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『ペルセポリス』のサトラピ監督、マチュー・アマルリックとタッグを組んだ新作は妻にバイオリンを壊され死んでしまう男の話

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(左)マルジャン・サトラピ監督、(右)ヴァンサン・パロノー共同監督
(左)マルジャン・サトラピ監督、(右)ヴァンサン・パロノー共同監督

 自叙伝的漫画「ペルセポリス」を映画化して、アカデミー賞長編アニメ賞にノミネートされたマルジャン・サトラピ監督が、新作『チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~』について共同監督を務めたヴァンサン・パロノーとともに語った。

映画『チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢~』場面写真

 同作は、才能あふれるバイオリニストのナセル・アリ(マチュー・アマルリック)は、妻と喧嘩した際に愛着のあるバイオリンを壊され、代わりのバイオリンを探したが見つからず、とうとう絶望して死ぬことを決意する。彼はベッドに横たわり、修業時代から現在まで数々の人生の思い出を追想していくというドラマ作品。漫画家マルジャン・サトラピ監督と、同じく漫画家のヴァンサン・パロノーが独創的なスタイルで、我々を魅惑的な世界にいざなう。

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 映画内でアニメと実写が交錯して幻想的に描かれている点について「映画は幾つかの層として描かれているの。まずは1950年代初期に国民的支持を集めたイランの首相モサッデグが失脚させられ、独裁政治に変わっていった背景の中で、ナセル・アリがイレーヌに恋をしていくという幻想的な世界、次に寓話的な話とは無関係の現実的な世界、そして最後にナセルが回想していく中で詳細に思い起こす記憶があるの。ただ、わたし自身は、ある男が死のうと思っているストーリーをいかに魅力的に描いていくかが大変だったわ」とサトラピ監督は話した。

 英題『Chicken With Plums』というタイトルの由来についてサトラピ監督は「わたしが生まれ育ったカスピ海付近に、このチキンのプラム煮(Chicken With Plums)という料理があって、ある時わたしの家族がそのチキンのプラム煮のプラムを食べていたときに、彼らはそのプラムを、まるで女優のソフィア・ローレンを食べているようだと表現したの。それはプラムが(ソフィア・ローレンのグラマラスな体型のように)丸まるとして、それでいてジューシーだからと言っていたわ。それ以来チキンのプラム煮を、我が家ではソフィア・ローレンと呼んでいたのよ」と笑って答えた。ソフィア・ローレンをこよなく愛すナセル・アリには適したタイトルのようで、さらに「タイトルは映画にとって重要で、“ミュージシャン:ナセル・アリの人生”みたいに明らかなものにはしたくなかったの。それと、映画内では回想にふけるナセルが、現実に直面するのは現在の妻との関係だけで、その関係も食べ物によって描かれているの」と彼女は明かした。

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 主役を演じたマチュー・アマルリックについてサトラピ監督は「マチュー・アマルリックは、映画『潜水服は蝶の夢を見る』のように、台詞なしでも色々なことを表現できる非常に才能のある俳優なの。特に、彼は熱を持った表現力のある目をしているわ。彼自身は優しい性格で、この映画にとって素晴らしい尽力になったわ。それに、彼は違った役を演じることを恐れないタイプで、『僕の演じるキャラクターが馬鹿げて見えるから、このシーンを演じたくない』というようなことは決して言わなかったわ。主演の俳優が決意を持って臨んでくれると、監督にとって映画製作はそれほど難しいことではないの」と絶賛した。

 最後に、全く英語を話せないヴァンサン・パロノーは、映画『ペルセポリス』でもそうだったが、映画化する際には、まず漫画を忘れて、映画の絵コンテも実際の漫画とは違っていることをサトラピ監督の通訳を通して話した。サトラピ監督は、黒澤明監督の映画『七人の侍』を360回ぐらい観ているそうだが、イランで国外出国を禁止されているジャファール・パナヒ監督に関しては、現在サトラピ監督はフランスで活動しているため、政治的見解をしたコメントを控えたいとした。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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