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質屋のおじさんが元特殊部隊要員!ドストライクなハードボイルド『アジョシ』イ・ジョンボム監督、630万人を熱狂させた大ヒットの極意明かす

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監督第2作目『アジョシ』について気さくに語ったイ・ジョンボム監督
監督第2作目『アジョシ』について気さくに語ったイ・ジョンボム監督

 映画『母なる証明』などで無垢(むく)や純粋を体現してきた韓国のスター俳優ウォンビンが、これまでのイメージを一新し、暗殺をなりわいとする元特殊部隊要員役に挑んだ『アジョシ』。本作が監督第2作目となるイ・ジョンボム監督が、日本語でおじさんを意味する「アジョシ」役にイケメンのウォンビンを起用した理由や、韓国で観客動員数630万人の大ヒットとなった自作の魅力について語った。

映画『アジョシ』写真ギャラリー

 9月21日に40歳となるジョンボム監督は、「自分は“アジョシ”と呼ばれることにまったく抵抗はないけれど、まだ30代のウォンビンはさすがにそう呼ばれることに抵抗があるみたいだね」と笑う。ウォンビンは「アジョシ役はあくまでも映画の中のキャラクターだから」と役柄と自分の間に一線を引こうとしたというが、彼を主人公のテシク役に起用したのは、ウォンビンの持つ二面性にも理由があったという。子どもと心を通わせることができる優しい外見を持つ半面、一方では、怒りを爆発させるシーンで圧倒的な暴力も表現することができる。そして、ひやりとさせられるクールでサイボーグのような顔も持っている主人公の両面性が必要だったとジョンボム監督が求めたキャラクター像を明かす。

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 ウォンビン演じる世間に背を向けた男テシクが身にまとう孤独感や殺気は相当なものだが、彼と心を通わせる少女ソミを演じた天才子役キム・セロンの熱演も見どころのひとつ。ジョンボム監督は「ウォンビンはいい意味でとても根性がある俳優で、端正な顔立ちとは裏腹に非常にプロ意識が高く、衣装や細かな演技ひとつにも妥協を許さず、徹底的に準備する素晴らしい役者だね。キム・セロンは、撮影の合間は天真爛漫(らんまん)などこにでもいる普通の子どもだけれど、いざカメラが回り出すとぱっと表情が変わるし、大人びた陰のある顔が素晴らしいんだよ」と評価する。

 韓国で2010年のナンバーワンヒットを記録した本作の成功の極意については、「これまでの韓国映画とは違う、新しいアクションが観客にアピールできたんじゃないかな。ウォンビンの変身という点でも女性の観客の心をつかむことができたし、孤独な主人公2人の心の触れ合いというのも共感を呼んだのかもしれないね」と冷静に分析。『アジョシ』はすでにアメリカやカナダなどでも公開され、9月16日からは中国でも封切られるという。

 また、日本の好きな映画監督を挙げるとキリがないと前置きしながらも「黒澤明監督の作品はバイブルだよ。あとは北野武監督や阪本順治監督、三池崇史監督も大好きだし、浅野忠信、オダギリジョー、渡部篤郎、木村拓哉、宮崎あおい、蒼井優という俳優たちとも仕事をしてみたい。昔は織田裕二のドラマ『東京ラブストーリー』も楽しく観ていたよ」と意外な告白をするジョンボム監督。そんな監督の実力をその目で確かめてもらいたい。(取材・文:平野敦子)

映画『アジョシ』は9月17日より全国公開

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