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映画に愛された女優・林由美香さんの七回忌に映画で追悼!庵野秀明監督、井口昇監督、小室友里らがトーク!!

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本作のプロデュースを買って出た、庵野秀明監督
本作のプロデュースを買って出た、庵野秀明監督

 2005年に急逝した女優の林由美香追悼企画「由美香night」が25日深夜にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、庵野秀明監督、井口昇監督、映画評論家の柳下毅一郎、タレントの小室友里らが出席し、今は亡き由美香さんをしのんだ。

  2005年6月26日、35歳の誕生日の前日に自宅で急逝、今年は由美香さんの七回忌にあたる。そのあまりにも短すぎる生涯を全力疾走で駆け抜けた由美香さんは、生涯で200本以上の映画に出演。酒と映画をこよなく愛した彼女の逸話は数多いが、それでもこの日は、彼女と共に戦ってきた“同士”ともいえる映画関係者が観客として多数来場した。壇上にのぼった“同士”の一人の井口監督は「ギャラはいらないから映画に出してと自ら言ってくれる、とても面倒見のいい方。ぼくも寅さんのパロディー『浣腸はつらいよ』を作ったときに、さくら役がいなくて。そのときに林由美香さんなら倍賞千恵子の役にピッタリだよな、と思ったけど、2~3万しか出せなくて……。それでも快く受けてくれた。本当にサービス精神がありつつ、プロフェッショナルな人でしたね」と述懐。

 またこの日は庵野監督がプロデュースを行った平野勝之監督11年ぶりとなる新作映画『監督失格』の予告編も解禁。矢野顕子が歌う主題歌「しあわせなバカタレ」に合わせて、由美香さんの姿が大スクリーンに映し出されると、壇上の出席者たちが「この映像を見ると思い出してきちゃって、駄目ですね……」と言いながら思わず涙ぐんでしまう一幕もあった。

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 公私ともに由美香さんと近い関係であった平野監督は、彼女の死後、実質、作品を発表する機会が持てなかった。そこで庵野監督が自身初となるプロデュースを買って出て、平野監督に作品を作らせる過程をドキュメントとして描いたのが本作だ。「(プロデューサーの甘木モリオ氏から)タイトルは『監督失格』だということだけは決まっていました。そこで新宿の居酒屋にいって、どういうのをやりたいんですか? と聞いたんですけど、あまりの内容の重さに、こりゃ覚悟を決めてやらないとだめだなと思いましたね。今回は編集なんかにも口を出しましたけど、これを乗り切った平野さんの次回作が楽しみです」と本作制作の経緯を明かした。

 既に完成した作品を観たという井口監督は「これは由美香さんと平野さんの生きざまそのものなので、一個の作品を見ている感じじゃない。映画の作り手側の苦しみを描いているんで、立ち直れないし。でも、見ているとふっとやわらかい気持ちにもなれる。不思議な作品」と感想を述べると、小室も「女の子の目から見て、誰かと恋愛して、お付き合いして、あそこまで相手の心に入る人がいるんだろうか。それは傷かもしれないし、温かいものかもしれない。こういう恋愛って絶対きついだろうなと思うけど、でも……、ちょっとだけうらやましかった」とコメント。

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 この日上映されたのは佐藤寿保監督の秀作『誕生日』(劇場公開時のタイトルは『痴漢電車 いやらしい行為』)、そして由美香さんの代表作『たまもの』と『由美香』。さらに驚くべきことに、この日はNHKの異才ディレクター、高橋陽一郎監督の幻の傑作『日曜日は終わらない』(未ソフト化)を海外映画祭出品用のフランス語字幕版35mmフィルムで上映。『監督失格』の甘木プロデューサーのツイッターによると、高橋監督自身が本作のプリントを探そうと思った矢先、NHKから「倉庫に映画のフィルムがあるが廃棄していいか?」との問い合わせがあったとのこと。もし担当者が高橋監督に連絡しなかったら、そしてこのタイミングで本作の上映がなかったら、本作のフィルムでの上映は日の目を見ることなかったし、フィルムも捨てられていたかもしれなかったという。これは映画に愛された女優・林由美香ならではの幸せな偶然であり、集まった観客も大スクリーンで由美香さんに“再会”する喜びを共有した。(取材・文:壬生智裕)

映画『監督失格』は9月3日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズにて独占先行公開

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