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スピルバーグも怒らせた!?  ハリウッドの巨匠ながら烙印を押され続けた監督、エリア・カザンとは?(1/2)

スピルバーグも怒らせた!?  ハリウッドの巨匠ながら烙印を押され続けた監督、エリア・カザンとは?
若きロバート・デニーロとエリア・カザン - Ron Galella / WireImage / Getty Images

 エリア・カザン監督といえば、映画『欲望という名の電車』『エデンの東』『波止場』といった名作を世に送り出した、20世紀を代表するハリウッドの巨匠の一人であるが、一方で、ハリウッドの暗黒史・赤狩りでの行為でも、後世に名を残した人物でもある。そこでハリウッドの歴史に刻まれる作品群を世に送り出しながらも、いわくつきの烙印(らくいん)を押され続けた、彼の数奇な人生を振り返りたい。

 1940年代から60年代にかけて活躍し、すぐれた映画監督、あるいは舞台演出家として名高いカザンがハリウッドで成し遂げた偉業 に、「アクターズ・スタジオ」の設立がある。若き日のメリル・ストリープやロバート・デニーロが演技力をはぐくんだ、ハリウッド随一の俳優養成所だ。ここで学んだマーロン・ブランドやジェームズ・ディーンらキラ星のごとく輝く大スターは、カザン自身が発掘した。また、監督デビュー作『ブルックリン横丁』では、ハリウッドを干されていたジェームズ・ダンを再発掘。見事にアカデ ミー賞助演男優賞を受賞しているのだから、カザンの俳優を見る目は監督デビュー当時から確かだったといえよう。

 映画『紳士協定』でアカデミー賞作品賞と監督賞を獲得し、『波止場』では両賞を含む8部門を制するなど、映画監督としての実績は申し分な いカザン。舞台演出家としても、3度のトニー賞受賞という快挙を達成している。トルコからのギリシャ系移民という複雑なルーツをもつカザンは、当時のテーマとしてはタブーだったユダヤ人差別や黒人差別をも扱った。その映画『ピンキー』(日本未公開作)は主要キャスト3名がアカデミー賞にノミネートされている。また、ベトナム戦争に誰よりも早く注目し、資金の一部を提供して低予算で作り上げた映画『突然の訪問者』などレアな名作も存在する。

 そのカザンが、いわくつきの烙印(らくいん)を押されたのはなぜか。1950年代のアメリカでは共産主義排斥運動、いわゆる赤狩りが盛んに行なわれた。 「共産主義者では?」と疑われたカザンは、あろうことか仲間11人の名前を売ったことで、ハリウッドからの追放を免れたのである。しかし、これが原因でカザンはハリウッドから大バッシングを受けた。カザン作品に通底するヒューマニズムから人格者との印象があったこともまた、「あの社会派のカザンが……」と非難を一層強めた一因となっているという。アカデミー賞名誉賞の受賞式では、老齢となったカザンを冷ややかに見つめるスティーヴン・スピルバーグの姿もあり、赤狩りから半世紀以上たってもなお批判され続けた。


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