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映画『リング』の中田秀夫監督、被災地に生きる人々を追ったドキュメンタリーへの思い

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中田秀夫監督
中田秀夫監督

 映画『リング』や『女優霊』など、ジャパニーズホラーの名手として知られている中田秀夫監督が、2011年に発生した東日本大震災から6か月後の被災地で生きる人々を取材したドキュメンタリー映画『3.11後を生きる』。2011年7月から10月までの4か月間、カメラを回した中田監督が作品への思いを語った。

映画『3.11後を生きる』フォトギャラリー

 東日本大震災が発生した2011年3月11日、中田監督は家族と共に千葉県にいた。「房総とはいえ、海の方から30分ほど車で走ったところだったので、揺れは大きかったですが津波などの被害はありませんでした」。親戚も東北に住んでいる者はいなかったため、津波の被害は全てニュースの映像を通して観ていたという。

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 震災から4か月後、被災地の岩手県を訪れた中田監督の目の前に広がっていたのは、どこまでも続くがれきの山。行方不明者も数多くいたという。中田監督は「取材を始めた頃は家族が行方不明の方も多かったので、質問の仕方はとくに気を付けるようにしました。4か月というと、すでに可能性はかなり低くなっているんで、どこか遠くの離れ小島にでもたどり着いていないか、と小さな望みを持っている方もいらしたんです。ファンタジーのような話でも真剣に信じたいのです、と。当然のことだと僕は思いました」と当時を振り返った。

 結婚式を挙げたばかりだった妻、かわいがっていた小さな孫たち、そして最愛の子どもたちをのみこんでいった黒い波。スクリーンには、大切な家族を一瞬にして失った人々の慟哭(どうこく)が映し出される。中田監督は、地元の人々と酒を酌み交わしていたときに、子どもたちを含め、家族5人を津波にさらわれた漁師の五十嵐さんの言葉が忘れられないという。「彼は、3月11日のあの日、津波警報が出る3分前でいいから戻してほしいと言うんです。その言葉に、一緒に飲んでいた人たちがみんな、涙を流し、うなずきながら聞いていて……」。中田監督は、「津波を経験していない自分にとっては、筆舌に尽くし難い思いになることが何度もありました」と繰り返した。

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 東日本大震災から2年、テレビでは震災の特集もだんだんと減っていき、津波で町や家族を失った人々の現状に触れる機会はなくなっている。このドキュメンタリーを観ると、東北に3月11日を生き抜いた人もいれば、突然、生を断たれた人もいることを、いま一度思い知らされることとなるだろう。中田監督は、「3月11日を生き残った人々が、亡くなった家族を一刻も忘れられぬまま、生を営む姿をドキュメンタリー映画にして、“非=被災者”に問いたい」と語った。(編集部・森田真帆)

映画『3.11後を生きる』は2月23日より全国順次公開

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