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崔洋一監督、川島雄三監督について大いに語る!!川島映画の粋で洒脱(しゃだつ)な男女の機微は「銀座でモテたから!」

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自身の銀座にまつわる思い出話も披露、崔洋一監督
自身の銀座にまつわる思い出話も披露、崔洋一監督

 20日、現在開催中の第12回東京フィルメックス内の特集上映「限定!川島パラダイス♪」で映画『とんかつ大将』が上映され、映画監督の崔洋一と、東京フィルメックス プログラムディレクターの市山尚三が登場、川島雄三監督の映画について大いに語り合った。

 川島映画の代名詞ともいえる映画『幕末太陽傳』『しとやかな獣』といった作品以前、1950年代に発表された傑作映画『洲崎パラダイス 赤信号』『とんかつ大将』『愛のお荷物』『昨日と明日の間』という4本を英語字幕付きニュープリントで特集する本上映。2日目となる今回は『とんかつ大将』を上映。下町の長屋を舞台に、「とんかつ大将」という愛称で頼りにされている正義感あふれる青年医師(佐野周二)を中心とした人間模様を描き出した人情ドラマである。

 今回、初めて本作を鑑賞したという崔監督は「川島監督というのは、日本映画の系譜としては、(若尾文子らと組んだ『しとやかな獣』などの)娯楽映画の中の耽美、独特の世界観を持つ人だと思っていたけど、(『とんかつ大将』を観ると)それだけではないね。イタリアンネオリアリズムですよ。一見、ステレオタイプの登場人物が出てくる娯楽映画だし、下手すりゃ陳腐な映画になるんですよ。でも(『とんかつ大将』は)虚構の世界なんだけど、虚構の中に現実感があり、愛すべき人が出てくる」と本作の魅力を分析。

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 さらに川島映画の魅力について「意外とテクニカルの部分で刺激するところがある」と付け加える。「実は手持ちカメラがあったり、あの時代では異様なほどに移動好きですよね。手持ちカメラって作り手の主観を表現するときに使われることが多いけど、川島映画ではそんなことは気にならない。物語の進行とともに流れるカメラが染み込んでいるんですよね。モダンな演出ですよ」と感心した様子。さらに川島監督が描き出す粋で洒脱(しゃだつ)な男女の機微についても「川島さんが銀座でモテていたからだよね。日常とは違う人間関係を結ぶといううまさがあったよね」とコメントしていたが、そこから話はそれて、崔監督の銀座の思い出に。「映画会社の人に初めて銀座に飲みに連れていってもらったときがあって。当時は某映画会社がクラブを経営していたの。しかもそこは当時、サラ金まで経営していて、安い賃金で雇ったスタッフに金を貸していたの。ひどい話だよね。結局、社内の金が回ってるだけなんだから」と冗談交じりにかつての映画業界の裏側を披露し、会場を沸かせた。

 そして最後に「川島のモダニズムは時代の一コマなのではなく、(現代の人間が)面白がっていいもの。誰かが引き継がないと駄目だよね。わたしも含めてだけど、近頃の日本映画は貧乏くさいんだよ。何とかしてほしいと思っているんだけど。そういう意味でも現代の日本映画と比較して観てもらっても面白い。これは日本映画が持っている財産ですよ。この特集は見逃したら駄目ですね」と観客に呼びかけた。(取材・文:壬生智裕)

第12回東京フィルメックスは11月27日まで 有楽町朝日ホールをメイン会場に銀座各地のホール、映画館で開催中

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