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アカデミー賞候補『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のアン・リー監督が明かす主役への思いは?

アカデミー賞候補『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』のアン・リー監督が明かす主役への思いは?
アン・リー監督

 映画『ブロークバック・マウンテン』でオスカーを受賞したアン・リー監督が、話題の新作『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』について、ニューヨークのアップルストアのイベントで語った。

 同作は、インドで動物園を経営するパテル一家は、ある日豊かな暮らしを求めてカナダへ移住を決意し、動物たちと共に船に乗り込むが、太平洋上で嵐に襲われ船が沈没してしまう。唯一、家族の中で16歳のパイ(スラージ・シャルマ)だけが救命ボートに乗って生き残り、彼はベンガルトラ、シマウマ、ハイエナ、オランウータンとともに、非常食と雨水で過ごす壮絶なサバイバル生活を始めていく。カナダ人作家ヤン・マーテルの同名小説を、アン・リー監督が3D映像で映画化している。

 ヤン・マーテルの原作について「友人の薦めで11年前に出版された原作を読んだんだ。そのときは、映画化したいとは思わなかった。ただ、映画『アイス・ストーム』でもそうだったが、僕は原作のストーリーやキャラクターではなく、原作の特定されたイメージだけが(頭の中に)湧くことがあって、それが僕に映画化への可能性を追求させることがあるんだ」と述べ、それは今作も同様だったとも語った。だが、「当時の映画技術では製作は難しいと思っていた。それが、4年半前に監督を依頼されて、僕しかこの映画を製作できないとプロデューサーに言われ、それが決め手になったかもしれない(笑)。もっとも、原作は素晴らしいが、それを感情的にどう表現していくか難しいとは思っていたよ」と明かした。

 スラージ・シャルマのキャストは「(人気俳優ではなく)ちゃんと原作の主人公パイに似ている俳優をキャストしようと思った。そこでインドに行き、無邪気で、インド人であっても英語やフランス語のアクセントがなく、さらに伝統的なインドの家庭に育った人物をキャストしようと決めていたんだ。実際に3,000人近くから12人を選考し、ムンバイでオーディションを行った。僕が与えた題材でスラージが行った5分間のモノローグシーンが感動的であったことと、眼鏡を外したスラージの顔(表情)を見たときに、彼が主演でこの映画を製作できると思った」と起用経緯を語った。

 3D挑戦について「この映画を製作するまで、イマイチ3Dについては理解していなかった。最初は、新しい映画手法に頼ることで、新たな可能性が開けるのではないかという安易な甘い考えさえ持っていたくらいだ。ところが、実際に3Dのリサーチ過程で、もう一つのディメンション(次元)をクリエイトすることで、ミザンセーヌ(全ての視覚的要素)が変わってくるため、映像の奇跡を起こせるのではないかと思った。だから、トム・ハンクスのようなスターをキャストしなくても、海水の映像をキャラクターの一つとして表現できたんだ。そんな海水の透明さ、反射、動きを映像の感情として(観客は)体感することができるんだ」と語った。

 映画は、漂流を通して成長していくパイの姿と神秘的な映像が心に残る作品に仕上がっている。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)


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