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34歳で急逝した日本女優が秘かに韓国製AVに出演していた事実を映画化『あんにょん由美香』制作秘話

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『あんにょん由美香』(上)と制作秘話を語る松江哲明監督(下)
『あんにょん由美香』(上)と制作秘話を語る松江哲明監督(下)

 ロンドンで開催された日本映画祭ジパング・フェストで11月27日、ドキュメンタリー映画『あんにょん由美香』のイギリス・プレミアに松江哲明監督が登場し質疑応答した。

 本作は、2005年に34歳で急逝した林由美香のドキュメンタリー。出演した韓国製アダルトビデオ『東京の人妻 純子』の作られた経緯を探りつつ、由美香の代表作とその監督たちも登場する。松江監督は林由美香について、「小さな作品でも大事にていねいにやる人だったので、助監督だった若いスタッフが監督をやるときに出演をお願いしたりして、世代を受け継いで女優を続けていた方です」と紹介する。

 本映画祭ディレクターは、国際的なインディペンデント映画祭であるレインダンス映画祭の日本映画キュレーターを昨年まで務めたジャスパー・シャープ。日本映画に造詣が深く、中でもピンク映画についての著作を持つシャープは「ピンク映画は欧米で言うポルノとは別物。80年代、90年代にそこから出てきて活躍している監督もたくさんいる」と評価する。

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 シャープは、本作中の日韓関係が興味深いと評しているが、それに対し松江監督は、「韓国人が日本語を話す『東京の人妻 純子』は、かなり間違った日本語が使われていたりしますが、それでも、この映画を作った人たちは笑わせようというつもりはなくて、ほんとうに映画が好きで、真面目に作っているように思える。それで、作った人たちに会いたいと思ったのも本作を作った動機です」と応じた。

 質問も韓国の部分に集中。「日本と韓国では、だいぶ違うんですね。『あんにょん由美香』を韓国で上映する際は、一部カットしなくてはいけなかったり、許可を取るのが難しかったり、日本との表現の自由について温度差を感じました」と監督は説明する。

 本作には、松江監督一行の訪韓を迷惑がる、過去を隠している韓国人の元関係者や、アダルトビデオに出たことで俳優としての仕事がなくなったという元キャストもいて、韓国のポルノ的なものに対する厳しさが目立つ。本作の最後では、その元キャストらが『東京の人妻 純子』の本当の完成を目指し、再度日本の地を踏むことになる。

 「『あんにょん由美香』は、『東京の人妻 純子』があるだけで、撮るときに何も決めてなかったんです。どんなクライマックスになるかわからなかった。偶然を由美香さんが呼び込んでいるような、1日1日、シナリオが出来ていくような不思議な体験でした」と監督が語る本作は、林由美香の鮮やかな印象とともに、いい後味を残して終わる。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)

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