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構想30年で『アルバート・ノッブス』の映画化を実現させたグレン・クローズ、「男役に扮する自分を初めて見たときは涙が出た」

構想30年で『アルバート・ノッブス』の映画化を実現させたグレン・クローズ、「男役に扮する自分を初めて見たときは涙が出た」
映画『アルバート・ノッブス』で主演、共同脚本、プロデューサーの三役を務めたグレン・クローズ - Jason Kempin / Getty Images

 19世紀のアイルランドを舞台に、女性であることを隠し、男性としてホテルの従業員として働いたアルバートのドラマチックな人生を描いた映画『アルバート・ノッブス』でアカデミー主演女優賞にノミネートされているグレン・クローズが、「男役に扮する自分を初めて見たときは涙が出た」とテレグラフ紙のインタビューでコメントしている。

 感極まるのも無理はない。主演、共同脚本、プロデューサーの三役をつとめるクローズにとって、『アルバート・ノッブス』は構想30年を費やし実現した、悲願の作品なのだ。

 クローズは1982年、映画の原作である、ジョージ・ムーアの短編小説の舞台版で、アルバート役を演じている。「アルバートは、本当に素晴らしいキャラクターの一人だと思った。ストーリーは、極めてシンプルなのに、不思議なほどの感情的なパワーを秘めていた」と語るクローズは、以来、映画化の実現に向かって歩み続けてきた。

 貧しい時代のアイルランドで、不遇な人生を生き抜くために、男性として働くより方法はなく、女性としての真のアイデンティティを見失ったアルバートのドラマに、クローズはとてつもなく引き付けられ、必ず素晴らしい映画になる、との思いが常に頭を離れなかったという。

 「死ぬ前にこの役を大スクリーンで演じなければならない」とクローズはプロデューサーの一人、ボニー・カーティスに脚本を渡し、アイルランドに赴いて自らロケハンをし、そしてクローズが出演した映画『彼女を見ればわかること』『美しい人』の監督ロドリゴ・ガルシアに、「真に女性を愛する人だから」と白羽の矢を立てた。

 一人の俳優が、30年前に打ち立てた映画化の夢を、幾多ものハードルを一つ一つ超え、ついに実現させた作品。日本では、昨年の東京国際映画祭のコンペティション部門で上映された。劇場公開は未定だが、それほどの強い信念を抱かせる魅力のあるアルバートと、彼女を演じるクローズを、ぜひ改めてスクリーンで目にしたいものだ。(鯨岡孝子)


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