに思っていることがすごく伝わってきて、とても感動的でした。アカデミー賞も受賞されましたね。

そうね、とても感動的だったわ。題材が題材だったし、どう受け止められるか不安だったけど、インディペンデント映画でもアカデミー賞を受賞できるんだということに勇気をもらったわ。

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取材後記

きみに読む物語』『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』などでの可憐なヒロインのイメージから一変して、本作では真実を追い求めるジャーナリストを抑えた演技で体現しているレイチェル。インタビュー中には、「毎日撮影に行くのが楽しかった」という彼女の言葉を証明するかのように、とにかくよく笑い、うれしそうに本作について話す姿が印象的だった。

取材・文:石神恵美子

映画『スポットライト 世紀のスクープ』は全国公開中

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