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ヴェネチア国際映画祭に出品決定!水江未来監督のアニメーション『MODERN N° 2』は手書きにこだわった立方体の変形

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ヴェネチアのオリゾンティ部門に参加する水江未来監督
ヴェネチアのオリゾンティ部門に参加する水江未来監督

 第68回ヴェネチア国際映画祭のオリゾンティ部門に、アニメーション作家・水江未来監督のアニメーション『MODERN N° 2』が選出された。水江監督はこれまで、フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭をはじめ、延べ100以上の映画祭に招待されているが、ヴェネチアは初めて。水江監督は「和装で参加して、作品以外でも目立ちたい」と意気込んでいる。

 水江監督は、チェコの短編アニメーションに触発されて多摩美術大学でアニメーションを学び、「細胞」をモチーフにした抽象アニメーションを多数発表。その一方で、山田悠介の小説「ブレーキ」の表紙や、小説すばるでホラー作家・平山夢明の作品の挿絵を手がけるなど、イラストレーターとしても活躍している。

 そんな世界も注目する気鋭アーティストが満を持してヴェネチアに挑む『MODERN N° 2』は、これまでの細胞シリーズから趣を変え、立方体がリズミカルな音楽に合わせて激しく変形していく作品だ。わずか4分のアニメだが、従来通り手書きにこだわっており、制作期間は実に3か月に及んだという。

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 水江監督は「立方体は初期のCGアニメーションや建築の組立に用いられるなどデジタル的なものだが、それをあえて、方眼図を使って手で描いていくというアナログの手法で作れないか?と思ったんです。細胞をテーマにした時は、細胞を一つ一つ描いていくことで“生きている“ことを確かめることが出来た。では今度は、何が生まれるのか? それを確かめたいと思ったんです。ただこの3ヶ月間、あまりにも立方体を描きすぎて今は見たくもないくらいですが(苦笑)」と制作秘話を明かす。

 ちなみに水江監督は、昨年、自主映像作家たちが、国内外に自分たちの作品を自分たちで発信しようと設立したインディーズ・レーベル「CALF(カーフ)」(http://calf.jp/)のメンバーの一人。昨年のヴェネチア国際映画祭同部門には同じくメンバーの和田淳監督『春のしくみ』が選ばれており、2年続けてCALFからの参加となる。彼らは、『頭山』が米国アカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされて話題にあった山村浩二に続く、日本アニメーション界期待の星だ。

 水江監督は「CALFには和田淳と大山慶という強力なライバルがいて、しかもふたりとも昨年、大きな賞を受賞していて(和田は『わからないブタ』でスイス・ファントーシュ    バーデン国際アニメーション映画祭で優秀作品賞、大山は『HAND SOAP』で広島国際アニメーションフェスティバルで優秀賞を受賞)、嬉しい反面“なにくそ!“という気持ちがある。それが自分のエネルギーにもなってますね。何より、CALFがあるから作品を作り続けようというモチベーションにつながってます」と語る。

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 水江監督はちょうど今年でアニメーション作家10周年の節目の年となり、現在、東京・京橋のギャラリーASK? art space kimura(http://www2.kb2-unet.ocn.ne.jp/ask/)で「水江未来の細胞アニメーション!」と題した初の個展を開催中(8月10日まで)。会場では『 MODERN N° 2』の40秒の予告も観賞することが出来る。

 水江監督は「ヴェネチアに落ちたら本当はこの会場でワールドプレミア上映するはずだったんです。でも選ばれたので、今回は予告だけ」とうれしい誤算に笑顔を見せていた。(取材・文:中山治美)

 ヴェネチア国際映画祭は8月31日~9月10日開催。

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