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女性器での性的快感を出産・性交で率直に表現したことに驚愕の声!河瀬直美監督『玄牝-げんぴん-』

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サンセバスチャン国際映画祭に登場した河瀬直美監督と長男・光きくん・6歳(読み方は、みつき。きは漢字。示偏に斤と書く)
サンセバスチャン国際映画祭に登場した河瀬直美監督と長男・光きくん・6歳(読み方は、みつき。きは漢字。示偏に斤と書く) - Photo:Harumi Nakayama

 河瀬直美監督のドキュメンタリー『玄牝-げんぴん-』がスペインで開催中の第58回サンセバスチャン国際映画祭で現地時間22日、公式上映された。自然分娩をテーマにしたドキュメンタリーとあって会場には妊婦の姿もあった。上映が終わった瞬間、温かい拍手を浴びた河瀬監督は「上映後、何人もの女性の観客が近寄ってくれて声を掛けてくれたのがうれしかった」と好反応に顔を紅潮させていた。

映画『玄牝-げんぴん-』場面写真

 同作品は愛知県岡崎市で自然分娩を推奨している産婦人科医・吉村正が院長を務める吉村医院に、河瀬監督が16ミリフィルムを片手に約1年間密着したドキュメンタリー。院内に「古屋」と称する江戸時代の茅葺き小屋を移築し、そこで薪割りやぞうきん掛けなど心身共に鍛えながらお産を迎えるという昔ながらの出産に、スペインの記者たちも興味津々。先に行われた記者会見では、通常は30分程度で終了してしまうところ、今回の映画祭の目玉ジュリア・ロバーツが出席した会見並の約1時間に渡る熱心な質疑応答が行われた。

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 特に女性の記者からは「吉村先生のような自然分娩を行っている産婦人科医は日本で珍しいのか?」という、吉村医師の存在そのものに興味津々の様子。河瀬監督は「吉村先生のような人は希有な存在だと思います。日本のお産の現場は医者が主体で陣痛促進剤などを使い、女性の力だけで分娩を行うのは全体の2%程度と言われています。そんな中、2万例以上の子どもを取り上げた実績があるのは吉村先生以外にはいないのでは? そうした非常に少数派の人たちをドキュメンタリーで取り上げるのはセンセーショナルで驚くべきことだと思います。さらに吉村医院で出産した女性たちは、出産直後『ありがとう』とか『温かい』『幸せ』と世の中を肯定した言葉を吐くんですね。それは素晴らしいことだと思うし、こういう選択も女性にはあるんだということを伝えたかった」と説明した。

 またスペインの男性の記者からは「男性器の快感について語ることはよくあるが、劇中で助産婦が『女性は膣で大切な人を受け止めて、性交渉の究極は一体感にある。出産でも子どもとの一体感を得られる』とか、妊婦が出産中『気持ち良い』と語るなど、女性器について言及していることに衝撃を受けた」という意見もあった。それについて河瀬監督は「日本では特に、女性が性的なことを公の場で語るのはタブーと言った雰囲気がある。でも、子どもを身籠もり出産するということや、膣で大切な人を受け止める事を喜びと思うのは真実だと思う」と一児の母でもある河瀬監督は、実体験を踏まえた上で正直に語った。

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 欧州では熱心な河瀬ファンも多く、「16ミリのカメラで撮ったことにこだわりは?」という技術的な質問もあった。河瀬監督は「お産は一回こっきりの現場。なので保険を掛けて、ビデオやデジタルカメラを回すのが現在のドキュメンタリー制作の状況。でもそれは、とりあえず撮っておけばいいという、素材的な部分が多いんですね。でも16ミリカメラ用のフィルムは一巻で10分しか回せないリスクがあって、その中で撮り手側が意識を集中させながら、ここぞという場面を撮らなければならない。かつてのドキュメンタリー映画には、そういう映像があった。今回は情報としての映像ではなく、作品を撮りたかったので16ミリカメラにこだわりました」と作品に込めた思いを語った。

 盛り上がった会見では、スペインの女性記者から「監督自身は次回、吉村医院で産みたいと思いますか?」という素朴な質問も飛んだ。河瀬監督は長男の出産模様をドキュメンタリー映画『垂乳女』でフィルムに残しているが、「ぜひ次回は吉村医院で出産してみたいです!」と即答。まさかの子作り宣言まで飛び出す盛り上がりぶりだった。コンペティション部門の受賞結果は映画祭最終日の25日に発表される。(取材・文:中山治美)

映画『玄牝-げんぴん-』は11月6日よりユーロスペースほか全国順次公開

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