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前田敦子の暗い「陰」を投影 『リング』監督が挑んだ社会問題とは?

前田敦子の暗い「陰」を投影 『リング』監督が挑んだ社会問題とは?
前田敦子主演『クロユリ団地』について語った中田秀夫監督 - Photo:Harumi Nakayama

 オランダで開催中の第42回ロッテルダム国際映画祭に新作『クロユリ団地』で参加している中田秀夫監督が現地時間29日、インタビューに応じた。

 中田監督が同映画祭に参加するのは、1993年以来2度目。もっとも前回は文化庁の新進芸術家海外研修制度で英国留学中で、観客の一人に過ぎなかった。そのとき「やっぱり自分の作品を持って来ないと寂しいな」と思ったことを振り返る中田監督。それから20年、新作『クロユリ団地』は映画祭最大規模の劇場で上映され、監督自身がVIPの一人としてクローズアップされることになった。

 映画は、前田敦子演じる主人公明日香が越して来たクロユリ団地で味わう恐怖体験を描いたオリジナルのホラー作品。明日香が暗い闇に落ちるきっかけは、隣に住む独居老人の孤独死。介護の勉強をしていた明日香は自責の念にかられ、ふたをしていた心の傷が露呈していくという展開だ。本作には、こうした現代社会を反映したシーンが随所に織り込まれており、観る者の心を揺さぶる。

 中田監督は「『仄暗い水の底から』のとき、海外の人から『日本にも自分たちと同じようなシングルマザーがいることに共感を覚えた』と言われたことが印象的だった。今回は独居老人など、心の共有を求めながら得ることができない孤独な魂を抱えた者同士が共鳴する。AKB48という華やかな場所にいながら、どこか陰を持っていた前田さんには、クランクイン前に『悲しさや切なさなど、心の底にある深い部分を出してほしい』と伝えました」と語る。

 中田監督が先に挙げた自責の念を抱えた人に関心を寄せるのは、東日本大震災の取材で「サバイバーズ・ギルト」(災害などで生き残った人たちが感じる罪悪感)を抱えている人たちに直接触れ合ったことが影響しているようだ。中田監督は“Jホラーの旗手“と称される一方で、ドキュメンタリー映画にも定評があり、このほど、震災で愛する人を亡くした人たちにカメラを向けたドキュメンタリー映画『3.11後を生きる』を制作。

 さらに、エミール・クストリッツァら世界の巨匠たちが参加したオムニバス映画『ワーズ・ウィズ・ゴッズ(英題)/ Words with Gods』では、震災時の取材を基に被災者を主人公にした短編『四苦八苦』を永瀬正敏主演で撮り上げている。中田監督は「“ホラーこそわが命“とは思っていない。ジャンルにかかわらず、ピンと来る企画があれば挑みたい」と力強く語った。(取材・文:中山治美)

映画『クロユリ団地』は5月18日より全国公開
映画『3.11後を生きる』は2月23日よりオーディトリウム渋谷にて公開


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