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木下恵介監督作品54年ぶりのベネチア凱旋!日本初の長編カラー映画『カルメン故郷に帰る』上映

第69回ベネチア国際映画祭

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日本映画の“先生”ぶりを披露したアミール・ナデリ監督
日本映画の“先生”ぶりを披露したアミール・ナデリ監督 - 写真:中山治美

 日本最初の長編カラー映画として知られる木下恵介監督『カルメン故郷に帰る』のデジタルリマスター版が、第69回ベネチア国際映画祭に新設されたクラシック部門でワールドプレミア上映された。木下監督は1958年に同映画祭コンペティション部門に『楢山節考』が選出されており、実に54年ぶりの凱旋(がいせん)となった。

 同作品は高峰秀子主演。ストリッパーとなったカルメンが、山に囲まれた故郷に帰省したことで村人に小さな波紋を巻き起こすコメディーだ。木下監督は今年がちょうど生誕100周年にあたり、それに伴い本作のデジタル修復を実施。舞台となった浅間山麓の山々はより鮮やかに、高峰らが歌う主題歌もよりクリアな音声になって甦った。

 ベネチアでの上映前には、オリゾンティ部門で審査員を務めているイラン出身のアミール・ナデリ監督によるミニ『カルメン故郷に帰る』講座も開催。ナデリ監督は日本映画好きが高じて昨年、西島秀俊主演『CUT』を日本で撮影してしまった程で、この日も日本映画ツウぶりを発揮した。

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 ナデリ“先生”は「日本映画は黄金時代に素晴らしい監督たちを輩出しましたが、黒澤明監督と溝口健二監督は日本の歴史を、小津安二郎監督は日本の家族を、そして成瀬巳喜男監督は女性を描きました。その中にあって木下監督は非常にモダンな人だったので、喜劇、実験的映画、メロドラマ、社会派等様々なジャンルに挑み新風を巻き起こしました」と、まずは木下監督と他の巨匠たちとの違いを説明。

 続けて、「木下映画は仏監督ルネ・クレールや米監督ウィリアム・ワイラーを想起させ、色使いや音楽は(ミュージカル映画『巴里のアメリカ人』などの)ヴィンセント・ミネリのようです。そして木下監督は1960年代以降の監督たちに大きな影響を与え、またハリウッドと同じように日本の松竹という撮影所システムの中で、小津監督たちと同じように自らの刻印を映画に押しました。わたしは日本が好きで、過去の日本映画を愛しています。どうぞ映画を楽しんで下さい」と一気に語り、観客から大きな拍手を浴びていた。

 映画『カルメン故郷に帰る』デジタルリマスター版は11月23日~12月7日に東京・東劇で開催される「木下惠介生誕100年祭」で上映が決定。同作品は東劇が1951年に開館した際のこけら落とし作品で、まさに61年ぶりに故郷へ帰ることになる。(取材・文:中山治美)

第69回ベネチア国際映画祭は現地時間9月8日まで開催

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