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伝説の名作『アルジェの戦い』について、原作を執筆し、出演もしたヤセフ・サーディが語る!

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ヤセフ・サーディ
ヤセフ・サーディ

 1966年にベネチア国際映画祭の最高賞である金獅子賞を受賞した伝説の名作『アルジェの戦い』について、同作のベースとなった原作を執筆し、独立運動地下組織の指導者サアリ・カデル役として出演もしていたヤセフ・サーディが、当時の制作について振り返った。

 同作は、1954年の11月、仏領アルジェリアの都市カスバで、アルジェリアの独立を要求するアルジェリア人たちが暴動を起こした。これをきっかけにアルジェリア全域で暴動や時限爆弾を爆破させる事件が多発し、その状況を重大視したフランス政府は、マシュー将軍率いるパラシュート部隊をアルジェリアに送り制圧しようとする。ところが、独立運動地下組織の指導者サアリ・カデルは、マシュー将軍の降伏勧告を受け入れず、最後まで闘うことを決意していくというアルジェリアがフランスから独立するまでを、まるでドキュメンタリー映画のように描いた名作。

 アルジェリア民族解放戦線(FLN)のメンバーとして、アルジェリアの独立にかかわり、さらにこの映画のベースとなった原作を執筆したヤセフ・サーディは、この映画の撮影で、再び当時の状況を思い起こすことになった。「もちろん、映画でも思い起こすことになったが、最初に思い起こしたのはこの原作を書いた刑務所だったんだ……。1957年にフランスの部隊に捕まった僕は、アルジェリアの刑務所に入れられたが、そこにはペンや紙がなく、その後に護送されたパリの刑務所でこの原作“Souvenirs de la Bataille d'Alger"を執筆することになった。その際に、アルジェリアでの体験をすべて思い出すことになり、特にアルジェリアの刑務所で縦1m、横2mの牢獄に入れられていた時のことを思い出していたよ……」と厳しい環境の中で執筆した原作が、この名作を生むきっかけになったようだ。

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 この映画でヤセフはプロデューサーも担当している。「監督をした経験がなかったわたしは、1962年にこの映画の要約を書いてパリに(プロデューサーとして)監督を探しにいったが、当然それまでの状況(アルジェリアがフランスから独立しようとしたこと)を理由に、誰もフランスの監督は応じてくれなかったんだ。そこで、同じ地中海に面するイタリアで監督を探すことになった。イタリアでは多くの監督のオフィスのドアを叩いたが、結局わたしのことを良く聞いてくれる若い監督で、さらに第二次世界大戦も体験したジッロ・ポンテコルヴォに監督を依頼することになったんだ」と若手の監督に委ねたそうだ。だが、「彼はポール・ニューマン主演でこの映画を撮りたいと言ってきたんだよ!! もちろん彼は素晴らしい俳優だが、この設定にポール・ニューマンが主演したら、もの凄くばかげた映画になるとわたしが訴え、そのわたしの強い意思から彼はわたしの意見を尊重してくれ、最終的に彼が脚本家のフランコ・ソリナスを紹介してくれ、ようやくこの映画の製作をすることになったんだ」と明かした。ちなみにフランスで監督を探していた際には、『Z』を監督したコスタ=ガヴラスにも声をかけていたそうだ。

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 俳優経験のないヤセフが出演することになった経緯は、「監督のジッロ・ポンテコルヴォが、俳優やエキストラを決めていて、彼がわたしに、君は映画向きの顔立ちをしているから、ぜひ出演するべきだと言ってきたんだ! 当然最初は、わたしは出演を拒否していたが、あるとき再び考え直してみたんだよ。もし、この独立運動を体験していない誰かがこの役を演じることになれば、わたしが望んでいる映画にならないと思ったんだ。それならばわたしが演じるべきだと感じたことが出演することになるきっかけだった」と述べ、さらにヤセフがこの映画で経験のなかった俳優を理解するように、監督のジッロ・ポンテコルヴォも、アルジェリア民族解放戦線(FLN)の人たちを理解する必要があったとも語っていた。

 映画は、テロ行為を繰り返し独立を訴えるアルジェリア民族解放戦線(FLN)と、それを阻止するために闘うフランスの部隊の壮絶な闘いが緊迫したドキュメンタリー・タッチの映像で鋭く迫ってくる。まさに至極の一本である。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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