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弱冠20歳の天才監督!監督・脚本・製作・主演を務めカンヌ映画祭や各国の映画賞さらう『アイ・キルド・マイ・マザー』

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カナダ映画『アイ・キルド・マイ・マザー』(原題)より
カナダ映画『アイ・キルド・マイ・マザー』(原題)より

 ロンドンで開催中の第24回ロンドン・レズビアン&ゲイ映画祭で、センターピース・スクリーニングと銘打ち、カナダ映画『アイ・キルド・マイ・マザー』(原題)が上映された。本作は、昨年のカンヌ映画祭でC.I.C.A.E賞(国際芸術映画評論連盟賞)など3つの賞を獲得したのをはじめ、各国の映画賞をさらい、監督・脚本・製作・主演を務めた当時弱冠20歳のザヴィエル・ドランが注目を集めた作品だ。

 俳優のマヌエル・タドロスの息子であるドランは、この3月で21歳、監督としてはデビュー作となる本作だが、俳優としてはカナダのテレビ番組などで子役時代から活躍してきた。本作は、母親にいらだつ主人公が学校の提出物につけて教師を驚かせたタイトルを、そのまま映画タイトルとしており、実際に母親を殺すような話ではない。幼いころには友達のように仲良しだった母親と、今では衝突ばかりしてしまうことに自分でも嫌気がさしている息子の、母子家庭の生活は時にコミカルだが、根底に流れる親子の情に胸が締め付けられるシーンもある。

 ゲイであることを公表しているドランの半自伝的作品である本作でも、主人公は母親が友達と考えている同級生と恋人という設定だが、同性愛がテーマの作品ではない。2人きりで暮らす母親との激しい愛憎関係が、ギリシャ悲劇のような近親相姦を思わせることもなく、主人公のよき理解者である女性教師とも、家出して泊めてもらうシーンなどでも師弟にしか見えず、テーマが拡散していくことなく母と息子の物語となっているのに、ゲイであるという設定が効いている。

 思春期特有の自分をもてあますような焦燥感が、よく練られた脚本とみずみずしい演技、新鮮な映像感覚で見事に表現されている本作、カンヌではスタンディングオベーションが8分間続いた。その若さを思うと、末恐ろしいような新人の登場だ。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)

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