[シネマトゥデイ映画ニュース] 映画『休暇』で“人の命をひきかえにした幸せはありえるのか”という重いテーマに真正面から挑んだ主演の小林薫に、自身が演じた死刑囚の体を受け止める「支え役」役について話を聞いた。【関連写真はこちら】
「最近シュールに笑いに逃げたり、恋愛映画だったり身近なテーマを題材にした映画が多いなかで、久しぶりに本格的に真っ向勝負の映画だと思った。しかも1973年生まれの若い門井肇監督があえてこういう映画を作ろうとすることに強く惹(ひ)きつけられた」と出演を決めた理由を語った小林。
小林が演じる刑務官・平井は、長年の拘置所勤めを経て喜怒哀楽を表に出さず、余計なことは一切話さないことが体に染み付いてしまった男。「実際の刑務官は個人的な感情を押し殺して公の刑務官として生きていると思う。だからもし僕がヘンに感情移入した演技をすると安っぽくなる。それに平井個人の感情は心の奥にしまっておく方が、彼の葛藤(かっとう)が観客に伝わるかと」と語り、登場人物が寡黙であるほど、逆にわたしたちの心に雄弁に何かを訴えかけてくるのだと教えてくれた。
圧巻なのは死刑が執行される場面。カメラは落ちてくる死刑囚を全身で受け止める平井の顔を執拗(しつよう)にとらえて離さない。小林は「子どもが投げたボールが胸に当たっただけで、平井が嘔吐(おうと)するという場面がありますよね。あれは死刑囚の体のけいれんを受け止めた感覚が、ボールが当たっただけでよみがえってきてしまったわけです。そのくらい平井の感情には重く沈殿しているものがある。でも、実際に執行のときにものすごい衝撃を受けているような演技をするのもどうかなというところもあり、その演技のサジ加減は非常に難しいところでもあった」と振り返った。このシーンは数カットに割っているがどれも1回のテイクで撮影したそうだ。
「自分に身近な題材を扱った作品を観て楽しむのもいいけれど、こういう命の重さについて考える作品もぜひ観てほしい」と小林。本作は、死刑囚を演じる西島秀俊のほか大杉漣、柏原収史ら多くの出演者とスタッフが作品のテーマに共感して集結。撮影は小池和洋プロデューサーの故郷山梨県で行なわれ、地元の人々と一緒に作り上げた作品だという。このような作り手の思いをぜひ多くの人に感じてほしい。
映画『休暇』は6月7日より有楽町スバル座、お台場シネマメディアージュほかにて、全国公開
オフィシャルサイト http://www.eigakyuka.com
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