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満島ひかりは3Dに反対!?『ラビット・ホラー3D』清水崇監督、舞台裏明かす!

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清水崇監督
清水崇監督

 昨年のヴェネチア国際映画祭では3D映画部門の審査委員長を務めるなど、3D映画と密接にかかわった活動が続いている清水崇監督。満島ひかりを主演に迎えた『ラビット・ホラー3D』や、自身の変化について語った。

映画『ラビット・ホラー3D』場面写真

 清水監督作品といえば、畳み掛けるような恐怖描写と、じりじりと追いつめられていく人間の心理を浮き彫りにする演出が特徴。しかし、本作は心に闇を抱え、擦れ違ってしまう父と子のドラマが前面に描かれており、お化けのホラーではなく、人間の本当の恐ろしさを感じさせる仕上がりになっている。そのことについて清水監督は、「今回は、満島ひかり、香川照之という達者な役者陣がそろったので、ドラマを前面に出すことができる分、恐怖描写はオーソドックスにいこうという意識はありましたね」と率直に明かす。また、20代のころから作っていた『呪怨』は「理屈抜きのお化け屋敷のような映画があってもいいだろ!」と反発的な勢いのある作りだったと振り返り、「それ以降のJホラーと呼ばれた時期の個性なき粗製乱造を目の当たりにしてきて、単純に飽きたのと、やり足りなくなったからでしょうね。幽霊やモンスターも大事ですが、真に怖いのは決してその派手さや見た目ではない。それを生み出す過程を感じさせる暗い想念と怪異そのものだというスタンスは変わっていないのですが……。どうしても評価・判断されるのは表面ばかりで、裏に内包されている情動や心の迷宮はなきがごとしにされてしまう。ならば、内部にひそんだ闇をもっと露骨に直球で! となったのかもしれません。単純に年取っただけの言い訳かもしれないけど(笑)」と作風の変化を打ち明けた。

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 また、近年3D映画に取り組んでいることについては、3D映画不要論があることも踏まえた上で、「映画がトーキーになり、カラーになってきたように、3Dももっと当たり前にとらえられるようになると理想的だと思います。もっといろいろなジャンルの作品にも可能性はあるはずだし、作り手や演じ手が使いこなせるようになる前から、せっかくの技術を商業的な価値だけの短期判断で投げ捨ててしまうのはもったいないし、愚の骨頂です」と説明。実際、現場では満島ひかりから「3D映画にする意味あるんですか?」と言われたこともあったそうだが、完成品を観て「映像にも音にも奥行きがあって、球体の中にいるような感覚になった。白昼夢のようなこの作品の世界観にピッタリ。3Dで撮った価値がわかりました」と感心したという。

 そんな本作の魅力の一つが、世界的な名カメラマン、クリストファー・ドイルによる映像美。ウォン・カーウァイらアジアの監督たちに愛されている独自の映像美は3Dになっても少しも損なわれることなく、幻想的な世界をより一層引き立てている。しかし、ドイルについて話が及ぶと、それまでとは一変して「わがままで強情なわりに、やたら女々しいんです(笑)。嫌なことがあると『どうせ僕なんか……』といじけてすぐ泣いちゃう。泣かれるとけんかさえできず、手の打ちようがないから、皆でなだめるしかない(笑)。普段はノリが良くて煩わしいくらい元気なんですが、高低差が激しく持続力はない……。それが感覚的な彼の魅力でもあり、賢いズルさでもある。エロい亀仙人みたいないとしいじいさまではあるのですが、映像が素晴らしくなかったら、ただの酔っぱらいです(笑)」と名カメラマンの意外な素顔を一気にぶちまけた。

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 一方で「それでもやっぱり、企画や題材によっては『これはクリスが撮ったら面白いかも』と頭に浮かぶ。超面倒くさいんですけど、だから魅力的でもあるんです」とその才能は認めており、「二度と仕事したくない」と言いながらも、表情は実にうれしそう。「どこか自分と似ている部分もあるんですよね」と笑う姿からは、ドイル、そして「感性で生きていますよね。ハッキリしているからぶつかりがいがあるし、人間くさい」という満島らに振り回されながらも、その状況を誰よりも楽しんでいたに違いないと確信させられた。だからこそ、感性のぶつかり合いの末に生まれた本作は、一筋縄ではいかないのだろう。(写真・文:小島弥央)

映画『ラビット・ホラー3D』は9月17日より全国公開

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