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求ム!製作費!原発33基が同時多発テロに遭う近未来映画!『歓待』深田監督がカンヌ目指す

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『歓待』が世界40か所以上の海外映画祭に招待され高い評価を受けた深田晃司監督
『歓待』が世界40か所以上の海外映画祭に招待され高い評価を受けた深田晃司監督 - 撮影:eli tokura

 映画『歓待』(2010年公開)が世界40か所以上の海外映画祭に招待されるなど高い評価を受けた深田晃司監督が、新作『さようなら』で原子力発電所問題に挑むことがわかった。資金集めが難航することを予想し、製作費の一部をクラウドファンディングで調達するという覚悟の作品だ。

 原作は、劇団「青年団」を主宰する平田オリザが昨年発表した同名戯曲で、アンドロイドが死期の迫った女性に詩を朗読する約20分の実験的な作品だ。青年団演出部に所属する深田監督は、同作品の「濃密な死の匂いに惹かれて」(深田監督)映像化を熱望し、平田から快諾を得たという。

 ただし長編映画にするため、深田監督は大胆な設定を書き加えた。それが近未来の日本を舞台に、稼働していた原子力発電54基のうち33基が同時多発テロによって爆破されるというもの。それにより国土の8割が放射能に汚染され、ついに政府は“棄国”宣言をし、国民に優先順位をつけて国外避難を勧告するというものだ。そんな中、街に残る選択をするのが天涯孤独で病弱な外国人のターニャ。彼女のもとには、幼少時代から見守ってくれていたアンドロイドがおり、死に向かっていくターニャのために詩を読み続けるという。

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 原発問題を加えたことについて、深田監督は「死に向かう人間と、死を知らないアンドロイドの対話をモチーフにした時、彼女たちを取り巻く決定的に逃れられない破壊という状況を作る必要性を感じました。では、SFではお馴染みの世紀末的な設定のリアルは今、どこにあるのか? それを考えた時、原発事故の後にあっさりと安全神話が復活し、リスクの説明から逃げて、なし崩しに進む再稼働問題など、原発にまつわる動きを見ていると、自分が今いる現実がすでに十分壊滅的だと感じたんです」と説明する。

 ただし「思想信条を訴える作品ではなく、原発へのテロという現実に起こり得るかもしれないリスクを素材にしているだけ。それは、本来原発賛成派の人たちも考え、発信しなくては行けないことのはずです」と客観的に今の社会から未来を見据えた事を作品に投影したと言う。

 ただし、いまだ日本では自主規制も含めた原発タブーが存在し、原発事故を描いた園子温監督『希望の国』は資金集めに苦労したという例がある。さらに製作委員会方式という既存のシステムを打破するために、Webサイト「motion Gallery」でのクラウドファンディングを起爆剤に製作資金を集める道を選んだ。深田監督は「1~2年の長期戦で資金集めを行う予定です。完全な自由はどこに行ったってあり得ませんが、今回の試みが少しでも自由の幅を広げるための一歩になれば」と力強く語った。

 来年撮影を行い、カンヌなど海外映画祭を視野に入れながら2014年の公開を目指す。(取材・文:中山治美)

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