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『ナミヤ雑貨店の奇蹟』山田涼介・村上虹郎・寛一郎インタビュー

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泣くシーンで、監督からボッコボコ!

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 過去と現在が手紙を介してつながる映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で幼なじみ3人組を演じた山田涼介村上虹郎寛一郎。児童養護施設に身を寄せ、あることをきっかけに悪事を働いてしまう敦也(山田)・翔太(村上)・幸平(寛一郎)を演じる上で、彼らが役に抱いた思いとは。初共演ながら、東京都と大分県での撮影では常に一緒だったという三人が撮影を振り返った。

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■初対面は「山田涼介だ!」という感じでした

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Q:お互い共演は初めてですが、最初の印象はいかがでしたか?

山田涼介(以下、山田):虹郎はその当時19歳でしたが、すごく堂々とした19歳とは思えないたたずまいの人だなっていう印象で。寛ちゃんは寛ちゃんで、この見た目とは裏腹ですごく人見知りな、かわいいタイプの弟みたいな感じの印象でしたね(笑)。

村上虹郎(以下、村上):山田くんは、山田涼介だっていう感じでした(笑)。初めて会った日はあいさつだけだったのですが、現場に入ってからはまた変わりました。寛一郎は、映画関係の共通の知り合いがすごく多かったので、会ったことはありませんでしたが、同い年だし仲間意識がもともとありました。周りの方からは「無口でいいやつなんだけどよろしくね。シャイなやつだから」と言われてたので、あえて僕からは話しかけず、1回待ってみたりもしました(笑)。そしたら彼から来てくれてうれしかったです!

寛一郎:山田くんはベラベラしゃべる……。

山田:タイプじゃないよね?

寛一郎:うん。ちゃんといい意味で壁がある方だったのでホッとしました。ワーッてしゃべられたら、僕は「どうしよう」となるタイプなので。

山田:(笑)。

寛一郎:徐々に段々としゃべれるようになりました。虹郎とは同い年だし、共通の知り合いもいて、仲間意識があったので。ちょっと頑張ろうかなって思って、話し掛けました(笑)。それこそ虹郎はフレンドリーと聞いていたのですが、ちゃんと彼も壁のある人で。そこらへんは少し感じていたので、ジャブ程度に一回話し掛けました。

村上:ジャブきていましたね(笑)。

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Q:撮影に入る前の3日間のリハーサルが演技に役に立ったとお聞きしましたが、実際リハーサルを経てお互いに印象は変わりましたか?

山田:リハーサルだけではもちろん変わらずでしたけど、もともと悪い印象はなかったので、二人は年下ではありますが、その年の差も感じず。敦也・幸平・翔太の三人の関係性が、その3日間のリハーサルでできあがったのがすごくよかったと思います。

寛一郎:やっぱり一緒にお芝居をすると、2~3時間しゃべるのと同じくらいコミュニケーションがしっかりとれるので、僕はそこで二人にすごい安心感を抱きました。

村上:印象は変わってはいないですが、リハーサルでは1日で一気にできる分量を、あえて3日間にわけて、朝早くから毎日数時間会うっていう積み重ねがすごく面白くて。僕はリハーサルをすることに対して少し苦手意識があったのですが、3日間朝早くに起きて、電車で行って……とルーティーンすることがよかったです。劇中の彼らはたぶんもう10年くらいの付き合いだと思いますが、密度の濃いリハーサルのおかげでその雰囲気は僕らも作れたかなと思います。

Q:撮影ではどのくらいの期間、一緒だったのですか?

山田:ほぼほぼ三人でいる時間で。実質1か月半ぐらいの撮影期間中、ほとんど三人のシーンだったので、その1か月半はほとんど一緒にいたんじゃないかなと思います。

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■撮影時は、ほぼノーメイク!

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Q:3人組にもそれぞれのスタンスがありますが、それぞれ撮影を重ねていく上で、この作品においてのご自身の役割など思われたことはありましたか?

寛一郎:役割……自分は3人組の一人として、それが画(え)になっていればいいなと思いましたね。

山田:僕の客観的な意見ですけど、(寛一郎演じる)幸平のイメージは、やっぱり翔太と敦也がパワーバランスのピラミッドの上の方にいるとしたら、下の方に幸平がいるみたいな感じで。その弱々しさというか、おしとやかな感じは、たぶん寛ちゃんのよさがそのまま幸平に投影・反映されていたんじゃないかなという印象を受けました。僕は、寛ちゃんじゃなきゃできなかった役じゃないかなと思う。

村上:敦也・翔太・幸平は別にワルじゃなくて、正直全員とてもピュアで、彼らなりの正義がある不器用な若者なんです。話は変わりますが、最初の衣装合わせの時、衣装さんが持ってきた翔太の服が革ジャンだったんです。ゴリゴリのハードロッカー、パンクロッカーのような恰好で、自分が原作と脚本を読んだ時のイメージと違って驚きました。その時は「三人のパワーバランス的に翔太はこっちなのか」と思って、なじませるために1週間ぐらい革ジャンを着ていたのですが、なんとなくしっくりこなくて。監督と再度相談した結果、衣装のアシスタントさんの私物のコートを借りることになりました。でも、やはり私物なので、そのコートを汚すたびに「ん」っていう顔をされていました(笑)。

Q:山田さんは今回「引く演技」を心掛けたとのことですが……。

山田:普段は出すことに重きを置いている仕事なので、いくらでも出そうと思えば出せるんですけど、引くことを要求されたことがあまりないんです。自分が一番目立ってやろうというアイドルの中で、引く方なんていないわけじゃないですか。でも『ナミヤ』では引くことを要求されていると本を読んでも、監督と話していても感じたので、どうしようかすごく悩みましたね。引く作業はあまりやったことがなく、主張が強い顔だし、う~ん……と悩んでいた時に、みんながメイクしないと言っていたので、じゃあ俺もノーメイクで、と。メイクする時間は1分半とか2分とかで、髪の毛もサーっとやっておしまいみたいにしたんです。それは自分の中では新しい試みでした。虹郎と同じように俺もスカジャンを借りて、きれいだったのでリブの部分に毛玉をとにかく作るみたいな作業を、テレビ見ながらずっと家でやっていたりとか(笑)。あとは現場に立って、どういう風に画で見えているのかなっていうのを一度見せていただいて。「あぁこんな感じね」と理解したところから、僕はもう引き算をずっとしていました。

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■“泣き演技”が1回目でできなかったのは初めて

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Q:廣木隆一監督作品では出演して「演技が変わった」と話す方も多いですが、今回出演してみて自分の中で変わった部分はありましたか?

村上:僕は今回でご一緒するのが3度目なのですが、廣木監督にはまだ何か言われたり、ボコボコされてはいないです。なので、まだ僕の中で大きく変わったということはないです。

寛一郎:僕もそうですね。すごく怖い監督だと伺っていたので、ビクビクしながら行っていました(笑)。

村上:でも、山田くんのあの泣くシーンは、何回もテイクを重ねていたよね。

山田:ボッコボコにされました(笑)。

村上:(笑)。泣くのを待ってご飯を挟んで、というのもありました。話して大丈夫かな?

山田:大丈夫、大丈夫。

村上:僕はいつボコボコにされるのか不安です。

山田:後輩が出てきた時か……。

村上:怖いね(笑)。

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Q:山田さんはその時のことは覚えていらっしゃいますか?

山田:そうですね。僕、泣きの芝居で1回で泣けなかったのは、今回が初めてだったんです。基本的に全部1回で泣けるのですが、今回は雑貨店の中を東京で撮って、その後のシーンを大分で撮ったんです。店を出て手紙を読んで泣くという芝居なのですが、(雑貨店のシーンの撮影から)1か月もスパンが空いてしまって。僕の経験上なかなか無理だろうと思っていたし、監督からは1か月前ぐらいから「あそこマジ大事なシーンだから」とずっと言われていて。大分でご飯を食べながら「あそこ大丈夫か」と常に心配してくださっていたのですが、そのプレッシャーにやられたというか、本当にボッコボコにされた。でもそこで芝居の難しさを学ばせていただいたので、すごくいい経験をさせてもらったと思います。こういう芝居もあるんだと、インプットできました。

Q:そのシーンでは監督はひたすら待っていらっしゃったのでしょうか?

山田:そうですね。一番印象的だったのは廣木監督ってカメラ横に必ず立つんです。モニターを見ずに。その時も僕が手紙を読んでいる目の前にいて、俺がしゃがんだら監督もずっとしゃがんで。それが最初に目に入ってしまっていたんです。でも最後に休憩を挟んでから撮影した時には監督が目に入らなくて。完全に集中できた瞬間だったんです。こういうのを演技の幅を超えた演技というのかな。監督が待っていたのは、これだったんだっていうのを初めてそこで知ることができました。ちょうどクランクアップの日だったのですが、この日にそれを知ることができて、監督とできてよかったと思いました。

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■ロマンチスト?それともリアリスト?

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Q:手紙で過去の人物と交流していく本作で、初めから乗り気な幸平・翔太にはロマンチストな部分が、そして敦也にもリアリストに見せかけてロマンチストな部分があると思いました。皆さんご自身はロマンチストかリアリストかといえば、どちらのタイプでしょうか?

山田:ふふ(笑)そうですね、どうなんだろう。ロマンチストなんじゃないかな~って思います。ロマンチストでなければこの仕事はやっていけないと思うし、ここでカッコつけて「リアリストです」とは言えないです。それにこの仕事に自信を持ってやっていますし、人を喜ばせたり、いろんな感情を与えなきゃいけない中、この職業の人はやっぱりロマンチストであるべきだなって僕個人としてはそう思っているんです。

村上:自分の中にはどっちの部分もあります。映画とかドラマとか観ていると、なんとなくその時代の方々が、どのような熱量を持って時代を生き抜いているのかわかるじゃないですか。その時に、今の人たちは絶対的にリアリズムを持って生きているのかなと思うんです。強いんですよね、夢なんて……みたいな。情報があふれているので、みんなが気づいてしまう。でも僕らは抗って生きているのかなと、思う時はあります。

寛一郎:僕も半分半分。今、虹郎が言ったこととほとんど同じことで。そこは少し虹郎と似た部分ではあるかなと思います。

村上:でもけっこう熱いです。この二人。

Q:お二人の熱さとは?

村上:内に燃えているものがあるんです。僕もありますが!

山田:そうですね、あると思います(笑)。絶対ある。

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■取材後記

 先輩風を吹かせることなく、けれども村上や寛一郎をそっとサポートする山田の“先輩”としての表情も印象的だった今回のインタビュー。劇中の三人のシーンは密室劇のような場面が多く、それだけいかに呼吸を合わせるかもキーになるが、三人の演技が自然だったことに納得。なぜ映画で彼らが息の合ったコンビネーションを繰り広げられたのか、その理由は取材中でも笑みを浮かべ合っていた彼らの雰囲気から十分にうかがえた。(取材・文:井本早紀)

(C) 2017「ナミヤ雑貨店の奇蹟」製作委員会

映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は9月23日より全国公開
オフィシャルサイト

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