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ベネチアに黒沢清監督が登場!270分のドラマを一挙上映!世界が湊かなえ作品に興味津々

第69回ベネチア国際映画祭

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ベネチアでサインに応じる黒沢清監督
ベネチアでサインに応じる黒沢清監督 - 写真:中山治美

 イタリアで開催中の第69回ベネチア国際映画祭で現地時間30日、WOWOWで手掛けた連続ドラマ「贖罪」が正式招待された黒沢清監督が記者会見を行った。

 湊かなえ原作の「贖罪」は、主人公・麻子が、自分の子どもを殺害されたことの贖罪を、目撃者だった4人の同級生に強いる壮絶な人間ドラマだ。今年1月に放送され、小泉今日子蒼井優小池栄子安藤サクラ池脇千鶴ら豪華女優陣の競演で話題となった。今回は放送時間300分の映像を270分に編集した映画祭バージョンで上映される。

 会見で黒沢監督は「オリジナルはなるべく残すという方針で、これ以上は無理という30分だけ切りました。日本でもこんな形で上映したことはないので、(ベネチアは)冒険をいとわない映画祭なんだと感激しています」と緊張で吹き出す汗を拭いながら喜びを語った。

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 実は本作品を手掛けるまで、女性が主人公の湊作品をあまり読んだことがなかったという黒沢監督。その上で「痛快に読めるが、それにしてもひどい話ですよね。特に男に対しては人間扱いしていませんからね(苦笑)。なので映像化するにあたって、これでは演じてくれる男優は絶対いないだろうと思い、彼らなりの理由があったのだということを、僕が脚本に書きました」と説明した。

 会見中イタリアの記者からは「この映画は日本で実際に起こっている事件が反映されていると思うが、なぜ日本は個人と社会が対立するような状況にあるのでしょうか?」という、作品を通して日本社会を理解しようとする質問も。黒沢監督は「日本の社会がどうなっているのか? 一言では答えづらいですね。社会と個人の対立があるはずですが、新聞やニュースで報道されるのは、カッとなったとか、個人のささいな問題です。そういう事件の背景には必ず社会が抱えている問題が関連あるとは思いますが、ちゃんと分析できている人はまだいないと思います。僕もそれを映画で上手く表現できればいいのですが、まだハッキリこうだ! とは言えないですね」と真摯(しんし)に答えていた。(取材・文:中山治美)

「贖罪」はDVDが発売中(税込み価格:8,990円) また9月7日まで東京・渋谷ユーロスペースで特別上映開催中

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