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衝撃の実話!24歳と72歳が恋に落ちて結婚を約束するドキュメンタリー!主役二人も来場!-山形国際ドキュメンタリー映画祭

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ユリさん(左)、おっちゃん(中央)、東美恵子監督(右端)
ユリさん(左)、おっちゃん(中央)、東美恵子監督(右端) - Photo:Harumi Nakayama

 48歳年の差カップルの、愛の軌跡と苦悩を描いたドキュメンタリー映画『ユリ 愛するについて』が、開催中の山形国際ドキュメンタリー映画祭2009のアジア千波万波部門で上映されて話題になっている。

 監督は、出演女性の友人で、現在、ドイツ国立ミュンヘンテレビ映画大学在学中の東美恵子監督。衝撃的な恋愛模様の一部始終を見つめた東監督は「もし自分の父親が48歳年下の女性と付き合うことを想像したら『えっ!?』と思うかもしれないけど、いろんな人間模様を見た今は、そういうモンなんだなと受け止められると。なんか、自分の中の常識が崩れていっているのかもしれません(苦笑)」と語る。 

 登場するのは、ユリさん(当時24歳)と香川県の離島に住むおっちゃん(同72歳)。事の成り行きは2002年夏、東監督とユリさんが四国にヒッチハイク旅行へ出掛けた時。

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 その訪れた離島で一番最初に彼女たちを車で拾ってくれたのがおっちゃんだった。ユリさんを一目見て「ピンと来た」というおっちゃんと、アーティストで常識にとらわれないユリさんは「好きだから」と、瞬く間に恋に落ちた。東監督もまた、ドキュメンタリーを撮る
ことを思い立ったという。

 東監督は「ユリは感受性の強い人で、高校時代から『わたしは24歳で死ぬと思う』ということをたびたび口にしていたんだけど、その24歳の年におっちゃんと出会った。あの旅の途中、よくユリと『おかしいなぁ』と言っていたんだけど、何かに引き込まれていくような感じでおっちゃんにたどり着いたような、何か神秘的なモノを感じたんです。ユリにドキュメンタリーを撮ることを持ちかけたとき、彼女も『東はそのためにわたしたちの出会いに居合わせたんじゃないか』と言っていましたね」と説明する。

 撮影は2003年から5年間におよんだ。二人は結婚を約束するが、年齢差に加え、在日三世であるユリさんの家族から猛反発を受けるなど、現実が降りかかる。まるで鏡を見るかのように、カメラのレンズを通して自分自身と向き合っていたユリさんは次第に心苦しくなり、「撮影を止めてほしい」と言われて話し合ったこともあったという。東監督は「二人の間にわたしが入ることで、もしかしたら現実を変えてしまったかもしれません。でもその一方で、ユリはカメラに話すことで冷静に自分を見つめることができた。でも、そのあたりの被写体との関係をどう築いていくかはまだ消化しきれてないかも。今後、模索していくことになると思う」と言う。

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 気になる、ユリさんとおっちゃんの現在の関係だが、今でも良き友人であり、10日に行われた上映にも二人そろって駆け付けた。観客の反応が気になる東監督の不安をよそに、二人とも映画を楽しんで見たという。特におっちゃんは、観客から私生活が映画になった感想を求められると、「(東監督に)撮られていたことは薄々気が付いていたが、子どもの運動会を撮っているような感覚かと思っていた」とひょうひょうと語り始め、思わぬ返答に場内は大爆笑。さらに、「でもこうして映画になったのは仕方がない。事実やから。そもそもウチの島は、朝起こった出来事が昼には島中に広がるほど狭く、島の町長も『(ユリさんと)どうなった?』と聞いてくるほど。ほっといてくれ! と思うけど、このことは香川県の真鍋(武紀)知事もご存じです」と開き直りとも受け取れる豪快な発言をし、ユリさん同様、観客の心もまでも一瞬にしてつかんでしまった。

 なお、本作で東監督は、ミュンヘン市主催の映画新人賞を受賞した。その受賞がきっかけとなり、広島を舞台にした日独合作映画『アウグスト』(独語で8月の意味。来年公開予定)で初の長編映画に挑戦したばかり。ドイツ仕込みの期待の新人として、さらなる注目を浴びそうだ。(取材・文:中山治美)

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